モラルハザードとは「非道徳的な行動を取ること」。事例、対策、業界ごとのモラルハザードを紹介。

モラルハザードの意味は「非道徳的な行動を取ること」

(画像:Unsplash

我が国において「モラルハザード」の意味は「非道徳的な行動を取ること」と理解されています。 火災保険に加入して自らが火災を起こすケースなどの保険金詐欺や致命的な罰則がないことを盾に取った給食費未払いなど、「節度を失った非道徳的な行動」が「モラルハザード」と考えられています。 しかしながらこれは我が国独特の考え方で、本来「モラルハザード」には倫理や道徳の概念は含まれていないとするのが世界的な常識になっています。

スポンサーリンク

モラルハザードはもともと保険や金融業界で使われていた

(画像:Unsplash

「モラルハザード」という用語はそもそも保険業界や金融関係で使われていました。 本来「モラルハザード」は自動車保険によって損失が補償されるため注意義務を怠るようになったり、預金者保護のため金融機関の経営危機を政府が支援することを見越して金融機関が乱脈融資を繰り返したりすることに対して使われていました。 ここに倫理や道徳の考え方は入っていません。日本に「モラルハザード」の概念が入ってきたときその解釈が拡大され、倫理や道徳に反する行為として現在の形で日本独自の使われ方をするようになったのです。

 

モラルハザードの企業での事例とその対策

(画像:Unsplash

「モラルハザード」の概念が理解できたところで、具体的な事例を見ていきましょう。 「モラルハザード」はどの業界でも組織でも発生する可能性がありますが、今回は「モラルハザード」が起きる最も一般的な事例として金融機関と保険会社のケースを解説します。

スポンサーリンク

事例①コスモ信用組合

コスモ信用組合はバブル崩壊後非常に高利率の「マンモス定期」で多額の預金を集めました。しかしながらバブル時に取得した不動産価値の暴落や不正な大口融資の不良債権化などによって、資金繰りに行き詰まり破綻してしまいます。 破綻後預金者保護を名目に日本銀行と預金保険機構による多額の金融支援が実施され、預金者の資金は元本を含め全額が保証されました。 旧経営陣への背任罪等の責任追及は行われましたが、既にバブルが崩壊していたにもかかわらず見通しの甘い拡大策をとったコスモ信用組合の「モラルハザード」が厳しく批判され、その後金融機関への監督規制が強化されることにつながりました。