労働基準法違反による4つの罰則。その事例や告発・通報の流れとは。│ビズキャリonline　仕事と生活

労働基準法違反による罰則とその具体例・事例とは？

1分でわかる労働基準法違反による罰則

労働基準法は違反すると罰則がある
罰則の対象になる身近な事例
労基法違反は内部告発や通報で明るみに

2019年4月に労働基準法が改正されました。この改正は働き方改革関連法の施行によるもので、今後ますます労働に関する法律の整備が行われます。労働基準法に違反すると罰金や糖液などの罰が科せられます。どのようなことが罰則の対象になるのか。そして労働基準法違反が発覚する流れについて迫ります。

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労働基準法は働き方改革により2019年4月に改正

労働基準法とは、労働条件に関する法律で1947年に制定されました。労働基準法は13章と121条で構成され、賃金や労働時間、災害補償など労働に関する最低点の基準が定められ、違反した場合の罰則も規定されています。 2019年4月には、働き方改革関連法の施行に伴い、労働基準法が改正されました。労働に関する最低基準を13に分類し、違反した場合は相応の罰則が科せられます。その内容は細かく定義され、労働基準法の第117条～第120条に記載されています。それぞれの罰則には該当する項目が明文化され、罰金刑から懲役まで罪の重さなどを加味して審判されます。

罰則の対象になる具体的ケース

労働基準法に違反した場合、罪の重さによって罰金の金額や懲役の期間が異なります。どのようなことが罰に問われる可能性があるのでしょうか。

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法定労働時間を超えた労働

労働基準法の第32条に労働時間が定義されています。この規定では休憩を除き1日の労働時間は8時間、1週間で40時間を超えて働かせてはいけないと示されています。法定労働時間を超える労働は法律違反となります。この時間を超える労働に対しては、36協定を結び、労働基準監督署へ届け出を行った上で割増賃金を支払えば違反にはなりません。

賃金・割増賃金の未払い

法定労働時間を超える場合には、割増賃金や時間外手当が発生します。割増分は賃金の一部とみなされ、必ず支払われなければいけません。労働基準法では割増賃金についての計算方法が明確に定義されています。労働基準法に定められた方法で賃金が計算され、支払われない場合は違反となり懲役または罰金刑が科せられます。

休憩・休日を与えない

労働基準法の4章には休憩と休日についての規定があります。休憩は労働が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩時間を与えることを義務化しています。休日は週に少なくとも1日、4週を通して4回を最低保証の休日とし、法廷休日の順守を提示しています。変形での休日取得も可としていますが、労働時間内の休憩と週と月単位、そして変形での休日を取得させなかった場合も懲役または罰金の処分が科せられます。

産前後の休業・育児期間の請求を認めない

第65条には産前産後について記されています。女性労働者が出産予定日を起算日とし産前産後休業を請求した場合には就業させてはならないと定められています。また1歳に満たない子供を育てる女性労働者には育児時間の取得の他、要件に当てはまる従業員に対して男女問わず育児休業を取得できる権利があります。しかし、この出産や育児にまつわる休暇の申請を認めない場合も労働基準法違反となり罰則の対象となります。

労災による療養補償・休業補償・障害補償・遺族に対する補償なし

労働者は、通勤途中や業務に従事している間に事故や災害に合った場合、補償を受ける権利があります。これは労働基準法の第8章に災害補償として記されています。その内容は多岐に渡り、療養や休業のための補償の他、障害の有無や遺族に対しての補償も明確化されています。しかし、これらの補償を拒むことや、支払いを拒否することは禁止されています。

就業規則明示がない、作成と届出をしない

労働条件や就労する上で守らなければいけないルールを就業規則として作成しなければいけません。これは労働基準法の第89条に就業規則の作成及び提出として義務付けられています。就業規則の作成義務があるのは、常時10人以上の労働者を雇用する場合です。10人以下の場合届け出義務はありませんが、作成が望ましいとされています。

30日以内に一方的・予告なしの解雇かつ30日分の賃金がもらえない

使用者側による一方的な解雇も労働基準法では制限されています。これは、経営状況の悪化などにより労働者を解雇したい場合、少なくとも30日以内に労働者に予告をするというものです。一方的かつ予告なしの解雇は第20条の解雇の予告に反します。30日以上前に解雇が伝えられない場合は、解雇予告手当の支払いが義務付けられています。この賃金が支払われない場合も罰則の対象になります。

その他考えられるケース

労働基準法は労働者を保護する法律です。そのため、第3条では均等待遇として年齢や身分の違いによる差別の禁止や、第5条強制労働の禁止として個人が持っている思想に反した不当な労働に対しての規定を設けています。第56条では15歳に達した年の最初の3月31日までは使用してはいけないことや、第16条では賠償予定の禁止としてなんらかの不具合が生じた場合、労働者に違約金を支払わせることも禁止しています。

厚生労働省が違反をした企業名・違反概要を公表

厚生労働省は、労働基準法に違反した企業を公表しました。これは各都道府県の労働局が調査し集約したものを全国版として公開したもので、企業名と所在地、どのような違反事例があったのかとどの法律に抵触したのか、違反した条項を開示しています。

労働基準法違反の告発・通報

労働基準法が守られているのかどうかは、告発や通報で法令違反が発覚するケースがあります。労働者から内部告発があった場合、どのような流れで労働基準法の順守を徹底させるのでしょうか。

事例の大半は違反行為を受けた本人の通報や相談で発覚

厚生労働省が公表した違反事例は、ほとんどが労働者による内部告発によるものです。違反行為を受けた本人の通報や相談で発覚し調査が入り明るみになります。労働者はハローワークや労働基準監督署に労働に関する相談を行い、必要に応じて各都道府県に設置されている労働局の労働相談窓口を紹介され、情報が集約されます。

証拠となる書類を用意し労働基準監督署へ申告

法定時間を超える労働の強要や、それに伴う賃金の未払いなどは、タイムカードと給与明細などの証拠を用意し労働基準監督署に内部告発するケースもあります。証拠が揃っている場合は、聞き取りや具体的な調査へと移行し状況の把握と実態に応じた指導が行われます。

匿名でも内部告発可能、内部告発をを理由とする解雇などの不利益処分は違反

労働基準監督署や労働局へ内部告発する場合は、匿名で行うケースも増えています。これは内部告発をしたことが分かってしまった場合、解雇されるのでは？という懸念があるためです。労働基準法には解雇の予告や期限についても定めており、内部告発を理由とする不利益な処分は違反として処罰の対象となります。

労働基準監督官の立入調査が行われ事実認定、是正勧告書交付・提出の流れ

労働者による相談や通報、内部告発や証拠となる資料の提示により、労働基準監督署は中立で公平な立場として調査を行います。立入調査を経て事実確認が行われ労働基準法に違反していると認定された場合は、是正勧告書が交付され、使用者となる事業者側は期日までに是正報告書を提出しなければいけません。法的拘束力はありませんが、悪質な場合や是正に応じない場合は書類送検される場合もあります。

労働者の労働環境を守る労働基準法

労働基準法は労働者の労働環境を守る法律です。その内容は細部に渡り細かく規定されています。職場でトラブルに直面し対応するためにも、労働基準法の概要を把握し、就業規則や雇用契約書を再確認してみましょう。判断に迷う場合は一人で抱え込まず、厚生労働省が管理し各都道府県に設置している労働局の無料相談を利用してみるのもひとつの方法です。