昭和電工が日立化成の買収を発表
昭和電工が日立化成買収
-
昭和電工が日立化成を9600億円で買収
-
日立製作所はグループの再編でIoTやAIの領域に積極投資する模様
-
昭和電工と日立化成の統合で売上高は1兆7000億円に
9600億円でTOB
昭和電工の公式発表によると、TOBは1株当たり4,630円、総額は約9600億円です。株価は横ばいで12月18日の日立化成の株価は4,080円で引けています。 買付予定数は208,219,903株、買付予定数の下限は1,388,133,000株(66.67%)、上限は設定していません。 両社の売上収益は日立化成が6810億円、昭和電工が9921億円で計1兆6731億円となり、昭和電工の各事業は世界トップシェアを目指します。
2020年2月ごろに実施へ
公開買い付けは2020年2月頃から開始予定ですが、国内外の法令等に基づく必要な手続き等が完了されることが開始条件となります。 HCホールディングスは日立製作所が保有する日立化成の株式(51.2%)を本公開買付に応募することを推奨しています。日立製作所も公開買い付けに賛同の意思を示しており、12月18日の取締役会で応募することを決議したと発表しました。 買い付け期間は20営業日を予定しており、公開買付代理人はみずほ証券株式会社を選定しています。
日立製作所のグループ再編
日立製作所はIoT(Internet of Things)やAI(人工知能) といった技術革新の発達よる、第4産業革命に備える必要があると判断した模様です。 また、18日には富士フィルムの診断画像事業を1790億円で買収しています。富士フイルムは医療現場で診断画像の分析に使う人工知能(AI)や画像を管理する情報システムに強みを持っています。 中西弘明(なかにしひろあき)会長もこれらの事業を中核に置き、今後も子会社の絞り込みを行っていくと明言しています。
昭和電工の業績
昭和電工の2018年3月期の売上は9921億円、営業利益は1800億円、親会社に帰属する純利益は1115億円となっており、今期の経常利益は21%減益と下方修正しています。このところ株価は3000円代前半で推移しており、12月18日の株価は3,020円で引けています。
2019年は減収か
昭和電工は今期経常利益をマイナス修正しており、ナフサ価格の低下を受けてエチレン等の市況が減収すると見込んでいるようです。 また、中国を中心に安価な低中品位電極の増産によって同社製品の需要が減ったことや、化学セグメントが電子材料用高純度ガスの需要が減少したためとしています。 これらの要因がかさなり、経常利益、親会社株主に帰属する純利益もそれぞれ減益となる見込みです。1株当たりの配当は80円と予想しており、当初予想と変更はありません。
統合後の売り上げは1兆7000億円程度か
日立化成の2019年3期の売上は6810億円、昭和電工の2018年12期の売上は9921億円で、統合後の売上は約1兆7000億円程度になると見られています。 日立化成の同期の調整後営業利益は486億円、親会社株主に帰属する当期純利益は287億円となっています。 一方、昭和電工は同期の営業利益が1800億円、親会社株主に帰属する当期純利益は1115億円となっています。純資産の合計は1兆7844億円となり売上高などを含め業界のトップクラスの規模となります。
買収で5G事業などへの拡大を目指す昭和電工
両社は合併によってそれぞれの持つコア技術を合わせた次世代通信規格「5G」事業の拡大を目指すとしています。社会課題、消費者の価値観変化に対応するために、革新的な素材設計力やコア技術の補完関係に期待しているようです。 日立化成は半導体やリチウムイオン電池向け材料に強みを持ち、昭和電工も電気自動車の領域にサービスを提供していく考えです。 日立化成は不採算事業の見直しを進め、リストラなども在り得ると述べています。