幸楽苑が不採算の51店舗を閉鎖。人材不足への対策や味の改革など幸楽苑の戦略に注目。

 

幸楽苑が不採算店舗51店舗の閉鎖を決定

幸楽苑が51店舗を閉鎖

  • 幸楽苑が東海地域中心に不採算店舗51店舗を閉鎖・東北、関東地域に店舗を集中
  • 人材の有効活用と労働環境の見直しで店舗運営の効率化を図る
  • 味の改革やマーケティングの転換、改善など4つの経営方針を打ち立てV字回復を狙う

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幸楽苑の不採算店舗の閉鎖とその理由

(画像:Unsplash

店舗の閉鎖が多いのは東海と関東地域の51店舗で閉鎖店舗全体の8割を占めています。外食チェーンは慢性的な人手不足に悩まされており、幸楽苑も同様の課題に苦しんでいます。同社は不採算店舗をの閉鎖で人材の有効活用と労働環境の改善を図りながら、収益向上に繋げたい考えです。

 

東海地方を中心に51店舗を閉店

店舗の閉鎖が多いのは東海・関東地域で、東海地方が27店舗、関東が14店舗と全体の8割を占めています。 幸楽苑ホールディングスは2019年5月24日に公表した中期経営計画の目標達成のために、低収益店舗を閉鎖し、「収益重視型経営」の加速を進めていくとしています。 また、昨年起きた大型台風19号の水害で郡山工場が操業停止する事態となり、約250店舗への食材供給が出来なくなった経験を踏まえ、いかなる局面でも利益を確保できる体制を構築していくとしています。

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人材不足を受け、高収益店舗への人材の移動

外食チェーンは慢性的な人手不足が続いており、幸楽苑ホールディングスも店舗の拡大によって人材不足が深刻化していました。 今回閉店する店舗の従業員を高収益店舗に配置転換することで、人材の有効活用や労働環境の改善を図る考えです。 同社は閉店により一時的には売上の減少が起こると見ていますが、人材を集中させることで店舗運営の効率が上がることによる収益の向上に期待している模様です。

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労働環境の改善を目指す

幸楽苑ホールディングスでは、人材確保の一環として積極的な労働環境の改善に取り組んでいます。2019年12月31日には、ラストオーダーを14時に、また1月1日は全店を休業させています。 今期は営業時間を1時間短縮し従業員の長時間労働に対応する考えで、今後も様々な形で「働き方改革」を進めていくとしています。 こうした取り組みは業界全体にも広がっており、採算の合わない時間帯の営業による減収を抑える狙いもあるようです。

幸楽苑店舗同士の競合をなくす

幸楽苑ホールディングスは店舗の拡大を進めてきた弊害で、幸楽苑店舗同士のカニバリゼーション(共食い)がおきていました。 それによって、互いの店舗で顧客の獲得競争や人手不足が起きるなどの状況が続き、また近隣店舗ごとの広告費や物流などの販管費がかさみ収益を圧迫させていました。 同社は今回の店舗閉鎖によって、こうしたカニバリゼーションを解消させ全体の収益改善の向上を図りたい考えです。

 

物流の改善

幸楽苑ホールディングスでは店舗の拡大による物流コストが上昇し、利益を圧迫していました。今回の店舗閉鎖によって物流費の大幅な減少を見込んでいます。 同社は2018年3月に京都工場を売却し、西日本地域の店舗を大幅に縮小しています。また、北海道からは撤退しており、広範囲に渡る店舗への物流コストの削減に対応してきました。 今後は東北と関東に店舗を集中させることで物流コストを抑える考えです。

幸楽苑の業績

(画像:Unsplash

2020年1月6日に幸楽苑ホールディングスが発表した2020年3月期12月度の売上速報では、上期が売上高前期比102.0%、客数が101.5%と好調でした。しかし、年間では売上が前期比96.5%、客数96.5%と下期の不振が響きました。