株式会社あさくまの上場
ステーキチェーンあさくまが上場
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愛知県を中心に店舗展開するステーキチェーンあさくまが上場・初値は1834円
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あさくまの売上は好調・静岡県にも進出し売り上げ増を図る見通し
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生き残りをかけたステーキ外食業界・今後の差別化の手段とは何か
株式会社あさくまとは
(画像:Unsplash)
株式会社あさくま(あさくま)は関西、中部圏を中心に店舗展開を進めており、現在はステーキあさくまを60店舗、やっぱりあさくまを1店舗、FC店を1店舗運営しています。今回の上場で、関東圏での店舗展開を進めていく考えです。
愛知県を中心に展開するステーキチェーン
あさくまは、愛知県を中心に店舗を展開しているステーキチェーンで、2019年4月現在のステーキあさくまの店舗数は計67店舗となっています。最近では静岡県や関東地域にも積極的に出店を行なっています。 また、連結子会社の株式会社あさくまセッションもビュッフェレストランやもつ焼き居酒屋、カフェ、インド料理、インドネシア居酒屋など、様々な形態の店舗を運営しています。 あさくまの店舗は、あさくまセッションの直営店20店舗を合わせると、グループ全体で計87店舗となります。フランチャイズ展開も急速に進めています。
ジャスダックに上場
あさくまは2019年6月27日にジャスダックに上場しました。株式売り出し人は有限会社あさしおで、発行株式は92,100株です。 有限会社あさしおはテンポスホールディングスの創業者・森下篤史(もりしたあつし)氏の資金管理会社で、同社はあさくの株式56%超を保有しています。 親子上場となりますが、森下篤史氏があさくまの利益を吸収する目的で実施するのではなく、あくまで有限会社あさしおの資金調達のためといわれています。
公募価格は1250円で初値は1834円
あさくまの公募価格は1,250円で初値は1,834円と好調なスタートを切りました。9月4日には1,770円を付けていますが、ここ半年は1,650円の後半で推移しています。 あさくまの2020年連結業績予想では、1株当たりの純利益を105.25円としています。小売業の平均PER(株価収益率)は22.5倍となっており、業界関係者はあさくまのPERはおおよそ15倍程度ではないかとみています。 ライバル企業であるペッパーフードサービスのPERが11.6倍であることから、中間値で考えると妥当な数値といえるでしょう。
株式会社あさくまの業績と戦略
(画像:Unsplash)
あさくまの2019年3月期の営業利益は6億35百万円(前年比ー24.7%)、純利益4億1百万円(同ー18.7%)と苦戦しました。原材料の値上げや人手不足による人件費増などのランニングコスト増が響きました。
売上高は上昇傾向
売上高は順調な伸びをみせており、2017年は9,127百万円、2018年が9,440百万円、2019年が9,447百万円となっています。 2019年3月期は下期から割引キャンペーンによる販促をおこなったことが功を奏し、客数の伸びに繋がりました。ただ、客単価の低下もみられ売り上げ増の直接的な効果はなかった模様です。 今後は新規出店を10店舗予定しており、ステーキあさくまの月商を10百万円と見込んでいます。
静岡に絞り新規店舗のオープン
あさくまは7月19日に静岡の磐田店をオープンし、同県内の既存店を合わせると13店舗目となります。あさくまは7月に富士宮市、8月以降に藤枝、浜松、富士市に店舗をオープンしており、本格的に静岡に進出する模様です。 新規の5店舗は車で入りやすいロードサイドに位置しており、主にファミリー層を取り込みたい考えです。 あさくまは2018年9月に東京都の九段下にも店舗をオープンし、キャンペーン効果もあり売上も好調です。首都圏ではメインターゲットを30代前後の男性や若い女性など、1人でも食べやすい雰囲気で若い世代の取り込みに力を入れています。
カンタレス経営
あさくまは顧客との境界線を無くす取り組みとして「カンタレス経営」を始めました。この言葉はあさあくによる造語で、カウンターレス(境界線がない)という意味です。 店舗体験型の取り組みですが従業員の確保に繋げるためではなく、あくまでも店舗のオペレーションなどの改善に繋がるアドバイスを求めることが目的のようです。 現在はサラダバーのメニュー作りや、店舗周辺のガーデニングを楽しんでもらうことで、カンタレス(カウンターレス)経営を進めています。
生き残りをかけたステーキ外食チェーンの戦い
(画像:Unsplash)
あさくまのライバル企業はペッパーフードサービスだけではありません。あさくまと商圏の近い名古屋発のボロンコビリーも両社を視界に入れています。 一時は売上の悪化していた同社ですが、いきなりステーキの経営不振やメインメニューのウルグアイ産ステーキが好調なことで売上を回復させています。 この他、牛丼チェーンの松屋もステーキ領域に事業展開を始め、まさに生き残りをかけたステーキ外食チェーンの戦いが続いています。
打倒いきなりステーキ?さわやか?
(画像:Unsplash)
あさくまの静岡県進出を阻むのが「炭火焼きハンバーグさわやかな」です。静岡県浜松市に本社を置く同社は、静岡県内に33店舗を展開しています。メインメニューの牛肉100%げんこつハンバーグが好評です。 とは言え、今後の関東圏進出を狙うあさくまにとって、一番のライバル企業はやはりペッパーフードサービスであることは間違いありません。 あさくまはいきなりステーキのオペレーションをオマージュして店舗運営してきただけに、いきなりステーキの失速はショックでしたが、今後も攻めの姿勢は変えない模様です。