「涅槃」の要点
-
意味:「煩悩が消滅し到達した悟りの境地」
-
由来:「サンスクリット語の『ニルバーナ(nirvana)』」
-
例文:「私は先に逝ってしまいますが、あなたを涅槃で待っています。」
-
英語:「Nirvana」
涅槃(ねはん)の意味は「煩悩が消滅し到達した悟りの境地」
(画像:Unsplash)
「涅槃(ねはん)」という言葉は、日常使いする機会は少ないかもしれません。しかし仏教徒にはなじみの言葉です。 「涅槃」は「煩悩が消滅し到達した悟りの境地」という意味です。「修行をすることですべての煩悩から解き放たれ、悟りの智慧(ちえ)を完成する高みに上ったこと」を指しています。 そして「釈迦の入滅」という「お釈迦様が亡くなった」ことを意味した使い方もあります。仏教では「生死を超えた悟りの境地」という意味でも使われます。
涅槃の語源はサンスクリット語のニルバーナ
(画像:Unsplash)
「涅槃(ねはん)」の語源は、サンスクリット語の「ニルバーナ(nirvana)」とされています。 「ニルバーナ」は「吹き消された」ことを意味しています。仏教ではこの意味に「輪廻転生からの解脱」「智慧により心理を獲得した悟りの境地」という考えが加わっています。そのため「ニルバーナ」を音訳した「涅槃(ねはん)」という言葉が生まれたそうです。 また「涅槃(ねはん)」は北枕の由来とされています。これはお釈迦様が入滅された際、頭を北に顔を西に向けていたといわれているからです。そのため仏教の作法で北枕が取り入れられています。
涅槃寂静は仏教の教え「三法印」の1つ
(画像:Unsplash)
「涅槃(ねはん)」を使った四字熟語に「涅槃寂静」があります。「涅槃寂静」は大乗仏教における基本教義とされる、「三方印」の1つです。「涅槃寂静」の他に「諸行無常印」と「諸法無我印」があります。 この「涅槃寂静」には、「煩悩が消え静かで安らかな悟りの境地」という意味があります。そして漢字を使う文化圏では「数の単位」として用いられる言葉です。数の単位である「涅槃寂静」は10のマイナス24乗を表しており、それより小さな数は存在しません。
涅槃の使い方と例文
(画像:Unsplash)
「涅槃(ねはん)」は名詞として使われることが大半で慣用表現は多くありません。しかし昭和生まれの方には、聞き覚えのある慣用表現もあります。 ここでは「涅槃(ねはん)で待つ」と「涅槃(ねはん)に入る」という2つの使い方について、例文も合わせて説明します。
例文①涅槃で待つ
1983年ある有名俳優が自死しました。その際に残されていた遺書に「涅槃(ねはん)で待つ」という表現が使われ「涅槃」という言葉が一躍有名になったのです。「おやじ涅槃(ねはん)で待っている」がそのときの言葉です。
例文
-
私は先に逝ってしまいますが、あなたを涅槃で待っています。
涅槃(ねはん)で待つ」という言葉は、「煩悩を吹き消した悟りの境地で待っている」という意味で使われます。しかし受け取り方によっては、「先に逝きますが後を追ってください」というニュアンスが感じられる表現です。
例文②涅槃に入る
「涅槃(ねはん)に入る」は、仏教に関わる話の中で聞くことが多い表現です。
例文
-
お釈迦様は涅槃に入るまでに、数多くの教えを残しています。
例文
-
よりたくさんの乗客が不幸な列車事故により涅槃に入りました。
「涅槃に入る」という表現には、「お釈迦様が入滅する」「広く人々が亡くなってしまう」という2つの意味があります。「涅槃」は本来、仏教徒に使われる言葉なので僧侶が亡くなる時にも用いられます。
涅槃の英語は「Nirvana」
(画像:Unsplash)
「涅槃(ねはん)」は英訳では「Nirvana」と表します。
名詞である「Nirvana」だけでなく「涅槃に入る」ことを「Buddha attaining Nirvana」などと表現することもあります。