道理(どうり)とは
道理とは（画像：Unsplash）
「道理」という言葉は頻繁に使う言葉ではないものの、誰でもこの「道理」を意識しながら生活をしています。ただし、「道理」という言葉の正しい意味を理解している方はどれくらいいるでしょうか。 この記事では「道理」の使い方や対義語・類義語まで紹介していきますが、そうした関連語を見ていく前に基本的な「道理」の2つの意味を理解していきましょう。
道理の意味①「物事がそうあるべき筋道」
物事がそうあるべき筋道（画像：Unsplash）
「道理」には大きく分けて2つの意味がありますが、まずは「物事がそうあるべき筋道」という意味について紹介します。 「道理」の2つの意味は少しずつ意味が違いますが、基本となるのはこの「物事がそうあるべき筋道」という意味なので、この見出しで紹介する内容をまずはしっかりと覚えておきましょう。
「物事がそうあるべき筋道」の例文
まずは、「物事がそうあるべき筋道」という意味で使う場合の例文を紹介します。 ・道理から外れたセールストークをしていれば、いつまで経っても成績は上がらない。 ビジネスシーンの営業トークには一定の方法やうまくいきやすいやり方が存在しますが、例文ではそうした一定のパターンや筋道からそれた方法をしていれば、いつまでも結果は出せないことを言っています。
英語は「sensible・reason」
「物事がそうあるべき道筋」という意味の場合の英語表現は、「sensible」「reason」となります。 ・He is a sensible man who is rewarded by everyone. （彼は誰からも慕われる、分別のある人だ。） 「sensible」は「分別がある」で「人の特徴」を意味する形容詞で、「reason」は「理由」「根拠」「道理」という意味の名詞なので、品詞に応じて使い分けが必要です。
道理の意味②「人の行うべき正しい道」
人の行うべき正しい道（画像：Unsplash）
2つ目の意味は、「人の行うべき正しい道」という意味です。「道理」という言葉を聞いた時に、「物事がそうあるべき筋道」という意味よりもピンときやすいのがこの意味だと思います。 こちらについても例文と英語表現を使って紹介していきます。どちらも難しいものではないので読み進めながら理解してみていください。
「人の行うべき正しい道」の例文
まずは、「人の行うべき正しい道」という意味で使う場合の例文を紹介します。 ・彼はお世話になって人に一言も述べずにその場を去っていくような、道理をわきまえない人だ。 「人の行うべき正しい道」という意味の場合は「道徳」や「倫理観」が必要になりますが、例文ではそうした「道徳」的な考え方を持たない行動をしている様子が説明されています。「物事がそうあるべき筋道」とどちらで使われているか区別しましょう。
英語は「reasonable・moral・ethic」
「人の行うべき正しい道」は英語で表現すると、「reasonable」「moral」「ethic」となります。 ・I thought he was a reasonable person. （彼のことを道理をわきまえたひどだと思っていた。） 「reasonable」は「道理に合った」という形容詞で、「moral」と「ethic」はそれぞれ「道徳」「倫理（観）」という意味の名詞です。
道理を使った言い回し
道理を使った言い回し（画像：Unsplash）
「道理」には「物事がそうあるべき筋道」「人の行うべき正しい道」という2つの意味がありました。 ここからは、そうした「道理」という言葉の具体的な使い方を4つの表現と例文を通して紹介していきます。どの表現も日常生活で使うことが出来る表現なのでしっかりと覚えておきましょう。
道理が引っ込む
まずは「道理が引っ込む」です。 ・あの業界では規制が敷かれておらず、道理が引っ込んでしまっている。 「道理が引っ込む」の元の表現は「無理が通れば道理が引っ込む」です。これは「道理にかなわない行為が公然となされるようになれば、集団心理によって道理にかなった行動はされなくなってしまう」という意味です。つまり、モラルに反した行動が横行すれば、道理が無視されるようになるという意味です。
道理に合わない
2つ目は「道理に合わない」という表現です。 ・焦ったのか、取引先が急に道理に合わない提案を仕掛けてきた。 「道理に合わない」とは「物事の筋道が通らない」という意味です。例文では、焦りから早く交渉を決めたいと思った取引先が、より詳細に話し合うべき内容を無視するなどして、踏むべき手順を逸脱した提案をしてきたと行った状況が考えられます。この場合は「理にかなっていない」などの類語も考えられます。
道理にかなう
3つ目は「道理にかなう」という表現です。 ・集中力をあげるためにフィットネスを行うのは、道理にかなった考え方だ。 「道理にかなう」とは「物事の筋道や論理展開に整合性がある」という意味です。例文では仕事でより集中力を高めるために体を動かす時間を設けるのは、論理的に筋の通った考え方だということを意味しています。前の見出しで紹介した「理にかなう」の「理」とは、「道理」の「理」のことです。
道理で
4つ目は「道理で」という表現です。 ・作業量を減らせば生み出せる成果が減るのは、道理である。 「道理で」とは「物事の筋道が通っている」という意味で、もとの「道理」という言葉の意味が分かっていれば、簡単に理解できる日本語表現です。例文では、仕事の作業量を減らせば、生み出せる結果も少なくなるという、至極当然のことについて話をしていることからも、「道理で」という表現の意味が通ります。
道理の類語や対義語
道理の類語や対義語（画像：Unsplash）
さて、ここまでで「道理」という言葉の意味が理解できたでしょうか。「物事がそうあるべき筋道」と「人の行うべき正しい道」という2つの意味が分かっていれば、「道理」という言葉は簡単に使うことが出来ます。 次は、ここまでに紹介した「道理」という言葉の意味を踏まえて、類語・対義語を紹介します。
類語は「筋道・道徳」
「道理」の類語には「筋道」「道徳」があります。それぞれの意味は、「筋道」は「物事を適切に行うための順序」で、「道徳」は「人が行うべき正しい行いの基準やその考え方」です。 「筋道」の場合は「やり方の正しい手順」というニュアンスが強く、「道徳」の場合は「社会規範」や「人の在り方」に関するニュアンスが強くなります。どちらの意味合いを表現するかによって言葉の使い分けが必要になります。
対義語は「無理」
「道理」の対義語は「無理」です。「無理」の意味は「理を欠くこと」「道理を無視すること」という意味です。「無理」は、使われている漢字を見れば「理（道理）が無い」となるので、対義語になることが理解できます。 また、「無理」には「不可能なこと」「実行が困難なのにそれを押し通して実行すること」という意味がありますが、この場合は対義語とはならないので意味を理解する上では注意が必要です。
まとめ
まとめ（画像：Unsplash）
「道理」には「物事がそうあるべき道筋」「人の行うべき正しい道」という2つの意味がありました。 どちらも、元には「正しい行い方」というニュアンスがあり、それが「物事のやり方」について言っているのか「人との関わり方・人のあり方」について言っているのかで意味が変わることを覚えておきましょう。
