雇用保険の加入条件や受給期間とは。パートやアルバイトも対象となるのか？│ビズキャリonline　仕事と生活

雇用保険のいろは

雇用保険とは

雇用保険の役割とは？
雇用保険の加入条件や対象者は？
雇用保険に加入するには

65歳以上からの雇用保険料の徴収が4月1日からスタート。失業保険など多くのメリット。2020年4月1日より、それまで免除されていた65歳以上の雇用保険被保険者（高年齢被保険者）の雇用保険料の徴収がスタートしています。制度改定に伴う混乱防止のために、2019年3月31日まで支払いは元々免除でした。ただし保険料を収める必要があるものの、65歳以上でも雇用保険に関する各種給付金が受け取れるようになっています。

雇用保険の役割

雇用保険は、失業した労働者が求職活動を行うことができ、再就職までの生活を安定させられるようにすることが目的です。加えて、定年退職後の再雇用で給与が減ってしまった場合や、介護などで休職しなければならなくなった場合にも、給付金を受けることができます。

失業給付金・失業手当で失業中の生活安定化を図る

失業給付金・失業手当は会社を退職した後から、次の会社に就業するまでの一定期間に支給されます。雇用保険の被保険者である期間が、離職日からさかのぼって12ヵ月以上あることが条件です。失業給付金・失業手当は、退社理由が会社都合と自己都合の場合を問わずに受け取ることができます。失業したときに、当面の間の生活費を調達することが可能です。

教育訓練給付金などその他給付金で失業者の再就職活動を促進

ほかにも、教育訓練施設の費用の20％または40％を支給する「教育訓練給付金」などの、再就職活動を支援するための給付金があります。例えば、高年齢者が失業したときに給付される「高年齢求職者給付金」や、求職申込みから15日以上ケガや病気で働けない場合に給付される「傷病手当」など、さまざまな種類が設定されています。

雇用保険の基本手当制度（失業給付金）の受給期間・金額

失業給付金を受け取れる日数は、雇用保険の被保険者だった期間によって定められています。被保険者の期間が1年以上10年未満までは90日、10年以上20年未満で120日、20年以上の場合で150日です。失業給付金の「基本手当日額」は、基本的には離職した直前6か月間に支払われた給料の合計を180で割った、その約50から80％と決められています。

失業保険の仕組みとは。会社都合退職か自己都合退職かで変わる給付。失業中の求職活動や生活をサポートしてくれる失業保険は会社都合での退職の方が手厚い支援だというのが一般的です。実際にもらえる額の多さや退職してすぐに給付されるスピードがある一方、転職活動時にはデメリットになる可能性もあります。中には自己都合退職扱いが会社都合退職扱いに変わる場合もあるので、ハローワークで確認してみましょう。今回は失業保険の仕組みに切り込みます。

雇用保険の加入条件における注意点

パートやアルバイトなどの非正規雇用者の方でも、労働期間や時間などの定められた条件を満たせば、雇用保険に加入できます。

勤務開始から最低31日以上は勤務する見込みあり

パートやアルバイトの非正規労働者が雇用保険の被保険者になるには、31日以上勤務する見込みがあることが条件です。雇用期間が決まっていない場合には31日以上の雇用実績があるか、雇用規約に更新の規定が書かれていて、31日未満での雇い止めが明示されていなければ被保険者の適用を受けられます。

週20時間以上の勤務

パートやアルバイトの方が雇用保険の被保険者になるには、所定労働時間が1週間で20時間以上となる必要もあります。 6時間勤務が週4回程度あれば、被保険者の適用基準を満たすことができます。一方、週単位で見たときに就業時間が基準以下となる勤務形態の場合は、長期勤務であっても被保険者になることはできません。

原則学生でない

パートやアルバイトの方が雇用保険の被保険者となるには、原則学生でないことも条件です。ですが休学中の方や、定時制や夜間、通信制の学校へ通っている方は、雇用保険に加入することができます。あわせて卒業見込みの学生が、卒業後も継続して同事業所で雇用されることが決まっている場合も、雇用保険の被保険者になります。

