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コンプライアンス遵守の重要性
1分でわかる記事の要点
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コンプライアンスは法令を遵守すること
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コンプライアンスには社内規則や社会的倫理も含まれる
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コンプライアンス違反は企業生命に関わる
コンプライアンスが重視されるようになった背景
コンプライアンスが重視されるようになった背景には、日本政府の行政改革大綱があります。これは2000年から推進されはじめました。 行政改革大綱には企業の自己責任体制の確立と、徹底した情報公開が盛り込まれました。さらに2000年代では粉飾決済などの企業の不祥事が相次いだこともあって、コーポレートガバナンス(企業統治)の重要性も高まったのです。 こういった時代の変化に合わせて、企業が直面するあらゆる事態のリスクを軽減するために、コンプライアンスの重要度が急速に高まりました。
コンプライアンスに含まれること
コンプライアンスは日本では主に企業コンプライアンスの略称として使われることから、これまで「法令遵守」と訳されてきました。しかし実際の用法では単に法律を守るだけでなく、社内規則や倫理観といった、より広い意味で使われることが一般的になってきています。
法律・法令
コンプライアンスに含まれるものとして、もっとも知られているのは法律・法令の遵守でしょう。簡単に言えば、経営者が会社を運営する上で、拠点とする国や自治体の法律や条令を守らなければいけないということです。 コンプライアンスのもっとも基本的かつ包括的な部分なので、絶対に疎かにしてはいけません。
社内規則・組織内の決まりごと
コンプライアンスで次に重要なのが社内規則です。企業は利益追求が基本ですが、過度な追求は法に触れる可能性があります。それを未然に防いで、経営を安全に行うため、ルール作りや業務マニュアルの策定が必要となります。 社内規則や組織内の決まりごとは、もちろん法律・法令の範囲内でなければいけません。
社会的倫理
法律・法令や社内規則以外に、コンプライアンスには社会的倫理も含まれます。会社の運営には取引先や顧客がどうしても必要なため、継続的に経営してくためには対外的なアピールが重要となります。社会貢献や無駄の削減など、クリーンな倫理的規範を示すことで企業イメージを向上させることができます。 社会的倫理は法律・法令の遵守や社内規則と違って、必ずしも必要となるわけではありません。しかし社会的倫理を持つことは、企業の安定運営に繋がっていきます。
コンプライアンス違反の事例
コンプライアンス違反の種類はいくつもあります。企業犯罪や不祥事に繋がるものから、営業成績の低下に繋がるものなどさまざまです。コンプライアンス違反の事例の主な事例として、業務データの不正利用や流出、社内環境の悪化の3つを挙げることができます。
隠蔽や不正利用
コンプライアンス違反の中でももっとも悪質なのが、業務情報の隠蔽や不正利用です。刑事罰などの対象になりかねないので、企業生命に大きくかかわります。例えば以下の事例が隠蔽や不正利用に該当します。 ・粉飾決算、赤字隠し、製品の偽装(隠蔽) ・未公開情報を元にした証券取引(不正利用)
個人情報の紛失・流出
一言で言えば情報漏洩です。高度情報化社会の現代において、情報セキュリティは非常に重要になっています。悪意のあるハッカーによって盗まれるケースもありますが、多くの場合は従業員の過失や故意です。以下は実際にあった紛失・流出の事件です。 ・2015年、東京商工会議所がセミナー参加者の名簿を盗まれた ・2015年、りそな銀行行員が芸能人の来店情報をリーク ・2015年、日本年金機構がコンピューターウイルスで情報流出
居心地の悪い社内環境
居心地の悪い社内環境は労働の意欲を削ぎ、それが業務上のミスや不正行為に繋がります。具体的な事例は以下の通りです。 ・パワハラが横行している ・上司と部下、社員同士に信頼関係がない ・信頼できないので相談も提案もできない ・努力が評価されず、失敗を責められるので萎縮する ・過度な社員同士の競争、高すぎるノルマの設定
コンプライアンス違反による弊害
コンプライアンス違反の内容にもよりますが、それによって生じる弊害は多岐に渡ります。違反が発覚した場合、社会的信用を失うだけでなく、刑事罰や民事訴訟で責任を問われる可能性があります。以下はその例です。 ・赤字隠蔽の粉飾決済は特別背任罪や詐欺罪に当たる ・未公開情報の不正利用はインサイダー取引となるので金融商品取引法違反 ・個人情報の流出は個人情報保護法違反となり、さらに民事訴訟のリスクがある
コンプライアンスを遵守し、働きやすい環境を構築
現代の会社には、社会的責任があります。営利企業として利益を追求するだけではなく、自社の従業員も含めて、社会福祉に貢献していかなければいけません。 そのためにはコンプライアンスをしっかりと見直し、遵守して、労働しやすい環境を作り上げる必要があります。会社を発展させるために、ぜひ他人事と考えずに実践してみてください。