ロイヤルリムジンが大量の従業員解雇を撤回。一時解雇では労働者を守れないのか。す。

 

タクシー・ロイヤルリムジンが大量解雇を撤回

1分で分かるニュースの要点

  • ロイヤルリムジンが600人解雇を撤回
  • 一時解雇(レイオフ)は失業給付金を受給できない?
  • レイオフは企業と労働者の両者にメリット

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業績悪化を受け約600人の従業員解雇する方針だったロイヤルリムジン

新型コロナ感染の影響で業績が悪化していたタクシー会社ロイヤルリムジングループは、従業員600人の大量解雇を決めたと発表していましたが、従業員らの反発を受け今月20日に事実上撤回しました。 同社の一部従業員から解雇は無効だとして東京地方裁判所に仮処分の申し立てが行われており、従業員10人が加盟する日本労働評議会との交渉の末、10人の解雇は撤回されました。 それ以外の従業員の解雇は未だ撤回されていません。

 

従業員側が撤回を求めていた

従業員600人を解雇するとしていたロイヤルリムジングループに対し、KPU目黒自交ユニオンのタクシー運転手ら81人は22日に地位確認を求める仮処分を求め東京地裁に申し立てています。 今月24日に行われた団体交渉で同社の金子健作社長は解雇を撤回すると述べましたが、労組側は金子健作社長の発言は二転三転しており信頼できないとして、今後も交渉を続けていく構えです。

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失業保険が貰えないなど様々な問題

会社に解雇された場合は失業給付金を受給できますが、今般のロイヤルリムジンのケースは実質的な一時解雇で給付金は受け取れないといった憶測が流れています。一時解雇とは景気が回復し事業が再開できた時には再雇用することを約束して解雇するもので、東京労働局職業安定部でも失業給付金の対象とはならないと述べています。

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実質的な一時解雇

ロイヤルリムジングループでは同社のウェブサイトを通じて、4月8日よりタクシー事業を「一時休止」すると発表しており、事業再開を進めていく方針を明らかにしています。 今般の従業員解雇は再雇用を前提とした一時解雇(レイオフ)であると見られ、新型コロナ感染の影響が収束し事業が再開できる見通しが立てば従業員を呼び戻し再雇用する方針であると見られています。

一時解雇では失業保険を貰えず

一時解雇するメリットは休業手当を支払うよりも雇用保険の失業給付金を受給した方が従業員にとって有利であり、会社も現状の複雑な休業補償の申請を行わなくても済む点にあります。 しかし、こうしたやり方は悪質な偽装解雇であり、東京労働局職業安定部では元の会社との契約が完全に失効され、再就職に向けて積極的に活動していることを前提に支給しているものだと苦言を呈しています。

 

海外では一般的な一時解雇

レイオフは海外では一般的に利用されており、アメリカやカナダでは古くから使われているようです。マイクロソフトは事業のクラウドシフト化のために多数の営業職をレイオフしており、レンタルオフィスのWeWorkも2019年の業績不振によりレイオフを実施しています。

企業としては都合がいい一時解雇

レイオフは企業にとって都合がいい施策といわれており、米国では製造業で多く見られる施策で、生産量に合わせて従業員をレイオフし熟練工を外部に流出させないために行われます。 英国でもアパレル会社大手のアルカディアが新型コロナ感染拡大の影響で業績が悪化した店舗従業員1万45百人のレイオフを行っており、感染拡大収束後のためにスキルの高い社員の流出を防いでいます。