HPがゼロックスの買収提案を拒否
HPと米ゼロックスの買収の行方
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HPが評価額が低いと提案を拒否
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HPが米ゼロックスを逆買収か・協議は継続
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米ゼロックスは富士ゼロックス株売却で資金調達
330億ドルの買収提案は低すぎると拒否
米ゼロックスはHPに対して現金と株式を合わせて約330億ドル(日本円で約3兆6千億円)を提示したといわれています。それに対してHPは「自社の価値を著しく過小評価している」として、この提案を拒否したと発表しました。 ただ、HP側は米ゼロックスに対して逆買収する意向も示しており、統合が両社にとってメリットになる可能性があるという声明も出しています。
株主の利益にならないと声明
ゼロックスのアクティビティであるカール・アイカーンとヘッジファンドが示した330億ドルはHPにとって納得できる評価ではなく、株主にとって利益にならないと買収拒否の理由を述べています。 また、最近の米ゼロックスの業績不振を上げ、統合により自社の負債が膨らむ可能性があることにも言及しました。
HPによる逆買収の可能性も
HPは米ゼロックスが持つプリンタ等の技術は自社の事業に相乗効果をもたらすと考えており、統合の可能性の余地を残しています。 市場関係者によると、HPは米ゼロックスが2018年6月決算で収益が減少していることが分かっており、事業規模や時価総額が上のHPが逆に米ゼロックスを買収する方が合理的であるとみています。
HPはプリンタ事業に苦戦
HPが買収に含みを持たせている理由には、自社の主力事業であるプリンタの不振にあります。 プリンタのビジネスモデルは本体を手頃な価格に設定し、インクやトナーなどの消耗品で収益を上げるというものです。 しかし、近年はペーパーレス化が進み消耗品の販売数も伸び悩んでいます。こうした事情から2019年5月∼7月期のプリンタ部門の売上高は前年比5%減の49億1200万ドルと低迷しました。
協議は継続へ
HPは米ゼロックスの事業には魅力を感じているものの、同社が2019年5月~7月期のプリンタ部門の売り上げが減収していることもあり、合併によって負債が膨らむことを警戒しています。 HPにとっては米ゼロックスの財務状況が健全なものであるかを懸念しており、合併によって米ゼロックスの負債を引き受けるリスクがないかを見極めたい考えです。
ゼロックスは合弁会社の株を売却
米ゼロックスはシティーバンクから買収資金の調達の了解を得ているといわれています。また、米ゼロックスはHPの株主に対し現金17ドルと米ゼロックス株0.137株(計22ドル)を支払うとしています。 また、米ゼロックスは自社が保有している富士ゼロックスの発行済み株式を、富士フィルムホールディングスに売却しており、これを買収の支払い資金に充てたい考えです。
富士ゼロックスの株25%を売却
米ゼロックスは富士ゼロックスの発行済み株式を富士フィルムホールディングスに売却したことで、この売却資金の一部を5億5000万ドルといわれる負債の返済に充てたといわれています。 株式売却で得た資金はおよそ23億ドル(日本円で約2500億円)といわれていますので、残りの17億5000万ドルをHPの買収資金と株主還元に充てる予定です。