ダイバーシティ&インクルージョンの意味や研修事例。導入の課題を解消し多様な人材を活用。│ビズキャリonline　仕事と生活

多様性を包摂するダイバーシティ&インクルージョン

1分でわかるダイバーシティ&インクルージョン

ダイバーシティ＆インクルージョンがもたらすもの
ダイバーシティ＆インクルージョンの課題と取り組み
一人一人が活躍できる社会へ

コンプライアンスとガバナンスの意味や違いとは。今、社会で重要視される理由。コンプライアンスやガバナンスという言葉が使われますが、実はよく分からないという人も多いのではないでしょうか。しかしこの二つは明確に意味が異なります。コンプライアンスは法令遵守を意味しガバナンスは法令遵守のための管理体制のことをさしており企業が重要視する理由に迫ります。

ダイバーシティとインクルージョンとは

ダイバーシティ＆インクルージョンとは、「多様性」を意味するダイバーシティと、「包括」、「一体化」などを意味するインクルージョンを掛け合わせたもので、「組織が多様な人財を受け入れ、組織全体がその多様性を認めることで、一人一人がより活躍できる場所ができる。」といった考え方です。

ダイバーシティは｢人材の多様性を認める｣考え方

ダイバーシティとは「多様性」を指し、日本ではダイバーシティ経営という意味合いとして使われることが多い言葉です。性別、人種、宗教など社員の多様性を認め、様々な社員を雇用することが企業価値を高める、という考え方です。ダイバーシティとして「外国人労働者の雇用」や「障がい者雇用」などに対する取り組みなどが挙げられます。

インクルージョンは｢多様な人材が相互に機能していく｣考え方

インクルージョンとは直訳すると「包括」、全体をまとめる、という意味の言葉で、ダイバーシティと合わせて使われることが多いです。組織にとってのインクルージョンとは、多様な人財を受け入れ、個々の能力を認め合うことで初めて組織において個人が活きてくる、という考え方のことを指します。

ダイバーシティ&インクルージョンが注目を浴びる背景

ダイバーシティ＆インクルージョンによって組織改革を行うことで、社員が働きやすい環境が生まれると言われています。多様な人財を許容する意識を持つことで、個人を尊重し合い、高め合う環境を構築することができ、様々なイノベーションを引き起こす原動力になると考えられています。

多様性を認めるだけでなく生かしていく社会に

多様性を認めるダイバーシティという言葉はインクルージョンより先行で日本に浸透していきました。この多様性を認めることも大切ではありますが、それだけでは、例えば「障がい者を雇用する」、「女性従業員の割合が増えた」ということが目的となってしまい、その人財が組織とどういう関係を築くか、という部分は軽視される傾向にありました。これに対して一歩さらに踏み込んだ考え方として「ダイバーシティ＆インクルージョン」が取り上げられるようになりました。このインクルージョンまでを含めた考え方で、マイノリティの活躍が可能な社会へ近づくと考えられています。

多様な人材との交流でイノベーション創出に

多様な経歴や価値観を持つ人財が、前向きな発言ができる環境を作り上げることによって、様々な個性を持った人財同士が意見交換や提案、アドバイスを行うことになります。この従来にない社内でのより多角的なコミュニケーションが組織のイノベーション創出の起爆剤になると考えられています。

労働環境を改善し離職率の低下・労働人口の増加を目指す

このダイバーシティ＆インクルージョンの取り組みには、組織の居心地、働きやすさを改善することで離職率を低下し、労働人口を増加させるという目的もあります。多様な文化や価値観が受け入れられ、それぞれが活躍できる場所を組織が提供することによって、人財の流出を避けられると考えられています。

個人パフォーマンスの向上など導入のメリットが多く存在

ダイバーシティ＆インクルージョンの推進は個人のパフォーマンスに多くの影響を与えます。社員一人一人の個性を活かすという価値観が根本にあるため、この改革は、個々のやりがいの創出やモチベーションの向上に繋がるなど、企業と社員双方にとってメリットが多く存在しています。

ダイバーシティ&インクルージョン推進で生まれる課題

組織がダイバーシティ＆インクルージョンの推進で効果を得るためにはある一定の時間がかかります。その時間の多くは組織の意識改革に要すると言われ、ここに日本の企業が抱える大きな課題があると考えられます。

