業績不振の大戸屋、再建への道は
大戸屋HD買収劇の行方
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コロワイドが大戸屋HDの筆頭株主に・M&Aについては正式発表なし
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コロワイドが筆頭株主に。買収も視野か。
(画像:Unsplash)
国内一部メディアの報道によるとコロワイドは10月の初旬に大戸屋HDの創業家から発行済みの株式18.67%を取得したとしています。 これによりコロワイドは大戸屋HDの筆頭株主となり、M&Aを視野に入れているのではと注目が集まっています。
2019年10月1日にコロワイドが筆頭株主に
大戸屋HDは創業者の逝去による骨肉の後継者争いが繰り広げられていたとされ、そこにコロワイドが水面下で買い付けの話を進め創業家の株式18.67%全てを取得したといわれています。 これにより、2019年10月1日にコロワイドは大戸屋HDの筆頭株主のなりました。取得額は約30億円といわれています。 今後は株主総会で拒否権を発動できる3分の1以上(34%以上)、更に50%以上に引き上げたい考えです。
コロワイド社長が買収を示唆する発言
11月15日、国内一部メディアによると大戸屋HDの筆頭株主となったコロワイドの野尻公平社長は、同日の決済説明会で大戸屋HDには非常に魅力を感じており、M&Aに興味があると自身の考えを述べました。 野尻公平社長が大戸屋HDへのM&A・合併の可能性について言及したものの、コロワイドは11月16日には決定事項ではないとホームページ上で声明を出しています。 しかし、コロワイドはこれまでM&Aで成長してきています。牛角やかっぱ寿司などの有名企業を買収した実績もあることから、大戸屋HDへのM&A・合併の可能性は十分にあると考えられます。
コロワイドによる買収のメリットは?
大戸屋HDは2019年4月期の連結決算では上場以来の営業赤字に転落し、既存店が売上不振であることが明らかになっています。 コロワイドの野田尻公平社長は自社のセントラルキッチンを活用すれば大幅なコスト削減になるとして、経営再建に自信をみせています。 コロワイド側は大戸屋HDの2020年3月期決算を見極めた上で、合併・M&Aと経営陣の体制を含むた結論を出すとみられています。
大戸屋の業績低迷
大戸屋HDは既存店の不振が響き、2019年前期の連結決算は営業収益が約19億円以上の赤字に転落しています。 大戸屋HDは11月15日の株価終値は2,252円(14円高)でした。今回の買収の可能性が流れたことで2,200円前後で推移していた株価は、一時は2,400円代まで上昇しています。
値上げによる客離れ
大戸屋HDは4月23日のメニュー改定で、定食メニューのうち12品目を10円~70円値上げしました。定番の人気定食が値上げされたことで、常連客離れが起きているといわれています。 2019年4月以降の客数は大きく落ち込んでおり4月の前年同月比は8.0%減少し、5月が6.4%減と苦戦しました。4月~9月は全ての月がマイナスとなっており、マイナス幅は4%~8%と大幅な減少が続いています。 客数の減少が顕著にみられたのは、安価で人気があったランチ(720円)をなくした時期で、これが大きな集客減の影響になったと思われています。
お家騒動も
大戸屋HDは創業者の久実氏の逝去ののち、現社長の窪田健一氏と創業家の間で壮絶な争いが繰り広げました。 ことの始まりは、妻の三枝子氏と息子の智仁氏の処遇を巡り経営陣が対立したことでした。智仁氏が香港勤務に決まったことで、三枝子夫人が窪田氏を呼び出し久実氏の遺骨前で叱責したことが社内で噂になり今も「お骨事件」として伝わっています。 こうしたお家騒動を経て、結局窪田健一氏が社長に就任し智仁氏は大戸屋HDを去り、新たに宅配サービスを立ち上げました。その資金はコロワイドへ大戸屋HDの株式を譲渡して得たといわれています。