感無量とは
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「感無量」という言葉に会話や文章の中で度々出会うことがあります。「感無量」は読み方が難しく漢字から意味を推測するのも難しい言葉です。文脈から何となく意味を予測するしかありません。「感無量」について学び適切な場面で使えるようになることが大切です。
感無量の読み方は「かんむりょう」
「感無量」の読み方は「かんむりょう」です。漢字の組み合わせで一見難しく見えますが、それぞれを素直に音読みすれば問題ありません。「かんぶりょう」は誤りなので読み間違えないよう注意することが大切です。 もともと、はかり知れないほど量が多い様子を「無量」といいます。「無量の喜び」と表現すれば、はかり知れないほどの喜びという意味です。「感無量」はこの「無量」に「感」を組み合わせた言葉です。
感無量の意味は「とても感動ししみじみとする」
「感無量」の意味は「とても感動ししみじみとする」です。感慨が大きく深く感じ入っている様を表します。 「感無量」は心の奥底からあふれ出すような深い感動を表す言葉です。そのため「映画が面白かった」「いいエピソードを聞いた」程度の場面で使うのは適していません。 「感無量」はその感慨の大きさから、自分の個人的な体験や家族・友人など近しい人とのエピソードに対して使われることが一般的です。
感無量は「感慨無量」と同じ意味
「感無量」は「感慨無量」と同じです。辞書でも2つの言葉は区別されていません。 もともとは「感慨」が「無量(はかり知れない)」ということからできた言葉ですが、長くて言いにくいことから、短縮して使われるようになりました。 最近では「感慨無量」は文章で書き表されることはありますが、会話やスピーチで使われることはあまりありません。「感無量」の方が歯切れがよく、感動を表しやすいともいえます。
感無量の類語・英語
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「感無量」は深い感動を表す言葉なので日常生活で強い想いを表明したい時に重宝する言葉です。同時に感動を表す他の言葉との区別もしっかり学んでおく必要があります。感動を表す言葉は数多くあるため、使い分けを知ることが大切です。また、英語での言い換え表現についても解説します。
感無量の類語は「感慨深い・感動する・感銘を受ける」
感無量の類語は「感慨深い・感動する・感銘を受ける」です。 「感慨深い」はより日常的な感動に対して使う表現です。「感無量」を使うと大げさ過ぎる場面でも「感慨深い」なら違和感はありません。 「感動する」はより幅広く一般的に使える表現です。個人的な体験以外に、映画や逸話に対して気軽に使えます。「感銘を受ける」は感動に加え尊敬の気持ちを表す言葉です。「学びが得られた」という意味もあります。
感無量の英語①「full」
1つ目は「感無量」の日本語のニュアンスを直訳する形に近い英語表現を紹介します。例文は下記の通りです。 ・I’m full of emotion. (感情でいっぱいです。) ・My heart is too full for words. (私の心は言葉でいっぱいです。) 「満たされている・いっぱいだ」という意味の「full」を使えば、感情や言葉があふれていることを表現することができます。
感無量の英語②「speechless」
2つ目は「speechless」で「感無量過ぎて言葉が出ない」という様子を表します。例文は下記の通りです。 ・I’m speechless with emotion. (強い感情で話すことができない。) ・Words cannot describe. (言葉で言い表すことができない。) 特に一拍置いたあとに使うと効果的です。すぐにお祝いの言葉を英語でどう表現していいかわからなかった時にも使える表現です。
感無量の英語③「very」「deeply」
3つ目は素直に喜びや満足を表現することで「感無量」を表す表現を紹介します。例文は下記の通りです。 ・I’m very gratified. (私はとても喜び満足しました。) ・I’m deeply satisfied. (私は深く満足しました。) 「very」や「deeply」を2回重ねることで、より強い満足感を表現することもできます。「感動した」という意味で「moved」も使えます。
感無量の使い方と例文
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「感無量」は喜びやお祝いの言葉として最適です。適切な場面で「感無量」を使うことで、人間関係を円滑にし社会人としてふさわしい振る舞いをすることができます。続いて「感無量」のよく使う表現や目上の人に使う場合、手紙で使う場合など、様々な場面での使い分けについて解説していきます。
例文①感無量の極み
「感無量」の使い方として「感無量の極み」というよく使われる言い回しがあります。例文は下記の通りです。 ・このような場に立ち会えたこと、感無量の極みでございます。 ・感無量の極みとはこのことか。 「感無量」そのものが深い感動を表す言葉ですが、それをさらに「極み」という表現で強調した言い回しです。「極み」とは「これ以上いけないほど突き詰めたところ」という意味です。ここぞという場面で使う表現です。
例文②感無量 目上
目上の人に対して喜びを伝える時、どんな言葉を選ぶべきか迷うことがあります。上司先輩なら「嬉しいです」と伝えても失礼ではありませんが、社長や役員、取引先に対してあまり素直に感情を表現するのは社会人らしい振る舞いとはいえません。そんな時は「感無量」を使うことができます。 ・貴重な機会を頂き感無量です。 ・定年を迎えられて感無量です。 「感無量」は感激を表す時の丁寧な表現として使うことができます。
例文③感無量 になる
「感無量になる」という表現も一般によく使われます。例文は下記の通りです。 ・卒業式では我が子の成長を実感し、感無量になる保護者が多かった。 ・感無量になるのはあとにして、まずは現実に目を向けてくれ。 「感無量になる」は「感無量です」とは違い、やや客観的に描写するニュアンスが強くなります。そのため自分の心情ではなく相手を描写する時によく使われます。また文章の中でも使われます。
例文④感無量 手紙
手紙やややかしこまった文章の中で喜びを伝える時は「嬉しい」という表現はあまり用いません。そんな時喜びを表現する言い回しとして活躍するのが「感無量」です。例文は下記の通りです。 ・ご両親もきっと感無量だったことでしょう。 ・これまでにない体験をさせて頂き、感無量でした。 取引先の社長へのお礼の言葉としても、「感無量」は少し気の利いた表現として使うことができます。
例文⑤感無量 結婚式
個人的な体験について深く感動する表現である「感無量」は、結婚式のスピーチで使うのにふさわしい言葉です。スピーチではお祝いや喜びの表現に幅を持たせるのが難しいことがあります。「感無量」を使うことでメリハリをつけられます。 ・二人を見守ってきた立場として、感無量の思いでいっぱいです。 ・このように多くの方々にお集まり頂き、感無量です。 「感無量」はゲスト側としても親族側としても使える表現です。
まとめ
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「感無量」は目上の人に対して喜びや感謝を表現する時や、結婚式のスピーチなど祝いの席でも重宝する言葉です。「感無量」は強い感動を表現する言葉なので多用すると不自然になりますが、ここぞという場面で適切に使えるよう、意味を理解しておくことが大切です。