垂涎(すいぜん)の意味と使い方、「垂涎の的」についても解説!

垂涎(すいぜん)の意味と使い方は?

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意味を的確に理解せずに感覚で使用する人が多い言葉の一つである「垂涎」の読み方は、「すいぜん」が正式です。しかし慣用読みといわれる正式ではない読み方の場合では「すいえん」と読みます。現在でも慣用読みする人がいるようですが、ビジネスシーンは「すいぜん」と読みましょう。 「垂れる」という意味の「垂」と「よだれ」を意味する「涎」で構成されており、直接的な意味では「食べたさゆえによだれを垂らしてしまう様子」を指します。しかし実際にはそれが転じて、「特定のものを手に入れたいと強く思う」あるいは「何としても欲しいと熱望する」という意味で用いられるのが一般的です。

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垂涎の類語は「喉から手が出るほど欲しい」

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「垂涎」の類語は何種類かあります。「よだれを垂らす」や「舌なめずりする」「喉が鳴る」「渇望する」「切望する」などが、具体例としてあげられます。 そんな中でも「垂涎」に最も意味が似ているものといえば、「喉から手が出るほど欲しい」でしょう。これは「とても欲しくてしかたがない」ことを意味することわざで、誰もが一度くらいは聞いたことがあるはずです。 「垂涎」も「特定のものがどうしても欲しい」ことを指しますが、「喉から手が出るほど欲しい」には「食べたくて仕方がなくて喉の奥から手が出て食べ物をつかみそうなほど」という激しさが加わります。その違いを覚えて使い分けることをおすすめしますが、根本的な意味は同じだと覚えておきましょう。

 

垂涎の使い方と例文

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「垂涎」は状況によって、表現を使い分けする必要がある熟語です。具体的には「垂涎の的」や「垂涎の思い」「垂涎もの」「垂涎の地」「垂涎の品」などがあげられます。しかし日常生活の中で頻出する表現とはいえません。 ここでは特に使用頻度の高いとされる「垂涎の的」と「垂涎の思い」、そして「垂涎もの」の3つを例文も合わせて解説します。対象やシーンの違いに着目してみてください。

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例文①垂涎の的

「垂涎の的」は「すいぜんのまと」と読みます。 ・有名アーティストのアマチュア時代の限定CDを持っているなんて、ファンにとっては垂涎の的ですね。 ・あのクオリティのダイヤモンドは愛好家にとって垂涎の的です。 「垂涎の的」は「何としても手に入れたい」ことを意味します。そこには貴重であるだけでなく人気がある、あるいは他者がうらやむものであるというニュアンスが含まれます。 似た使い方に「垂涎の地」があり、その場合は対象が場所です。そして「垂涎の品」となるとより希少性が高いものを対象とします。いずれにせよとても貴重な物を対象に使われることが多いと覚えておきましょう。

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例文②垂涎の思い

「垂涎の思い」は、使われるシーンが限定される表現です。 ・ずっと想い続けた彼女の花嫁姿を、僕は遠くから垂涎の思いで見つめるしかありませんでした。 ・この季節しか食べられないジビエのコース料理を、垂涎の思いで眺めました。 「垂涎の思い」は特定の人にとっては魅力的あるいは貴重であるというものに対して持つ感情を表しています。一部の人にとって「欲しいと熱望したにも関わらず手に入らないもの」に対して「垂涎の思い」が使用されるというのがポイントといえます。

例文③垂涎もの

特に趣味の世界で使われることが多いのが「垂涎もの」という表現です。 ・デビュー30周年を記念して、ファンには垂涎ものの限定DVD-BOXが発売されるらしいです。 ・最新機器が揃うこのラボは、その分野の研究者には垂涎ものといえる施設です。 「垂涎もの」には、「その品がどうしても欲しいと思わせるほど魅力的である」という意味があります。そこには「見た人すべてが欲しいと思う」というニュアンスが含まれます。ただしそこには万人ではなく、特定の分野に興味がある人全員という意味があることも覚えておいてください。

 

垂涎の英語は「envy」

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「垂涎」を英訳しようとすると、いくつか英単語が出てきます。中でも使用頻度が高いものといえば、「envy」でしょう。 ・Our aunt has such a gorgeous diamond ring. It’s an object of envy to us. (叔母は豪華なダイヤモンドの指輪を持っています。それは私たちにとって垂涎の的です。) 「垂涎の的」を直訳すると「object of envy」になることから、「envy」が最も使われるのです。「垂涎の的」という使い方を英訳したい時には、必ず「object of envy」を用いましょう。

まとめ

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「垂涎」の意味そして使い方について、理解できましたか。 「垂涎」という熟語をそのまま使うことはなくても、「垂涎の的」や「垂涎の思い」「垂涎もの」という表現で活用することは多々あるはずです。使い方のニュアンスの違いを踏まえて正しく「垂涎」を活用できるようにしておくと、ビジネスシーンで重宝します。この機会に覚えておいてください。