雇用保険の基本手当制度や手続き方法とは？会社都合・自己都合退職後で異なる方法。│ビズキャリonline　仕事と生活

雇用保険の基本手当制度とは

1分でわかるニュースの要点

働く意欲を持つ労働者の再就職を支援
無条件で支給される手当ではない
自己都合と会社都合では支給内容が相違

雇用保険の基本手当制度は、働く意欲を持つ労働者の再就職を支援するものです。ただし加入期間などに縛りがあり無条件で支給される手当ではありません。特に自己の都合で退職する場合と会社都合の退職では支給内容が大きく異なります。

雇用保険の加入条件や受給期間とは。パートやアルバイトも対象となるのか？雇用保険は、労働者の生活を支えることを目的としています。国によって運営されていて、ハローワーク（公共職業安定所）が窓口です。制度を利用すれば、離職や休職した方は再度働けるようになるまでの一定期間、給付金を受け取ることができます。　　　　　　　

基本手当である失業給付金と失業手当を受給できる条件

労働者が失業した場合、次の就職先を見つけるまでの間の生活費が必要となります。ここで利用したいのが基本手当ですが無条件で支給されるわけではありません。

失業状態である

雇用保険を受給するには「失業状態」であることが条件です。「失業状態」に陥るにはいくつかの理由が考えられます。会社にリストラされた場合やハラスメントに遭った場合、仕事を続けたくとも叶いません。給与の未払いなどでやむなく退職せざるを得ない状況もあるでしょう。したがって「自己都合」と「特別な事情」では条件が異なります。

雇用保険加入期間が退職日以前の2年間に12ヶ月以上

基本手当を受給するには、退職日以前の2年間に12ヶ月以上保険料を納めていたことが条件です。就職すると雇用保険に加入することが義務付けられます。言い換えれば未加入だと「基本手当」が支給されることはありません。ただし保険料を納入していた期間に縛りを設けなければ、短期間で退職を繰り返す不正受給が繰り返される可能性があります。そこで「自己都合」では条件を設けています。

ハローワークに求職票を提出

基本手当を受給するにはハローワークに「求職票」を差し出す必要があります。その際「雇用保険被保険者離職票」「マイナンバー」「証明写真」「印章」「銀行口座」を持参しなければなりません。「雇用保険被保険者離職票」は「雇用保険被保険者証」とともに退職する会社から受け取ります。求職活動を行うことが支給要件であり、ハローワークに申請することを理解しておきましょう。

退職する前に確認すること

勤務していた会社を退職して転職する人が増えています。その多くは当面の生活費を雇用保険で賄おうと考えているでしょう。しかし基本手当は無条件で支給されるものではありません。退職した後に後悔しないよう、事前に確認しておく必要があります。

雇用保険被保険者証の有無

「雇用保険被保険者証」は加入していた事実を客観的に証明する大切な証です。基本的に在職中に交付されることはありません。保険料は、会社が計算して給与から天引きされています。そのため、雇用保険に加入していることすら認識できていない人も少なくありません。基本手当を受給する際だけでなく、転職の際にも必要なので忘れず受け取りましょう。

離職証明書の作成

離職証明書は「離職票」とも呼ばれ、勤務していた会社が作成します。自動的には交付されないので、離職が決まったら給与担当者に作成を依頼しましょう。給与担当者は離職理由などを本人に確認し記名押印もしくは署名を得なければなりません。離職理由によって給付金額が異なるのがその理由です。なお離職証明書は退職後に郵送などで届きますが、離職後10日を経過すると発行できないので注意しましょう。

退職後の雇用保険の手続き方法

基本手当の手続きは退職する本人が行わなければなりません。手続きには期限があり遅れてしまうと受け取れないこともありますから注意が必要です。

必要書類を持ってハローワークへ

基本手当の申請手続きはハローワークで行います。提出が必要なのは「雇用保険被保険者離職票」「マイナンバー」「証明写真」「印章」「銀行口座」です。どれが1つでも欠けてしまうと申請手続きができないので注意しましょう。書類が揃ったらハローワークに備え付けてある「求職票」を作成して申請手続きを順次進めていきます。

