1分でわかる大塚家具
「大塚家具」の現状と今後
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「大塚家具」は4年連続の赤字決算の可能性
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原因は社長の意思決定ミス
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中国資本への身売りも
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大塚家具は2019年の第三四半期決算で約30億円の赤字
（画像：Unsplash）
2015年から大塚久美子社長の下経営再建を目指している「大塚家具」は2019年第三四半期（1月1日～9月30日）の決算で30億6,200万円の赤字となりました。 これまでも2016年から3年間赤字決算をつづけているので、このまま赤字が続けば倒産もありえます。それでは以下で「大塚家具」の株価などの状況を見てみましょう。
大塚家具の株価
「大塚家具」の株価は2010年ごろまで低落を続けていましたが、その後1,000円前後で落ち着いていました。 2015年に社長が大塚勝久氏から長女の久美子氏に交代すると、一時2,500円近い高値を付けました。 しかし2016年から続いている赤字決算で株価は下がり続け、現在160円台～150円台後半で推移しています。値ごろ感もあり買いも入りますが、底値を探る展開が続きそうです。
大塚家具の店舗閉鎖相次ぐ
「大塚家具」の経営不振は店舗面積の減少にも現れています。店舗面積は2016年には159,000㎡ありましたが、2018年度には109,753㎡と約2／3にまで減少しています。 店舗の閉店が大きな理由で2018年だけでも名古屋、春日部（埼玉県）、立川（東京都）、新宿など7店舗が閉店しているほか、大きく床面積を減らした店舗もあります。 いずれも大都市での閉店であり、その深刻さを表しています。
リストラが進められている
経営の悪化で「大塚家具」ではリストラを進めており、従業員数は急激に減少しています。 従業員は2014年には1,749人いましたが2018年には1,264人となり、とくに2016年からの3年間で約400人が退職しています。その理由は店舗の閉鎖にともなう退職や配置換えで退職に追い込まれる人が多いことが挙げられます。 人員削減を進めていた人事課長が心労が原因で自殺したとの報道もされました。
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大塚家具の業績の悪化の原因
（画像：Unsplash）
「大塚家具」は1969年3月に設立され、高度経済成長とともに売り上げを伸ばしましたが、バブル崩壊後の2001年をピークに徐々に売り上げが落ちます。 その原因は低価格の家具を扱う企業の台頭、家具レンタルや中古家具への需要増、創業者一族の対立、大塚久美子社長の意思決定ミスなどです。以下順を追ってみてみましょう。
ニトリやIKEAなどの低価格家具を扱う企業の台頭
「大塚家具」の業績不が悪くなった大きな理由はニトリやIKEなどの低価格家具を扱う企業の台頭です。 ニトリは2001年の売り上げでは大塚家具と並んでいましたが、その後「大塚家具」の売り上げが伸び悩む中、ニトリは順調に売り上げを伸ばして行きます。 2019年2月期の売上高は6,081億円と2001年当時の8倍以上となり、32期連続増収増益を達成して今や業界のトップとしての地位を揺るぎないものにしています。
家具レンタルの充実や中古家具を購入しやすくなった
近年家具や家電製品を中心に単身赴任者や独身の社会人、学生だけでなく、アパートやマンションの経営者、企業の社宅・寮向けなどにレンタル製品が伸びています。 例えば家電3点セットのレンタルでは二千数百円で借りられ、交換・メンテンスに費用が掛からず、1年以上のレンタルでいつでも解約できるなど、気軽にレンタルできる仕組みが人気の理由です。 また中古家具業界も拡大を続けています。ものを大事する生活志向が背景となっています。
創業者である大塚勝久と娘の大塚久美子の「お家騒動」
業績不振に追い打ちをかけたのが大塚勝久前社長と長女の大塚久美子社長の対立による「お家騒動」です。 2009年に14億円以上の赤字決算を出した大塚勝久社長に代わって大塚久美子氏が社長に就任すると、久美子社長は新しいタイプの店舗や通販サイトを立ち上げ、業績は黒字に転じました。 しかし2014年7月に解任され勝久氏が再び社長に復帰するものの、2014年12月期には4年ぶりに赤字たなったため、2015年1月に久美子氏の社長復帰となりました。
大塚久美子の経営意思決定のミス
4期連続の赤字決算が目前の「大塚家具」ですが、その原因は大塚久美子社長の経営意思決定のミスにあります。 もともと高級家具路線で伸びてきた「大塚家具」ですが、その一方で北欧のインテリアを販売する店舗を開設したりネット販売に乗り出すなど、どちらつかずの中途半端な経営が業績不振の原因とされます。 ニトリやIKEAと差別化を図るなら富裕層を対象にした高価格帯の品揃えが必要との指摘もあります。
大塚勝久の匠大塚
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2015年に社長を解任された大塚勝久氏ですが、高級家具販売へのこだわりは強く、その翌年の2015年7月に家具の小売りをする新会社匠大塚（資本金3,000万円）を立ち上げます。 勝久氏が会長、長男の勝之氏が社長を務め、本店を「大塚家具」本社のある春日部市に置くなど対抗姿勢を見せています。その匠大塚の状況を見てみましょう。
完全な高級路線
匠大塚は当初ホテルやオフィスなどに特別注文家具を大量に納品するなど、大塚家具との競合を避けていましたが、その後小売りを本格化するようになります。 春日部本店をフロア面積が東京ドームの2倍もあるインテリアのテーマパークにして、日本初上陸ブランド「ESSENZAエッセンサ」をはじめ国内外のハイクオリティな家具・照明・カーテン・絨毯・寝具をそろえるなど、勝久氏の再挑戦への意欲がうかがわれます。
業績は良くない様子
匠大塚は設立の翌2016年に春日部本店、日本橋タワーにインテリアサロン、また2017年に春日部本店に匠サローネ、2018年には青山（渋谷区）と大宮タカシマヤ（大宮市）の店舗など、短期間に次々と開設しており一見順調に見えます。 匠大塚の経営状況については未上場で株式公開をしていないため詳細は不明ですが、役員もやめていることもあり業績は良いとはいえないようです。
大塚家具の役員はほとんど去っていった
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「大塚家具」では預金や投資有価証券が減少しており、資金繰りの破綻でいつ倒産してもおかしくない状態です。 また親子の対立や兄弟間の確執もあり、「大塚家具」では会社を見限った役員が相次いで去っている状態です。 一方で大塚久美子社長は経営不振からの脱却のため、2019年3月には社長と社長の義弟を除く全ての取締役を交替させる人事を行いました。
大塚家具の身売り：中国資本の存在
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こうした中で「大塚家具」にとって今必要なのは資金の確保で、2017年11月に貸会議室の運営を行っている株式会社ティーケーピーと資本業務提携を行いました。 また今年2月中国企業から第三者割当増資で約38億円、さらに新株予約権発行で合わせて76億円を調達すると発表したものの、結局6月30日までに26億円しか集まりませんでした。 現在水面下でアリババと資本関係のある中国家具販売大手居然之との資本提携が進められているとの話もあり、中国資本の存在が気になるところです。
大塚家具の今後は？
このままでは倒産は避けられないと見られる大塚家具ですが、資本参加や経営権を手放すことで危機を乗り越えられるかというと、それも容易ではなさそうです。 今回の中国企業からの資本参加にしても、第三者割当増資約38億円、株予約権発行で合わせて76億円を調達できていれば、ハイラインズなど増資引き受け企業の株式が株式総数の過半数を占め中国側に経営権が渡っていました。しかしそれを中国が認めなかったともいわれています。 中国資本の動向にかかっている「大塚家具」ですが、今後も綱渡りは続きそうです。
