タスクフォースとは
ビジネスシーンでは社内のあらゆる課題を効率的に解決するために、部署をまたいで課題解決のために能力を発揮できる人材が集められることがあります。 この記事ではその例と考えられる「タスクフォース」について、その言葉の意味や具体的な事例を通して説明していきます。
タスクフォースはビジネスの課題を解決すべく設置される期間限定の組織
「タスクフォース」とは「ビジネスの課題を解決すべく設置される期間限定の組織」です。 普段は営業部・経理部・マーケティング部・経営企画部など各部署で仕事をしている人が、社長など経営陣の命令によって特定の課題を解決するために招集されることがあります。 こうして集められた期間限定の組織を「タスクフォース」と呼び、与えられた課題が解決されるとその組織は解散され、集まった人材も通常業務に戻ります。
タスクフォースの語源は軍事用語
タスクフォースはもともと戦争や軍事のシーンで使われていた言葉で、日本語では「機動部隊」と呼ばれます。 この日本語からも分かる通り、タスクフォースは多くの場合緊急性を要する課題解決のために組まれることが多いです。 従来の縦割りの組織では対応しきれない課題が発生していたり、その課題に対しては通常よりも部署間のタイムリーなコミュニケーションが必要とされている場合が多いです。
タスクフォースを用いた例文
タスクフォースは従業員からすると突然の指示として耳にすることがあります。 ・自社の商品ラインナップ見直しのタスクフォースに編入したので参加して下さい。 タスクフォースへの参加が求められる人材は、部署内で高い成果を挙げていて他部署との横断的なコミュニケーションが出来るだろうと見込まれる人の場合が多いです。タスクフォースへの参加要請が来たら喜んで参加して、あなたの実力を存分に発揮しましょう。
タスクフォースをつくるメリット
メリット（画像：Unsplash）
タスクフォースは会社として緊急を要する課題を解決するために編成され、通常の組織構造のまま営業するのに比べて様々なメリットが得られます。 ここではタスクフォース編成による「緊急度の高い課題解決」「イノベーションの可能性」「幹部候補の育成」という3つのメリットをご紹介します。
タスクフォースのメリット①緊急度の高い課題を解決できる
タスクフォース編成の第1のメリットは「緊急度の高い課題を解決できる」ことです。 これ自体がタスクフォース編成の目的ですが、通常の縦型の組織編成では部署をまたいだ情報交換やタスクの引き継ぎの際に、社内SNSやメールなどを使ったコミュニケーションが行われます。 一方で、タスクフォースが組まれると各部署の従業員がその場でリアルタイムに意見を言い合えるのでタスクの実施・完了までの速度が速まります。
タスクフォースのメリット②イノベーションの可能性がある
タスクフォース編成の2つ目のメリットは「イノベーションの可能性がある」ということです。 タスクフォースの第一の目的は喫緊の課題解決ですが、タスクフォースに招集される人材は高い能力を持つため、それぞれの知見を活かして新しい価値を生み出す可能性もあります。 またタスクフォースの活動を通して各部署内に蓄積されたノウハウが共有されることもあり、活動終了後の各部署で業務が改善するなどの効果も見込めます。
タスクフォースのメリット③幹部育成が出来る
タスクフォース編成の第3のメリットは「幹部育成が出来ること」です。 通常の組織編成の中でも幹部候補社員のスキルアップは十分可能ですが、管理業務を共に行う従業員には他部署の動きや他部署との連携を考えた意思決定が求められます。 そのイメージをしてもらうためにはタスクフォースに参加してもらうことで、他部署の人が何を考えながら日々の業務に取り組んでいるかを知ってもらうのは良い機会になります。
タスクフォースをつくる際のポイント
ポイント（画像：Unsplash）
タスクフォースはより柔軟に会社の課題解決を進められますが、意図した効果を得るためにはいくつか意識すべきポイントがあります。 ここでは「人選」「マネージャからのサポート」「目的・価値観の共有」という特に重要な3つのポイントについて説明します。
ポイント①人選
タスクフォース編成の第1のポイントは「人選」です。 タスクフォースのメリットは従来の縦型組織構造よりも、より横断的に部署間のコミュニケーションが可能になることです。つまり部署間の情報伝達速度を上げることがメリットなので、タスクフォースに編入する人材は業務遂行能力の高さとコミュニケーション能力の高さが必要になります。 チームワーク精神の高い人材を選ぶことでタスクフォースの効果を最大限得られます。
ポイント②マネージャーからのサポート
タスクフォース編成の第2のポイントは「マネージャーからのサポート」です。 タスクフォースを組む場合は、タスクフォースの業務に専念する場合と通常業務をこなしながら同時進行でタスクフォースの業務に取り組む場合の2種類があります。 特に後者の場合は通常業務に割ける時間が物理的に減るのでそのフォローを管理職の人物が行い、通常教務に支障が出ないようにする必要があります。
ポイント③目標・価値観の共有
タスクフォース編成の第3のポイントは「目標・価値観の共有」です。 タスクフォースは各部署の代表が招集されますが、通常業務で会社の利益という同じ目的を追っていても、各部署でその捉え方や意思決定の方法が異なる場合があります。 そのためタスクフォース編成時にはそのチームの目的が何で、どのように課題に取り組んでもらうかなどについて、管理者から共有するかチームメンバー内で議論して貰う必要があります。
タスクフォースの類義語
類義語（画像：Unsplash）
タスクフォースの他にも通常の縦割りの組織構造と異なる形で、柔軟にチームが編成されることが多々あります。 ここではタスクフォース以外にも「部署を横断したチーム」を意味する、「プロジェクトチーム」「ワーキングチーム」「クロスファンクショナルチーム」の単語について説明します。
プロジェクトチーム
まず1つ目は「プロジェクトチーム」です。 これもタスクフォース同様に部署を横断した人材が臨時で招集されますが、「タスクフォース」という時ほどチームに与えられた解決すべき課題の緊急度は意識されていません。 新商品・サービスの開発、ノウハウの共有、人材育成などさまざまな目的で編成されますが、必ずしも今すぐに解決しなければならない会社の最重要課題のために編成されるわけではなく、比較的長期的な視点で取り組みます。
ワーキングチーム
2つ目は「ワーキングチーム」です。 「ワーキングチーム」という場合は特定の業務をこなしたり課題の分析などを行うために集められた「作業班」という意味合いで、タスクフォースのように喫緊の課題解決や人材育成などは意識されません。 場合によっては「ワーキングチーム」の中に小さなタスクフォースを編成し、それぞれの小さなタクスを解決させるといった形で使い分けられることもあります。
クロスファンクショナルチーム
3つ目は「クロスファンクショナルチーム」です。 「クロスファンクショナルチーム」という場合はタスクフォースよりもより緊急度や問題の重要性が意識されており、全社的な課題解決のために各部署の精鋭が招集されたり、場合によっては社外の専門家も招集することがあります。 カルロス・ゴーン氏による日産の「リバイバルプラン」でも「クロスファンクショナルチーム」が編成され、企業の体質改善が図られました。
まとめ
まとめ（画像：Unsplash）
タスクフォースは課題解決の他に人材育成やノウハウ共有などのメリットを得られますが、意図した効果を得るためには適切なマネジメントと参加している従業員へのフォロー体勢が必要です。 また企業内で臨時で招集されるチームの呼び方も多様ですが、どの意味合いで使っているかを明確に示しましょう。