7日間の待機期間後、会社都合・自己都合退職の給付までの流れが異なる

ハローワークに求職票や離職票などを提出しても直ちに給付されません。まず7日間の待機期間が設けられます。加えて離職理由が「会社都合」と「自己都合」では給付までの期間やフローが異なるので注意しましょう。自己都合の場合だと不正受給防止の観点から3か月間の給付制限が設けられているのが特徴です。つまり3ヵ月間は自力で生活しなければなりません。

会社都合退職の場合

会社都合退職の場合、仕事を続ける意思がありながら不意に職を失うため、自己の責任はありません。再就職までの生活は基本手当で賄うことになり、自己都合と比較すると優遇されます。

雇用保険受給説明会に出席し、失業認定日を確認

ハローワークに求職票を提出し基本手当の申請を行なうと、雇用保険受給説明会の案内が届きます。雇用保険失業説明会では受給に関する注意事項などが説明されますから筆記用具や印鑑が必要です。また失業認定日が確定しますから確実に出席しましょう。ハローワークから指定された日に出席できない場合には、迅速に相談することが大切です。

失業認定日から数えて5営業日に基本手当が支給

失業認定日が決まると基本手当の支給が開始されます。基本手当は指定した口座に失業認定日から5営業日に振り込まれます。基本手当は再就職までの生活を支える大切なお金です。振り込まれる口座は光熱費などが引き落とされるメイン口座を選びましょう。別口座を指定するとお金の引き出しが面倒となるだけでなく、メイン口座に振り込むための手数料などが発生します。

4週間に1度の失業認定日にハローワークへ行き、失業認定申告書を記入

基本手当の給付が始まったら、ハローワークで4週間に1度の失業認定日に失業認定申告書を記入します。再就職までの生活を保証し、不安なく集中して就職活動ができるよう措置するのが基本手当です。言い換えれば、再就職に向けて取り組まない人に支給される手当ではありません。4週に1度は活動が継続していることを申し立て失業認定してもらいましょう。

再就職・給付期限まで、失業認定と給付の繰り返し

会社都合退職の場合、再就職が決まるか給付期限まで失業認定と給付を繰り返します。もちろん、その間はしっかりと再就職に向けての活動が必須です。どの職種も労働力不足が顕著であり、一時期に比較すると再就職はしやすい環境にあります。しかし、仕事を持たない期間が長くなればモチベーションを維持するのが難しくなります。早期に再就職先を決めるのが得策です。

自己都合退職の場合

自己都合退職の場合、あくまで辞めるのは自分の意志です。再就職までの生活を基本手当で賄うことに変わりありません。しかし会社都合退職とでは給付までに大きな差があります。

待機期間後に3ヶ月の給付制限期間あり

基本手当の申請を手続きを終えると、7日間の待機期間が設けられます。この部分は会社都合と自己都合退職に差はありません。最も異なるのは自己都合の場合、さらに3ヶ月の給付制限期間が設けられている点です。この期間は不正受給を防ぐことを目的に設けられています。したがって、自己都合で退職する際には少なくとも3ヶ月間は地力で生活しなければならないことを想定しておきましょう。

給付制限期間後の失業認定日にハローワークへ行き、失業認定申告書を提出

自己都合退職で基本手当を受給するには、給付制限期間後の失業認定日にハローワークへ失業認定申告書を提出しなければなりません。失業認定日は7日間の待機期間後に開催される説明会で確定しますから参加しておきましょう。給付制限期間中はしっかりと就職活動に取り組むことが大切です。理由もなく活動を放棄していると給付されない場合もあることを忘れてはなりません。

自己都合退職の場合、給付金支給期間が短くなる

自己都合退職の場合、給付金支給期間が短くなることも十分考慮しておきましょう。例えば会社都合退職の場合だと、被保険者であった期間が1年未満でも支給期間は90日間あります。自己都合の場合だと支給期間はゼロです。短期間で転職を繰り返す人は前職の期間も引き継がれますが、基本手当をもらうとリセットされます。失業すれば全て支給対象だと勘違いしやすいので注意しましょう。

