東京電力HDが核燃料取り出しに1兆3700億円必要と試算。安全性優先も莫大なコストが。

東京電力は、現在停止している柏崎刈羽原発の6号機と7号機の再稼働も目指しながら、各所との調整を行っています。 停止している2基は、2013年に定められた原子力規制委員会による新基準の審査に合格しました。しかし、「事故を起こした東京電力に任せていいのか」という疑問から、稼働への懸念は払拭されていません。 そんななか東京電力は保守規定の内容に、「経済を優先しない」「最新の知見を用いリスクを低減する」「福島第一原発事故の廃炉をやり通す」などの異例とも呼べる事項を、同委員会提出用に盛り込んでいます。

2020年4月現在も終息しない原発事故の現実から、原発の再稼働には未だに賛否が集まっています。いくら対策を練ろうとも、東日本大震災のような想定外の災害が訪れたとき、同じような原発事故が起こるのではと不安が大きいためです。 しかし原子力発電が、今までの日本の電気エネルギーを賄っていたことも事実です。また稼働を止めることで、雇用や補助金に影響が出ることも考えられます。

2013年にできた新しい規定は、原子力発電に安全性を担保すると同時に、稼働や廃炉にかかる経済的負担の増大にもつながりました。 「新々・総合特別事業計画（第三次計画）」によると、福島原発の廃炉だけで8兆円が必要になると試算が出ています。 ただし新規基準に沿った稼働の場合、維持費、安全対策費等で数十兆円規模の費用になるとの推測も出ました。原発の危険性も考慮すると、稼働が停止か微妙な選択が迫られています。

放射能を取り扱う関係から、原発稼働の危険性への不安の声は、原発事故以前から多くありました。稼働自体への反対意見は、現在も多数上がっています。 2020年3月現在、日本では全国60基ある原発中、9基のみ（うち3基停止中）稼働している状況です。