「君子危うきに近寄らず」の意味や例文をわかりやすく解説!

「君子危うきに近寄らず」の意味と由来

「君子危うきに近寄らず」とはどんな意味を持つ言葉なのでしょう。 なかなか使わない日本語ですが、由来や用例を知っておくことで、とっさの時に利用することができます。 この機会にぜひ、身に着けておきましょう。

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「君子危うきに近寄らず」の意味は「賢い人は危険なことをせず慎む」

「君子危うきに近寄らず」とは、「賢い人間はわざわざ危ないところに近づかずに慎む」という意味のことわざです。 状況によって「危うき」場所は変わります。 しかし、どんな場合でも賢い人(君子)は危ない場所を見抜き、そもそも近寄らないようにする、という故事成語です。

 

「君子危うきに近寄らず」の由来は『春秋公羊伝』

詳しい出典は不明ですが、一説では魯国の記録を元に孔子が記した書籍「春秋公羊伝」に登場した言葉が由来だといわれています。 春秋公羊伝に登場したある言葉が転じて、ことわざになった、という説が有力です。 春秋公羊伝の一節で、お見合い相手の女の子の家へ男性が挨拶に行くことになります。 その男性の上司が一言「女の子の父親はとても怖い人だぞ」と脅かします。怖くなった男性はひとりでいくのが怖くなり、上司にもついてきてくれ、と頼みます。 しかし、上司はそのお願いを断ります。 その時に発言した内容が 「賢い人は危険なことをせずに慎む」 という言葉だったのです。 これが転じて今の「君子危うきに近寄らず」ということわざになり、現代に受け継がれています。

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「君子危うきに近寄らず」の使い方と例文

実際に、現代で「君子危うきに近寄らず」を用いる機会はあるのでしょうか。 日常会話ではめっきり聞かない日本語ではありますが、用例を知っていれば使うタイミングが現れます。 ここからは例文を用いて「君子危うきに近寄らず」の使い方をご紹介します。

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「君子危うきに近寄らず」の正しい使い方

危ない場所へ近寄らない、という意味で用いられる言葉です。 しかし危ない場所というのが一目瞭然でないこともあります。 例えば工事現場や事故が多発する交差点は誰の目から見ても明らかに危険ですが、公園などであれば工事や車の影は見えません。 しかし、突然ボールが飛んできたり、大型犬が飛びついてくる可能性は考えられます。 こうした隠れたリスクの存在に目を向けられる賢い人を「君子」と揶揄していることわざです。 現代社会はそれほど危険に溢れていません。 そのぶん状況によって「危ない場所」は刻々と変化していますので、変化を見抜ける「賢さ」を強く表した言葉として使われるようになっています。

「君子危うきに近寄らず」の例文

実際に「君子危うきに近寄らず」を用いる場合の例文をご紹介します。 ・「上司に呼び出されちゃってさ、なぁ、お前も付いてきてくれよ」 「嫌だよ、なんで俺が」 「理由もなく呼び出されたんだ、いい話じゃないかもしれないだろ?一人じゃ不安なんだ」 「君子危うきに近寄らず、って言うだろ。怒られるかもしれないのに、なんで俺がいかなきゃならないんだよ」 といったように、日常に隠れた「危険な場所」を見抜くときによく用いられます。

 

「君子危うきに近寄らず」の類義語と対義語

「君子危うきに近寄らず」の類義語や対義語にはどのようなものがあるのでしょうか。 類義語や対義語をあわせて覚えておくことで理解が深まりますので、ぜひ身につけましょう。 まずは類義語からみていきましょう。

「君子危うきに近寄らず」の類義語は「瓜田に履を納れず」等

「君子危うきに近寄らず」の類義語には 「瓜田に履を納れず」 ということわざがあります。 瓜の畑に入って靴を履き替えていると泥棒と間違われる可能性がある、という意味の言葉です。 同様の意味合いで 「李下に冠を正さず」 ということわざもあります。 李とは、すももの木のことです。 すももの樹の下で休んでいると泥棒に間違われてしまう、という意味の言葉です。 「瓜田に履を納れず」と「李下に冠を正さず」をあわせて瓜田李下という四字熟語にもなっています。 「疑われるような場所には近づかないようにして、危険を回避する」という意味で用いられ、「君子危うきに近寄らず」の同義語として扱われます。 また、他にも 「触らぬ神に祟りなし」 ということわざがあります。 そもそもかかわらなければ面倒ごとや厄介ごとに巻き込まれずに済む、という意味で用いられる言葉です。 いずれのことわざも、進んだ先に「リスクがある」ことを理解しています。 そのうえで「近づかない」という判断を下す場合に用いられ、先を見通せる視野の広さや想像力を褒める際にも使われます。