「息を殺す」の意味や使い方、例文などを丁寧に解説して行きます!

「息を殺す」の意味と由来

「息を殺す」の意味は「気配を消してじっとする」ことです。呼吸にまつわる慣用句は数多くありますが、その中でも一般的によく使う言葉なので、正しい使い方をマスターしましょう。 まず、「息を殺す」の意味や言葉の由来について解説します。

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「息を殺す」の意味は「息を静かにし、気配を消す」

「息を殺す」は呼吸の音すらおさえてじっとしている様子を表します。「息をしない」という意味ではないので、誤解しないようにしましょう。 呼吸の音がすると、相手に自分の存在やどこにいるかがわかってしまいます。それを防ぐため、気配を殺して静かにしているような状態です。 「息を殺す」は呼吸の音だけ抑えているという意味ではありません。呼吸の音についてしか触れられていませんが、他の物音も一切立てないようにじっとしていることをいいます。

 

「息を殺す」の由来

人間を含め動物は、緊張すると動機が速まります。そうすると心臓が多くの酸素を必要とするため、呼吸が速くなります。 しかし、呼吸が速くなったことによって、荒い息遣いが捕食者や敵の耳に届き、自分の位置がばれてしまいかねません。 そのため緊張状態で息が荒くなり、けれど相手に見つかっては困るという場合、自然と呼吸の音を抑えることになります。これが「息を殺す」という言葉が使われ始めた由来です。 「息」に関する慣用句は数多くあります。「息を呑む」「息が合う」「息が詰まる」などです。呼吸というのはそれだけ人間にとって身近なもので、心情表現に適しているということでしょう。

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「息を殺す」の使い方と例文

ここまで、「息を殺す」の意味や使われ始めた由来について解説しました。続いては、「息を殺す」の使い方と例文をご紹介します。 「息を殺す」は強い緊張状態を表すため、どんな場面でも使える言葉ではありません。正しい使い方をマスターし、誤った使い方をすることを防ぎましょう。

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「息を殺す」の使い方

「息を殺す」は由来からもわかる通り、危険な状況や強い緊張を強いられる状態で使います。明るい場面では使わない表現なので、注意しましょう。 特に何かから身を隠すために呼吸の音を抑えているときに「息を殺す」をよく使います。たとえば、泥棒や犯人から身を隠している場合などです。また、見つかってはいけない状況で両親や教師から隠れているときにも「息を殺す」を使えるでしょう。 「息を殺す」を使える場面は、実際に身を隠している場面にとどまりません。たとえば、裁判の判決や診断結果を待つとき、人間は強い緊張状態から呼吸の音を抑えてしまうことがあります。こんなときにも「息を殺す」を使うことができます。

「息を殺す」の例文

続いて、「息を殺す」の例文をご紹介します。 まず、実際に危険から身を隠している状態で「息を殺す」を使う場面です。 ・泥棒が立ち去るまで、本棚の陰に身を隠して息を殺していた。 ・夜の教室に忍び込み、警備員がきたので教卓の下で息を殺してやりすごした。 泥棒や犯人など本当に危険な状態でも使いますし、教師や両親の目を盗んで何かしているときにも使えます。特に教師や親に対しては、入ってはいけない場所に入る、大切なものを壊すなど見つかると怒られることをして身を隠している場合に使うことが多いでしょう。 続いて、結果に耳をそばだてるあまり呼吸を抑えているような場面で「息を殺す」を使うときの例文です。 ・傍聴席から、息を殺して裁判官が口を開くのを待った。 ・妻は医師が診断結果を口にするのを息を殺して待っていた。 緊張していたとしても、あまり深刻ではない状況では「息を殺す」は使いません。思わず呼吸すら抑えてしまうような人生にかかわる一大事に対して使う方が自然です。

 

「息を殺す」の類語と英語

ここまで、「息を殺す」の使い方や具体的な例文をご紹介しました。続いて、「息を殺す」の言い換え表現や英語表現について解説します。 「息を殺す」は緊迫した場面で使う言葉なので、言い換え表現を知っておくと使いやすくなるかもしれません。また、言い換え表現を知ることで、「息を殺す」のより微妙な意味合いまで理解することができるでしょう。

「息を殺す」の類語は「息を潜める」

「息を殺す」の言い換え表現として、「息を潜める(ひそめる)」という言葉があります。「息を潜める」も「息を殺す」と同様、周りに気づかれないよう呼吸の音を抑えていることを意味します。 ただ、「息を潜める」は「息を殺す」より緊張感の少ない場面で使います。たとえば、子どもがかくれんぼをして隠れているときや、友達を脅かそうとして待ち伏せをしているときなど、「息を潜める」がしっくりくるでしょう。 「息を潜める」はこのようにこっそり隠れている様子を表します。実際に行動以外にも、例えば人里離れて人目につかないようひっそりした暮らしを営んでいる場合にも比喩的に使うことができます。また、物理的に隠れていなくても、気配を消して目立たないようにしている様子を表すこともあります。 「息を殺す」はひっそり・こっそりよりもう少し危険や緊張感が増した言葉です。緊迫感を強調したいとき、深刻なときに使うのが妥当でしょう。