膾炙(かいしゃ)の意味や「人口に膾炙する」の使い方、間違えやすい「普及」「周知」との違いも解説!

膾炙(かいしゃ)の意味は「広く世の中の人々に知れ渡ること」

膾炙の意味

膾炙の意味(画像:Unsplash

「膾炙」は日常的に使う言葉ではありませんが、「人口に膾炙する」というよく知られたことわざがあり、ニュースサイトなどで見られることが多い言葉です。 「膾炙」は「かいしゃ」と読みます。それぞれの漢字は「膾」は音読みでは「カイ」、訓読みでは「なます」、「炙」は音読みでは「シャ」「セキ」、訓読みでは「あぶる」と読みます。つまり「かいしゃ」という読み方はそれぞれの漢字の音読みを合わせたものです。 意味は「広く世の中の人々に知れ渡ること」ですが、この意味は「膾炙」という言葉の由来を理解すると分かります。

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膾炙の語源

膾炙の語源

膾炙の語源(画像:Unsplash

前の見出しでお伝えしたとおり、「膾炙」の意味は言葉の由来を理解すると分かりやすくなります。 「膾」の意味は「なます」です。「なます」とは動物の肉や魚肉を細かく切って、調味料と合わせた食べ物のことです。一方で「炙」は「あぶる」「あぶったもの」という意味があり、こちらも肉などを炙った食べ物のことを意味します。 つまり、「膾」「炙」はどちらも食べ物なのですが、どちらも一般庶民に好まれてよく口にされるものであることから、「よく口にする=よく話題になる」となり「広く知れ渡る」という意味になりました。

 

膾炙の使い方と例文

膾炙の使い方と例文

膾炙の使い方と例文(画像:Unsplash

「膾炙」は言葉の成り立ちを理解すれば、「よく口にする=よく話題になる」という意味がわかったと思います。 次は「膾炙」を使った例文を紹介します。基本的な使い方に加えて「人口に膾炙する」という慣用句についても紹介しますので、正しく使えるようになるためにしっかりと読んでみてください。

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膾炙する

まずは「膾炙する」という、最も簡単な表現です。 ・テレビのニュース番組に取り上げられたことで、彼は膾炙することになった。 「膾炙する」は「広く世の中の人々に知れ渡る」という意味です。「膾炙」の意味が理解できていれば、それを動詞として使えば「広く世の中の人々に知れ渡る」という意味になります。 例文は「テレビのニュース番組」という発信力が大きいメディアに取り上げられたことで、「彼が世の中によく知られるようになった」ということが表現されています。

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膾炙される

2つ目は「膾炙される」という表現です。 ・世の中で膾炙されるような人は、身の振り方に気をつけなくてはならない。 「膾炙される」とは「広く世の中の人々に知られる」という意味で、「膾炙する」の受動態の表現です。例文では有名な経営者や芸能人のように「世間の人々によく知られている人」という意味になっています。 「膾炙する」と「膾炙される」は、どちらも「膾炙」という元の言葉の意味が理解できていれば簡単に使いこなせる表現なので、しっかりと使い方を覚えておきましょう。

人口に膾炙する

最後は「人口に膾炙する」という表現です。 ・スティーブ・ジョブズは、近年最も人口に膾炙する経営者の1人だった。 「人口に膾炙する」は「膾炙」という言葉を使う時に最も頻繁に使われる表現です。「広く知られている」という意味でよく知られた慣用句なので、ここまでに紹介した「膾炙する」「膾炙される」よりもよく使われます。 例文ではスティーブ・ジョブズが、近年よく世間の人々の話題に上がる人物の中のひとりだったということが表現されています。

 

膾炙の類語とその違い

膾炙の類語とその違い

膾炙の類語とその違い(画像:Unsplash

「膾炙」の意味は分かりましたでしょうか。基本的には「人口に膾炙する」という表現で使われることがほとんどなので、この表現をしっかり覚えておきましょう。 ここからは「膾炙」に意味がよく似ている表現を3つ紹介します。それぞれの言葉について「膾炙」と意味が似ている点と異なる点をよく理解しておきましょう。

膾炙と周知

「膾炙」と「周知」の違いは、「行動の主体」と「知られている範囲」の違いです。 「周知」には「広く知れ渡ること」「広く知らせること」という2つの意味があります。前者の場合は「膾炙」と同じ意味です。一方で、後者の意味の場合は「広く知らせる」という能動的な意味なので、「膾炙」のように「広く知られている」という受動的な意味とはニュアンスが異なります。 また「知られている範囲」については、「周知」はその情報を知るべき人が知っていれば使えますが、「膾炙」の場合は「世間」に知られている時に使われます。