パナソニックが半導体事業から撤退
パナソニックが半導体事業を270億円で譲渡
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パナソニックが半導体事業から撤退・台湾企業に譲渡
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海外企業の攻勢が強まる・半導体事業は苦戦して赤字続く
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液晶ディスプレイ製造からも撤退・IoTなど成長分野に積極投資へ
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台湾企業Nuvotonへ事業譲渡
パナソニックによると同社の半導体事業子会社パナソニックセミコンダクターソリューションズの半導体事業を台湾に本社を置くヌヴォトン・テクノロジー(Nuvoton)へ譲渡すると発表しました。 パナソニックは譲渡前に半導体事業の再編を行い、契約は事業再編を維持することを前提とし、2020年6月1日に譲渡を実施する予定です。 両社は既に株式譲渡契約の締結に同意しており、同社の子会社パナソニックアジアパシフィックの半導体事業、パナソニック・セミコンダクター蘇州の半導体事業の設備等をNuvotonの現地法人に譲渡します。
譲渡額は270億円程度か
本譲渡の総額は2億5,000万米ドル(270億円)程度といわれています。パナソニックセミコンダクターソリューションズはパナソニックの連結子会社のパナソニック出資合同管理会社の傘下にあります。 同じく傘下にあるデバイスシステムテクノ社とデバイスエンジニアリング社と、新設するパナソニック出資合同管理会社の子会社などを経由しパナソニックセミコンダクターソリューションズの半導体事業を分割してパナソニック出資合同管理会社の完全子会社に承継させます。 このような譲渡前事業再編を進め、最終的にNuvotonにパナソニックの半導体事業の株式を100%譲渡します。
パナソニックの半導体事業は不調
パナソニックは過去にも半導体事業を他社との合併・譲渡を行いながら継続してきました。 しかし、近年の競合他企業の規模拡大路線や注力事業への巨額投資、M&Aによる業界の再編などが進んできたことで成長分野へ注力していくことを判断した模様です。
半導体市場への限界か
パナソニックのここ最近の半導体事業は低迷が続いていました。韓国・台湾の企業に押され業績は悪化し、今年度3月期は営業利益が235億円の赤字となりました。 同社は2014年に北陸工場の半導体ウェハーの製造工程をイスラエルの半導体ファンドリー企業タワーセミコンダクター社との合併会社に移管しています。 また、同年にはインドネシア、シンガポール、マレーシアに保有する半導体工場を香港に本社をおくUTACマニュファクチャリングサービティーズに譲渡し、事業の再編を進めてきました。
60年以上の歴史に幕
パナソニックの半導体事業の歴史は長く、1957年にオランダのフィリップ社との合弁で事業をスタートさせ60年の間、開発、製造、販売を行ってきました。 また、写真の画像の美しさを左右するイメージセンサー技術、リチウムイオン電池保護回路用MOSFET(電気交換型トランジスターの1種)などを主力商品化するために注力してきました。
今後のパナソニック
パナソニックの津賀一宏社長は今後の事業展開について、今までの家電ビジネスの在り方を変革するとして、IoT(Internet of Thigs)などの分野に力を入れていく方針です。IoT分野を取り入れることで、家電の使い方を次世代型にシフトさせていく考えです。
液晶パネルの生産も終了
2019年11月21日、パナソニックは今まで主力事業としていた液晶パネルの生産を2021年までに終了すると発表しました。 パネルの市場価格の下落や競争の激化などで事業の継続が難しいと判断したようです。液晶パネルを製造していたパナソニック液晶ディスプレイ姫路工場(兵庫県姫路市)は、そのまま残される方針です。 従業員は基本的に解雇しない見通しで、約500人の従業員は再配置されます。同工場は第8.5世代マザーガラスを用いた液晶パネルの生産を行ってきました。工場の再活用についてはまだ決まっていません。