米連邦取引委員会(FTC)がGAFAなどIT5社の買収を調査へ。独占禁止法違反の可能性。

 

米連邦取引委員会(FTC)がIT大手5社を調査へ

米連邦取引委員会(FTC)が「GAFA」とMSを調査

  • 「GAFA」とマイクロソフトが独禁法違反の疑い
  • ベンチャー企業へ次々にM&Aを繰り返し市場を独占
  • 今後のIT市場はどうなる・FTCの決断は

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GAFAとマイクロソフトが2010年から2019年までに行った買収を対象

FTCは「GAFA」とマイクロソフトが2010年から2019年までに行ったM&Aに対し、目的や条件、範囲についての報告を求めています。 IT大手5社は市場を独占する意図で有力な成長企業に対してM&Aを実施していた可能性があるとして、「GAFA」とマイクロソフトから提供される情報を精査するとしています。 この調査では、ハート・スコット・ロディノ反トラスト強化法(HSR法)に基づき報告されていなかった一定規模以下のものが対象となります。

 

小規模のM&Aも対象

FTCが行う本件調査では、今までHSR法の基で報告義務の無かった小規模のM&A(2020年:9,400万ドル、日本円で約103億円以下)も調査の対象にするとしています。 同委員会はIT大手5社に対して、FTC及び米国司法省に報告されなかった買収を特定し、HSR法通知及び報告書に示された情報を提供するよう命じました。 また、この命令はM&Aの目的や役員人事、及び買収企業からの人材の引き抜きなど、競合を妨げる誓約書等の文書の存在に関する情報も求めています。

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調査の目的は?

今回の調査の目的について、FTCのジョセフ シモンズ委員長は11日の電話による記者会見で、「デジタルテクノロジー企業は、経済と私たちの日常生活に密接に結びつき、大きな部分を占めている」と述べています。 その上で、「IT大手5社は、業界のイニシアティブ(主導権)を握るためにM&Aを繰り返していた可能性があり、その数は数百を超えている」と指摘しています。

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過去にさかのぼり執行措置をする可能性

FTCは調査の結果によっては、過去にさかのぼって執行措置をする可能性を示唆しています。同委員会は、HSR法の対象でなかった企業のM&Aが、市場の競争の妨げになっていたかを懸念しています。 そのため、過去数年間に渡って行われたM&Aについても、契約の特徴や範囲などについて調べる予定です。 グーグル(アルファベット社)は、2000年頃から約200社に対してM&Aを行っており、他のIT大手4社も小規模なM&Aに積極的だったことから、市場独占を狙った疑いがあるとFTCから批判されていました。

また今後への抑制なども目的か

FTCは今後、「GAFA」とマイクロソフトが小さなベンチャー企業のM&Aによって、どのような業績を上げていたのかを調査していく方針です。 また、近年ではIT企業大手がライバル企業を買収する動きも見られ、フェイスブックはIPO(新規株式公開)前に、ライバルのインスタグラムを買収し、自社のサービスを充実させています。 こうした動きはライバル企業潰しが目的で行われた可能性があるとして、FTCは調査を進めていました。

 

米連邦取引委員会の決断が待たれる

FTCは調査の継続がIT市場の動向を把握する手段のひとつになると考えおり、この調査で同委員会がどのような決断を下すかによって、IT市場の情勢は大きく変化すると思われます。 そのため、「GAFA」とマイクロソフトに対する調査は今後も継続的に行われ、その範囲も拡大されると思われます。FTCは調査がIT市場の健全化をサポートするとして、デジタル市場の消費者保護にも繋がるとしています。 欧州委員会も大手5社の動向を注視しており、FTCと同様の動きを見せています。また、日本の公正取引委員会も監視の目を強めており、2019年には企業統合の審査に関する指針を改定しています。