サンリオの業績不振。ピューロランドは好調も海外事業が業績悪化の要因か?

 

サンリオピューロランドは好調も業績悪化のサンリオ

サンリオ業績不振の要因は

  • 営業利益が約24億円まで悪化
  • 最重要地域アジアの不振が響く
  • ハローキティに偏らないキャラクタービジネスの再構築

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営業利益は右肩下がり

サンリオの営業利益は右肩下がりが続いています。2016年3月期は104億22百万円あった営業利益も、2017年同期は60億12百万円と大きく減少し、2020年同期は24億33百万円まで落ち込みました。 国内のテーマパーク事業、物販事業は回復したものの、海外の売り上げの減少が続いており、特に今期は香港デモや中国の景気減速などが影響し、アジア地域での落ち込みが目立ちました。 サンリオはキャラクターのロイヤリティフィ(使用料)をビジネスの柱のひとつとしていますが、国内、アジア、欧州共にロイヤリティ売り上げは減少しています。

 

サンリオピューロランドは入場者数を伸ばす

今期はしばらく低迷が続いていたテーマパーク「サンリオピューロランド」が業績を伸ばし、入園者数は1130千人(前年同期比4.3%増)と増加しました。 同社では若い女性向けにSNSを使い情報発信したことが、増員の最大の要因と分析しています。また、イベントにより指定した服で入場すると入場料がお得になるコーデ割引や、企業とのタイアップ割引も入場者増に繋がりました。 サンリオピューロランドは、2014年に館長に着任した小巻亜矢氏が短期間で業績を回復させたことでも話題になっています。

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サンリオの業績悪化は海外事業の影響か?

サンリオは近年、海外に向けた事業展開を進めてきましたが、最重要地域として位置付けていたアジアで苦戦が続いています。 米中貿易摩擦による中国内の需要の低迷や香港デモによる政情不安、日韓関係の悪化による両国間の緊張など、外部要因が想定以上に大きく影響しました。

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長期成長が課題のサンリオ

サンリオは長期成長可能な事業の確立を喫緊の課題と捉え、アジア圏での成功体験をもとに中東やアフリカなどの幅広い地域に、商品化権ビジネス、広告化権ビジネス、フランチャイズ化権ビジネスを並立して進めていく方針です。 同社は「スモールギフトビックスマイル」を標語とした商品の企画・製造・販売で利益を上げてきており、これまで「ハローキティ」を中心としたライセンス事業を拡大してきました。 しかし、欧米での不振は「ハローキティ」に偏った販促が減収減益に繋がったとし、海外でのキャラクタービジネスの再構築を進めていく考えです。

中国を中心にグローバルに展開

サンリオでは130の国と地域でキャラクタービジネスを展開しており、今後も中国を中心にグローバル化を進めていく考えです。 そのため、異なる地域においても、常に市場の変化に合わせたマネジメントを行えるような体制づくりを目指す方針です。 今後は欧米市場の再成長のために「ハローキティ」の魅力を再活性化させ、さらに中東、ロシア、インド、アセアン諸国、アフリカ、中南米なども開拓していくとしています。

 

回復の兆しはあるのか?

サンリオの日本での業績は回復の兆しを見せており、今期売上は前年同期比微増となっています。物販事業も好調で、企業とのコラボ企画も売り上げに貢献しました。 しかし、海外での経営不振が続く同社には、本業のキャラクタービジネスの見直しが求められています。これからは「ハローキティ」に偏ったスタイルから、多様なキャラクターを組み込んだポートフォリオの構築が必須といえます。 積極的に海外に進出している同社ですが、今後も苦戦が続くことが予想されており、市場も慎重な姿勢を見せています。このところ2,000円台を付けていた株価も、業績を発表した後の17日は1株1,938円で引けています。