多様性許容の意識が薄い

ダイバーシティ＆インクルージョンを組織が推進するにあたって発生する大きな課題が、既存社員の意識改革であると言われています。女性の活躍も少ない日本では特に顕著で、管理職人財の多様性を許容する意識の低さが推進の大きな障壁となっています。この推進を始めるにあたって、組織がまず取り組むべきことは、管理職人財の意識改革であると言っても過言ではないでしょう。

女性・外国人・障がい・LGBT・宗教などへの無意識の偏見

無意識の偏見のことを「アンコンシャスバイアス」と呼びます。「ステレオタイプな考え方をする人だ。」などと言われることがありますが、この「ステレオタイプ」も先入観や偏見によって客観的判断を妨げられている状態として用いられる言葉で、アンコンシャスバイアスの一種です。組織内のマイノリティを持つ人財の多くが、このアンコンシャスバイアスによって不利益を被っているのではないか、と言われています。

ダイバーシティ&インクルージョン導入・研修事例

このダイバーシティ＆インクルージョン導入は大企業を中心に拡がっています。各企業が専門家の知恵を借りながら様々な研修、セミナーなどを行い、より良い環境、風土作りを目指して制度改革を行っています。

ANAホールディングス株式会社

2015年4月、ANAホールディングス株式会社ではCEO自らが「ダイバーシティ＆インクルージョン宣言」を発表しました。主な取り組みとして「グローバル化」、「シニアの活躍」、「女性活躍推進」、「障がい者雇用」などが挙げられます。社内外の様々な研修や、制度改革などを行い「真に多様性を活かせる集団」となるため、社内の風土形成を目指しています。 2018年に行われた、ANAグループ各部署から管理職を中心に約200名が参加する「ANAグループダイバーシティ＆インクルージョンフォーラム」では、脳科学者である茂木健一郎氏など講師陣を招き、意識の共有などが行われました。

第一生命保険会社

第一生命保険株式会社では、人財のダイバーシティ（多様性）をお互いにインクルージョン（包摂）することが持続的成長の原動力である、とする考え方を社内外へ発表しました。この中で、第一生命保険株式会社は、フェアでインクルーシブな文化・風土が重要であると述べています。第一生命保険株式会社では、経営層、管理職層向けに「アンコンシャスバイアス（無意識の偏見）研修」を行うなど、社員の意識改革に対して積極的にアプローチしています。

MS&ADインシュアランスグループ

MS＆ADインシュアランスグループは、中期経営計画「Vision2021」において、ダイバーシティ＆インクルージョンの主要業績指標（KPI）を設定するなど、この課題に積極的に取り組んでいます。ダイバーシティ＆インクルージョンの意識を浸透させるために、「区分を意識した指標の改善」、「区分を取り払った普遍性の確立」、「働き方改革」などを推し進め、イノベーションを起こす風土作りを目指しています。 MS&ADインシュアランスグループでは、女性管理職を対象とした研修プログラム「MS女性アカデミー」や女性活躍推進研修を実施するなど、女性管理職比率向上に向けて様々な積極的に活動しています。

多様な人材が活躍し、｢違い｣を活用していく社会へ

組織においてイノベーションを起こすことは成長することと同義であると言えます。今後、積極的に組織のイノベーションを起こすためには、多様な人財と、多様なマイノリティが重要であると考えられます。

マイノリティが声を上げて活躍する現代の日本社会

「五体不満足」の著者、乙武洋匡さんもマイノリティで活躍している内の一人です。彼は「乙武義足プロジェクト」と題して、義手、義足を付けて歩行する、というチャレンジを行っています。少し特殊な例ではありますが、マイノリティから生まれる仕事は、マジョリティな仕事に比べ生産性が高く、クリエイティブなものが多いと言われています。

価値観や経験で生まれる差異は強みに

多様な人財が能動的にコミュニケーションをとれる組織では、イノベーションが加速するという話は前述の通りですが、つまり、多様な価値観や経験を保有する人財、これ人財が組織の強みになっていくと言えます。過去にマイノリティとして淘汰されていた価値観や人財は、組織にとって積極的に取り入れたい価値観であり人財であると考える時代がやってきています。多様化する価値観や経験、そこから生まれるイノベーションが組織の成長には必要不可欠だと考えられます。

ダイバーシティマネジメントとは。今後の日本に必要な視点を取り入れる方法。最近よく耳にするダイバーシティマネジメントについて、もっと知りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。今回はダイバーシティとは何か。そしてダイバーシティマネジメントが必要な理由と実際に日本で導入されている事例について深掘りします。