不倶戴天(ふぐたいてん)の意味や表現とは?不倶戴天の敵などの使い方も紹介!

 

不倶戴天(ふぐたいてん)の意味は「深く恨むこと」

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「不倶戴天(ふぐたいてん)」は、「同じ世の中に生きていたくない」「生かしておけないほど深い恨みを持つ」という意味で使われます。中国の「礼記(らいき)」が語源とされている四字熟語です。 もともとは「父の讐(あだ)は与(とも)に共(とも)に天を戴(いただ)かず、兄弟の讐は兵に反(かえ)らず、交遊の讐は、国を同じうせず」という一節によります。その当時は「父や主君の敵は殺すべきである」という意味で使われていました。

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不倶戴天の使い方や例文

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「不倶戴天」は「同じ世の中に生きていたくないほどの憎しみ、あるいは憎い相手」を意味する言葉です。そのため複数の使い方があります。 ここでは「不倶戴天」だけで使われる例を取り上げます。古来の「不倶戴天」とは使い方が異なりますので、その違いを覚えておいてください。

 

不倶戴天の憎悪

「不倶戴天」はかつて、憎しみを感じた相手を倒す意思を表す意味で使われていました。しかし現代では「決して赦せない相手への憎悪」という意味で使われます。 ・再婚相手と共に幼い私を虐待し続けたにも関わらず、病気だからと当然のように臓器提供を求める母に不倶戴天の憎悪を感じました。 ・私に不倶戴天の憎悪を植えつけたのは、小中学校時代に私を苛め続けた彼ら自身です。 「不倶戴天」を使う場合、憎しみの原因となる出来事があるということです。

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不倶戴天

「不倶戴天」は単独でも使います。 ・継母は父が私だけを可愛がっていると誤解して、不倶戴天になりました。 ・相続問題に端を発し不倶戴天となってしまった兄弟と、生きているうちに和解したいです。 「不倶戴天になる」とは、「共にいられないほど憎しみを感じる相手」に対して使います。そこには「深い闇」や「感情の混乱」も見て取れます。

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不倶戴天を使った表現

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「不倶戴天」には一般的に使われる表現があります。それが「不倶戴天の敵」と「不倶戴天の決意」です。 ここでは「不倶戴天の敵」と「不倶戴天の決意」について、具体例をあげながらその意味を解説します。ゲームや漫画でもよく登場する言葉ですので、正しい意味を理解しておきましょう。

不倶戴天の敵

「不倶戴天の敵」は「どうしても許容できない敵」を指します。 ・社長をだましてクライアントを奪った元専務は、わが社にとって不倶戴天の敵です。 ・彼はついに親の代から続く、不倶戴天の敵と対峙しました。 「不倶戴天の敵」は「同じ世の中に存在することすら許せない相手」という意味で用いられます。強い憎悪を感じさせる表現です。

 

不倶戴天の決意

「不倶戴天の決意」は「深く恨み続けること」を表しています。 ・不倶戴天の決意で、根も葉もない噂を流し私を失脚させた彼に復讐を果たすと決めています。 ・主君を討ち取られ藩をつぶされた家来たちには、不倶戴天の決意だけが残されました。 この「不倶戴天の決意」には、相手への憎悪だけでなく強い執念も感じられます。忠臣蔵の四十七士に「不倶戴天の決意」と同じ意味で「不倶戴天の志」という言葉が登場します。

不倶戴天の類語

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「不倶戴天」の類語は一つではありません。「天敵」や「怨敵(おんてき)」「恨み骨髄に徹す」「相容れない」といった表現が、「不倶戴天」の類語にあげられます。 ここでは「天敵」と「怨敵」を取り上げ、例文を交えてその使い方を解説します。適切に使い分けできるよう、例文も合わせて頭に入れておきましょう。

類語①天敵

「天敵」が「不倶戴天」の類語としてあげられるのは「他ではそうでもなくても、ある部分に限っては思い通りにならない相手や場所」という意味です。 ・私の天敵は、幼稚園から勤務先までずっと一緒の幼なじみです。 ・ねずみの天敵は自らを捕食する猫やイタチです。 例文の2つめは「天敵」が本来持つ、「攻撃によってある生き物を死滅させられる修正を持った生き物」という意味です。ビジネスシーンでは、前者の意味で使われます。

類語②怨敵

「不倶戴天」の類語である「怨敵」は「深い恨みがある相手・敵」という意味です。 ・私に情報漏えいの罪を着せ退職に追い込んだ怨恨である元上司が、現在の勤務先まで訪ねてきました。 ・その浪人は目前で姉を切り殺した怨敵である侍を探し続けていました。 「怨敵」には「深い恨み」だけでなく「敵対する」という意味も含みます。「仇敵」や「仇讐」に言い換えることができます。

 

不倶戴天の英語表現は「a mortal」

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「不倶戴天」を直訳できる英単語はありませんが「a mortal」が多用されています。 ・He is a mortal enemy. (彼は不倶戴天の敵です。) ・It’s him that a mortal hate was planted in me. (私に不倶戴天の憎悪を植え付けたのは彼です。) 「a mortal」には「致命的な」「許されない」「死ぬべき運命の」という意味があるため、「不倶戴天」の英訳として用いられます。

まとめ

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歴史ものや戦闘ゲームで見聞きすることが多い、「不倶戴天」の意味や使い方について解説してきましたが理解できましたか。 「不倶戴天」には「深い恨みあるいは強い憎悪、あるいはそれを持つ人」という意味があるため、不用意に他者に対して使わない方がよい言葉です。類語も含めて例文と共に使い方を覚えておき、適切に使い分けてください。