雇用保険と社会保険の違いや加入条件。パートやアルバイトも対象になる条件とは？│ビズキャリonline　仕事と生活

雇用保険・社会保険とは

雇用保険と社会保険の保障内容や加入条件

雇用保険と社会保険の違いは？
雇用保険と社会保険の加入条件
社会保険加入のメリットとデメリット

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雇用保険と社会保険の違いとは

雇用保険と社会保険はどちらも生活の一部の助けになる社会保障制度ですが、保障の対象範囲などには違いがあります。加入条件にも相違点がありますので、整理しながら確認しておきましょう。

雇用保険・労災保険の総称が労働保険

労働保険とは雇用保険と労災保険との総称です。雇用保険は、加入者が職を失ったときに給付を行うほか、再び働けるようになるまでの活動と生活を支援します。労災保険は、勤務者が業務中や通勤中などに病気やケガになってしまった時に保険金を給付します。万が一労働者が亡くなってしまったときは、遺族が給付金を受け取ることができます。

社会保険は健康保険・厚生年金保険の総称

社会保険は健康保険と厚生年金保険との総称です。健康保険は、加入者が保険料を納め、病気やけがをしたときには医療費が軽減される制度です。厚生年金保険には、70歳未満の勤め人が加入できます。給付の際は、基礎となっている国民年金の額に厚生年金保険の分が上乗せされて支給されます。

加入条件は雇用保険が厳しく、社会保険は緩い

パートやアルバイトでも勤務時間が週20時間以上であれば雇用保険への加入が必要です。一方社会保険の加入条件は、正社員と比較した勤務時間が基準になっており、勤務時間が正社員の4分の3以上の場合に加入義務が生じます。また雇用保険は31日の雇用見込みがある場合に加入が必要になりますが、社会保険では2か月以上と条件が緩くなっています。

雇用保険の加入条件

雇用保険に加入するには働く時間や雇用見込みの期間が決められています。短期や短時間での勤務体系では対象外となってしまいますので、確認しておきましょう。

1週間の所定労働時間が20時間以上

雇用保険に加入するには所定労働時間は週で20時間以上必要です。4時間勤務で週5日、6時間勤務で週4日程度働いているパートやアルバイトの方も対象です。所定労働時間とは休憩時間を含まない労働時間のことをいいます。また当初は週20時間以上勤務していても、途中変更でそれを満たさなくなった場合は雇用保険の適用外となります。

31日以上引き続き雇用される見込みあり

雇用保険は、1日のみの日雇い労働者や数週間程度の短期雇用者では加入することができません。31日以上雇われる見込みがある場合に、加入対象となります。正社員はほぼ間違いなく加入対象になるでしょうし、パートやアルバイトの方も通常の雇用であれば、１か月以上働くことの方が多いのではないでしょうか。

社会保険の加入条件

社会保険は事業所の規模などによって加入条件が変わってきますので注意が必要です。大きな事業所では週20時間以上勤務するのであればアルバイトやパートも加入の義務が発生しますが、適用されない事業所であれば正社員でも加入できません。

会社が社会保険の適用事業所である

社会保険に加入できるのは、常に5人以上の従業員が勤務している「適用事業所」と呼ばれるところです。株式会社や有限会社などは、たいていはこの条件を満たしています。個人商店など一部社会保険が適用外の事業所もありますが、任意で適用事業所になっていることもあります。勤め先が適用事業所かどうかは、働く前に確認しておきましょう。

雇用契約期間が2ヶ月以上

２か月以上雇用されることになっている方は、社会保険に加入することができます。正社員雇用でなくとも、長期のパートやアルバイトならこの条件を満たしています。社会保険料が給与から天引きされるので手取り額が減ってしまいますが、半額は会社負担、保障は国の健康保険と年金以上になる点にメリットがあります。

勤務時間・日数が正規社員のおおむね3/4以上

パートやアルバイトは勤務時間正社員の4分の3以上が社会保険加入の目安です。正社員の週の勤務時間が40時間、月の勤務日数が20日なら、それぞれ30時間、15日以上が加入ラインです。なお、大規模な事業所の場合は雇用保険と同様に、週の勤務時間が20時間以上という厳しい条件が付加されています。

