悟空のきもちの戦略とマーケティング
「悟空のきもち」は人気があるにも関わらず国内に4店舗しかありません。2008年開業しているので店舗をもう少し拡大してもいいのではないと思ってしまいますが、それこそが「悟空のきもち」の戦略なのです。 「悟空のきもち」の価値を高める、簡単にいうとブランド化・唯一無二の存在であり続けることなのです。そのために「悟空のきもち」が行っていることをみていきましょう。
数を売らず価値を高める
「悟空のきもち」は予約が取れない店として有名ですが店舗数を増やすという考えはありません。「悟空のきもち」には大量生産の意識は全くなく、ユーザーに目的を持って来店してもらうことを目指しています。 そのためには「絶頂睡眠」効果のあるヘッドマッサージの価値を高める必要があり、店舗を限ることで希少性とそこでしか受けられないという唯一無二感をアピールすることに成功しました。 ユーザーは「絶頂睡眠」を体感するため自ら目的を持って「悟空のきもち」に来店するようになるので遠方からでも足を運ぶのです。
徹底したブランディング
ブランディングとは何でもなかったものをブランド化することをいいますが「悟空のきもち」もヘッドマッサージをブランド化することに成功しています。 「悟空のきもち」は特徴である「絶頂睡眠」、開発商品の「熟睡用たわし」などを商標登録しました。そのことによって競合店が現れた場合でも同じようなネーミングを使用されることはなくオンリーワンであり続けることができます。 オンリーワンの商品や施術を数多く販売しないことで価値を高め「悟空のきもち」はブランド化されていったのです。
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客を楽しませるスタンス
従来マッサージやスパは「癒し」をアピールするものが多く、日々の疲れやストレスから解放されるとして人気でした。 しかし「悟空のきもち」はマッサージ・スパを「癒し」からアミューズメントへと変えていきました。各店舗別にテーマ性を持たせテーマパークのような外観・内装にしマッサージを楽しめるものにしています。 また「眠りのジェットコースター」や「絶頂睡眠」など、「何だろう」と興味をそそるネーミングが多いのも「悟空のきもち」の特徴です。知りたいという知的好奇心があおられネーミングの意味を考えるだけでも楽しめます。
女性が働きやすい環境を整える
一般のマッサージ店とは違い「悟空のきもち」には指名制やノルマがありません。そのため働くセタピストは自由にシフトが組めるのが特徴です。 子育てや家事、介護などの事情を優先させながら働くことができ、女性のライフステージ上の様々な変化にも対応しながら長く働き続けられます。 また「悟空のきもち」には人事部や商品開発などの専門部署もありません。やりたいと思えばどんなことにもチャレンジできるのでモチベーションが下がらず働けることも魅力です。
ヘッドスパ事業を軸に様々な取り組みに挑む
ヘッドマッサージが人気の「悟空のきもち」は眠り以外の効果についてのアピールは一切していません。それだけ眠りの分野に特化し力を注いでいるのです。 そんな「悟空のきもち」がヘッドマッサージ以外にも眠りについての取り組みを行っています。販売後即完売となった話題の商品も多いので詳しくみていきましょう。
無水ヘッドスパの人材育成
「悟空のきもち」では「無水ヘッドスパ」の技術スクールを東京と大阪に持ち人材育成を行っています。 短期集中講座なので連続7日間確保することができれば未経験でも受講することが可能です。講師であるヘッドマイスター1人に6名の受講生で行われるのでので、少人数制でしっかり学べ認定資格を取得することもできます。 スクールが東京と大阪しかありませんが無料の宿泊施設があるので遠方の人でも受講できますが、非常に人気が高く数日・即日に満席になることも多いようです。
睡眠用うどん
「悟空のきもち」が販売した掛け布団「睡眠用うどん」は初回生産500枚が即完売となりました。 長方形の布団に切り込みが入り、うどんを横に数本並べたような見た目で一本一本がクッションになっています。隙間から手足を出し数本を抱きしめて眠ることもでき、見た目のインパクトだけでなく機能性も高いと人気です。 眠る前と眠った後では適した寝具は異なりがあります。そこで眠ってから目覚めるまで常に快適な状態を保つために「悟空のきもち」が考え開発されたのが「睡眠用うどん」です。
熟睡用たわし
発売後即完売となった「睡眠用たわし」を改良して発売されたのが「熟睡用たわし」です。簡単にいうと枕のようなものですがふわふわした手触りの枕とは異なり毛がたった弾力性のあるものとなっています。 見た目はまさに「たわし」ですが実際のたわしのようにチクチクとした刺激があるわけではありません。 「熟睡用たわし」はよく眠れると大評判の「睡眠用たわし」の販売から間を置かないで形・毛の長さなどが改良されました。新商品で人気があるにも関わらず即改良する姿勢に「悟空のきもち」の眠りに対する探究心と柔軟性を感じます。
ただのタタミ
「ただのタタミ」はベッドの上に置かれたタタミが1番眠りに誘われやすい早さの時速4キロ程度で自動に動き、まるで空を飛んでいるような感覚になる「悟空のきもち」の商品です。 タタミが置かれたベッドのようなものが屋外を動いている動画がシュールと話題になりました。 「アラジンのように絨毯で空を飛んでみたい」という思いを日本風にタタミという形で実現したのが「ただのタタミ」なのです。「ただのタタミ」は関西電力・損保ジャパン日本興亜との共同プロジェクトになっています。
悟空のきもちはニューヨークにも進出
2019年3月「悟空のきもち」はニューヨークに店舗をオープンさせました。ニューヨーク進出は「悟空のきもち」にとって冒険以外のなにものでもなく利益を目的としたものではないと社長の金田淳美さんは語っています。 世界で1番人気のある店を作りたいとの思いから、勝算もなくオープンしたニューヨーク店はホームページ・広告、パンフレットいっさいありませんでした。口コミだけで本物になる可能性を示すための試みだったのです。 当初は日本人ばかりのお客でしたが次第にアメリカ人の数が増えていき、結果的にオープン月に単月黒字となりました。