加入条件を途中から外れると被保険者資格喪失手続きの必要

加入条件を持っていた方が、勤務途中から加入条件を満たさなくなったときは、被保険者資格喪失手続きをしなければなりません。退職時以外にも、一時的な場合をのぞいて所定労働時間が1週間で20時間を下回るようになったときも該当します。「雇用保険被保険者資格喪失届」は、雇用者がハローワークへ提出します。

雇用保険の対象

雇用保険の対象者は、年齢と雇用される形態によって4つに分類されます。正社員だけでなく、非正規労働者や短期雇用者、日雇い労働者も条件を満たせば被保険者になることができます。一方、法人の取締役や個人事業主、公務員などには、雇用保険が適用されない点に注意しましょう。

正社員は必ず加入

正社員の方は、基本的には本人が希望せずとも被保険者になります。65歳未満の方は「一般被保険者」と呼ばれます。また、65歳になった方がその前から同一事業主に雇用されている場合は、「高年齢継続被保険者」になります。2020年4月1日以降からは、それまで免除されていた雇用保険料の支払いが義務付けられるようになりました。

パート・アルバイト・派遣社員は条件を満たせば加入可能

パートやアルバイト、派遣社員などの非正規労働者も、条件を満たせば雇用保険に加入できます。ただし同一事業者に31日以上継続して雇われる見込みがあること、所定労働時間が1週間で20時間以上であることなどの条件があります。雇用見込みと所定労働時間については、雇用契約書を読んで確認しましょう。

季節労働者は短期雇用特例被保険者に

季節労働者のうち、後述する日雇い労働者をのぞいた方は「短期雇用特例被保険者」になる場合があります。雇用期間は4か月以内で、所定労働時間が1週間で20時間以上から30時間未満の方が該当します。同じ事業者に雇われ続けて1年を超えた日からは、「一般被保険者」または「高年齢継続被保険者」に切り替わります。

日雇労働者は日雇労働被保険者または雇用保険被保険者に

日雇い労働者のうち30日以内の期間限定で雇用される方と、2か月続けて月18日以上日雇い労働をしている方は、「日雇労働被保険者」と定義されます。これらの条件を満たしている方は、ハローワークで「雇用保険日雇労働被保険者手帳」をもらうことで、雇用保険の被保険者の資格を得られます。

法人の取締役や個人事業主は対象外

雇用保険は事業者と労働者の間に立つ保険制度のため、法人の取締役や個人事業主は対象外とされています。株式会社や合同会社の取締役や監査役には、一部をのぞいて雇用保険が適用されません。また、法令などで身分保障がされている国家公務員と地方公務員には、失業の際には雇用保険とは別の保障制度があります。

雇用保険の加入手続き

雇用保険の加入手続きの際には事業主が必要な書類を揃え、決められた日までに手続きを完了させる必要があります。「雇用保険被保険者資格取得届」などの申請書類とともに、雇用契約書などの確認書類も持参しなければなりません。

新たな従業員を雇用後10日以内に手続き

雇用保険の加入手続きは、事業主が行います。雇用保険の被保険者の条件を満たした人を雇った日、または雇用者が被保険者の条件を満たした日の次の月の10日までに、「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。一方、被保険者が資格を失った場合は、「雇用保険被保険者離職証明書」または「雇用保険被保険者資格喪失届」を、その翌日から10日以内に提出する必要があります。

必要書類をハローワークに提出

「雇用保険被保険者資格取得届」は、事業主がハローワークへ提出します。そして事業所で雇用保険の被保険者の適用者が初めての場合は、同時に「雇用保険適用事業所設置届」も提出します。「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する際には、一緒に出勤簿や賃金台帳、労働者名簿、雇用契約書などの確認書類も必要です。

安心して働くための雇用保険

雇用保険は、労働者が働けなくなったときに備えて保険金を負担し、安心して働けるようにする制度です。正社員だけでなく、パートやアルバイト、短期労働者なども加入することができます。給付金は退職時以外にも、育児や病気などで休職する場合にも受け取れます。さまざまな求職活動を支援するための手当もありますので、再就職する意思があれば、雇用保険の支給が受けられることを覚えておきましょう。