アルバイト・パートの社会保険の加入条件

アルバイトやパートの方は勤め先の規模などによっては社会保険の加入条件が緩くなっています。基本的には501人以上働いている事業所が対象ですが、平成29年4月以降は500人以下の事業所でも労使で社会保険に対する合意があれば社会保険加入の対象となっています。

週の所定労働時間が20時間以上

501人以上の従業員がいるか500人以下でも労使の合意がある事業所では、所定労働時間は週30時間以上ではなく20時間以上に緩和されました。所定労働時間とは残業時間は含まず、雇用契約書などであらかじめ決められている労働時間が該当します。

年約106万円以上

1年でもらう賃金総額が約106万円以上になると、社会保険に加入することになります。目安になるのは、月の賃金が8万8,000円以上です。雇用契約書などに示されている所定内賃金（毎月決められている）を確認してみましょう。時間給に1週間の所定労働時間と52週を掛け、それを12か月で割って算出することができます。

1年以上の使用されることが見込まれる

雇用期間1年以上が社会保険加入の一つの基準です。実際の雇用期間ではなく、雇用契約書などに1年以上の契約期間が記載されているかどうかで判断します。また契約書などに1年未満の契約期間が書かれていても、更新すると記載されている場合も対象になります。

従業員501名以上（厚生年金の被保険者数）の勤務先で働いてい

厚生年金の被保険者数が501名以上の特定適用事業所で働くパートやアルバイトの方は、これらの緩和された適用条件で社会保険に加入できます。従業員の数がわからず勤務先が特定適用事業所かどうかわからない場合は、日本年金機構の適用事業所検索システムで確認しましょう。また従業員が500名以下の事業所でも労使で社会保険に加入することに合意が得られている場合も対象になります。

原則学生でない

社会保険は原則学生は加入できません。ただし定時制や夜間、通信制の学校へ通っている方は勤務時間などの条件をクリアすると社会保険に加入できます。社会保険は条件を満たすと自分の意思とは無関係に加入しなければなりません。社会保険に加入したくない方は事前に勤務先に相談しておくことが必要です。

社会保険加入のメリットとデメリット

社会保険加入にはメリットとデメリットの両方があります。支払う保険料に対して手厚い保証が得られ先々の生活を安定させることができますが、扶養されている方は手取り額が減ってしまう点を忘れてはいけません。

自己負担額が減る・年金額が増える・手厚い保証制度あり

社会保険に加入すると月々支払う保険料の自己負担が減るのに対し、年金額は増えるメリットがあります。事業所が社会保険料を半分負担してくれますし、厚生年金の額は国民年金に対し、20年間加入すれば月額1万円弱増やすことができます。医療保険の給付金についても一部の現金給付金が増額されるなど、国民健康保険以上の手厚い保証制度を受けることが可能です。

年収130万以上は控除対象外で給与の手取り額が減る

夫の被扶養者である妻がパートやアルバイトをした場合、年収130万円を超えると夫の扶養から外れ社会保険料を妻も払わなければなりません。仮に妻の収入が131万円になると手取りは95万円まで下がります。パートやアルバイトの妻の収入をどのくらいにすべきかは、家族で決めておいた方が良いでしょう。

雇用保険・社会保険に未加入の場合の確認・対処法

加入状況は勤め先に直接聞くのではなく、雇用保険は身分証を持参してハローワークで、厚生年金保険は自宅に郵送されるねんきん定期便、または年金事務所に出向いて確認しましょう。そして万が一加入できていない場合はそのままハローワークや年金事務所などの専門機関へ相談するか、弁護士に相談してみると良いでしょう。

加入条件やメリット・デメリットを踏まえ自分に合った選択を

現在は大規模な事業所などでは社会保険に加入する条件が緩和され、パートやアルバイトの方にも適用範囲が広がっています。社会保険は支払う額に対して保証が手厚いメリットがありますが、保険料支払いにより手取りの給与額が減ってしまうデメリットもあります。扶養を外れるかどうかで世帯年収が変わってきますので、どのように働くのが良いかを考えることが重要です。