失業保険の仕組みとは。会社都合退職か自己都合退職かで変わる給付。失業中の求職活動や生活をサポートしてくれる失業保険は会社都合での退職の方が手厚い支援だというのが一般的です。実際にもらえる額の多さや退職してすぐに給付されるスピードがある一方、転職活動時にはデメリットになる可能性もあります。中には自己都合退職扱いが会社都合退職扱いに変わる場合もあるので、ハローワークで確認してみましょう。今回は失業保険の仕組みに切り込みます。

基本手当の給付額・給付期間

基本手当は再就職の意欲をもつ人を応援するための手当です。無条件で誰もが給付されるものではなく、いくつもの条件をクリアする必要があります。給付額や給付期間も一律に決められているわけではありません。大切なのは勤続年数や離職理由になります。特に離職理由については「自己都合」と「会社都合」では給付額や給付期間が大きく異にしますので十分な区別が必要です。

給付額は年齢によって異なるが離職前の賃金の5〜8割程度

基本手当を受給する上で最も気になるのが「給付額」ではないでしょうか。年齢や勤続年数によって異なりますが、離職前の賃金の5～8割程度が目安となります。例えば6か月分の給与総額が720,000円だと日額は4,000円です。この日額で年齢が30歳未満であれば給付率は80%となり支給日額は3,200円になります。3,200円に給付日額を掛け合わせたものが支給額です。

給付期間は雇用保険加入期間・年齢・離職理由が左右する

給付期間は雇用保険加入期間、年齢、離職理由に左右されます。自己都合の場合だと年齢に関係なく雇用保険加入期間が1年以上10年未満であれば90日です。 10年以上20年未満だと120日、20年以上は一律150日です。会社都合退職だと年齢や加入期間によって細かく区分され雇用保険加入期間が1年未満でも90日が保証されます。なお、上限は240日となり自己退職よりも好待遇です。

年金と一緒に受給可能な｢高年齢求職者給付金｣とは

高齢者雇用は少子高齢化が進む我が国において喫緊の課題といえるでしょう。しかし、高齢求職者の就職活動が円滑に進んでいないのも事実です。

65歳以上が対象の制度で基本手当の代わりに支給

「高年齢求職者給付金」とは65歳以上の高齢失業者に対して支給されます。つまり基本手当の代わりに支給される手当だといえるでしょう。少子高齢化が進む日本において、高齢者雇用はとても重要な課題です。しかし、働く意欲をもつ高齢者にとって求職活動は決して平たんなものではありません。そこで意欲ある高齢者を支援する目的で創設されたといえるでしょう。

高年齢求職者給付金の3つの条件

65歳以上の失業者に対して給付されるのが「高年齢求職者給付金」です。年齢だけで給付されるわけではありません。基本手当同様に雇用保険への加入期間が条件になります。本件の場合だと失業日直近の1年間に6か月以上の加入期間が条件です。働く意思があるだけでなく求職活動を行うことが条件となることはいうまでもないでしょう。

65歳以上からの雇用保険料の徴収が4月1日からスタート。失業保険など多くのメリット。2020年4月1日より、それまで免除されていた65歳以上の雇用保険被保険者（高年齢被保険者）の雇用保険料の徴収がスタートしています。制度改定に伴う混乱防止のために、2019年3月31日まで支払いは元々免除でした。ただし保険料を収める必要があるものの、65歳以上でも雇用保険に関する各種給付金が受け取れるようになっています。

求職中の命綱となる基本手当制度

休職中の命綱となるのが基本手当制度です。現代は「終身雇用」の時代ではありません。転職は珍しいことではありませんし、会社都合により退職も大いにあり得ることです。休職した際に慌てないためにも、基本手当制度を理解しておくことは必須といえます。とりわけ自己都合と会社都合による基本手当の相違点は確実に理解しておきましょう。