「沽券(こけん)」の意味や慣用表現を解説します!

 

沽券とは

(画像:Unsplash

「沽券」という言葉には、女性より男性が使う頻度が高い印象があります。ビジネスや法廷がテーマの映画やドラマのセリフでも、「沽券」が使われる機会が多いです。しかし、若者が日常的に使う言葉ではありません。 そこでまず、「沽券」の読み方や意味について知ることから始めましょう。

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沽券の読み方は「こけん」

「沽券」は「沽」と「券」という2つの漢字でできています。「沽」は音読みだと「こ」、訓読みだと「う(る)」「か(う)」と読みます。「券」は音読みだと「けん」、訓読みだと「てがた」「わりふ」といいます。 「沽券」は両方を音読みするので、「こけん」といいます。文面で見かけるよりも、会話の中で使われることが多いでしょう。

 

沽券の意味は「人の値打ちや面目」

「沽券」は、人間の「値打ち」「面目」「体面」「品位」などを意味する言葉です。その人が持っている「品位」あるいは周囲が感じている「値打ち」「面目」を表現しています。中でも「品位」は、社会的地位が高いことを意味します。 そもそも「沽」には「売買する」「値」「値打ち」という意味があります。そして「券」は「証文」を表しています。かつては「土地や物品の売買契約書」という意味で使われていましたが、現在は意味が変わっています。

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沽券の語源

「沽券」の語源は平安時代にあります。平安時代にはすでに、土地の売買契約書が存在しました。それが「沽券」です。「沽券」には土地の権利者や家屋の有無、売買された際の金額などが記されており、価値を証明する書類として認識されてたのです。 しかし木造建築された家屋は焼失することも多く、江戸時代には土地の価値を記す書類になりました。そして「沽券」は「財産としての土地を持つ町人の身分証明」と、とらえられるようになります。それが「人間の値打ちや品格」という意味で、「沽券」が用いられるようになった所以(ゆえん)です。

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沽券の慣用句

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「沽券」は慣用表現で使われることが多い熟語です。具体的には「沽券が下がる」「沽券に関わる」「沽券を守る」などがあげられます。 ここでは利用頻度の高い、「沽券が下がる」「沽券に関わる」という2つの慣用表現について説明します。

沽券が下がる

ビジネスシーンで使われる慣用表現として連想されるのは、「 沽券が下がる」ではないでしょうか ・他人を貶めるようなことばかり言っていると、あなたの沽券が下がります。 ・これまでの経営方針にそぐわない新規事業を立ち上げるなんて、企業の沽券が下がるのです。 「 沽券が下がる」というのは、値打ちあるいは品位が下がってしまうという意味です。そのため相手を戒める、あるいは意見に反対する際に使われます。

 

沽券に関わる

「沽券に関わる」という言い回しも、テレビドラマや映画の中でもよく見聞きします。 ・失敗することがわかっているのに上司の言うなりになるなんて、私の沽券に関わります。 ・仕事を継続するためとはいえ間違っていないのに謝罪をするなど、男の沽券に関わると思いませんか。 「沽券に関わる」は品位あるいは対面に差し支えることを指し、個人も組織も対象となります。

沽券の使い方と例文

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「沽券」は慣用表現が多く、使われているのは「沽券が下がる」や「沽券に関わる」だけに限りません。「品位」や「体面」といった「沽券」が持つ意味が、違ったニュアンスで使われる表現もあります。 ここでは前述した慣用表現ではない「沽券」の使い方について、例文も交えて紹介します。