跋扈とは
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「跋扈」という言葉をご存じでしょうか。聞いたことや本で見かけることはあっても日常会話で使うことはまずありませんが、ビジネスマンの教養として基本的な知識は押さえておきたいものです。 まずは「跋扈」の読み方と意味、さらにはその語源を探ってみましょう。
跋扈の読み方は「ばっこ」
跋扈の読み方は「ばっこ」です。どちらも漢字も日頃見かけることのない難しい字です。しっかり覚えておきましょう。 「跋」は音読みで「バツ・ハツ」と読み、君読みでは「ふ（む）・こ（える）・つまづ（く）・おくがき」と読みます。一方「扈」は音読みで「こ」と読み、訓読みでは「したが（う）・つきそ（う）・はびこ（る）・ひろ（い）」と読みます。 「跋扈」はどちらの字も音読みで読んでいます。
跋扈の意味は「我が物顔で振る舞う・のさばる・はびこる」
跋扈の意味は「我が物顔で振る舞う・のさばる・はびこる」です。あまりいい印象の言葉ではありませんね。 「跋」は「踏み越える」の意味があり、「扈」の方は「魚を捕る竹カゴ」の意味がありますので、「跋扈」で「魚が竹カゴに収まり切らないで跳ね回る」の意味になります。これが「我が物顔で振る舞う・のさばる・はびこる」の意味で使われるようになりました。 基本的に「跋扈」は良いものが広がる意味はなく、どちらかといえばあまり広がってもらいたくないものが広がるニュアンスがあります。
跋扈の語源は「梁冀」にある
古代中国後漢の政治家に「梁冀（りょうき）」という人がいました。「跋扈」という言葉は、彼が「跋扈将軍」と呼ばれたことから一般に広がりました。 「梁冀」は周りを威圧するような容貌と態度が特徴で、若い頃から漢王室の外戚（がいせき）として権勢を振るい、幼い皇帝を擁立するなどして漢王朝を私物化していました。 擁立された皇帝（質帝）は彼の振る舞いに対して「梁冀」を「跋扈将軍なり」と言ったとされており、これが「跋扈」の語源とされています。
跋扈の類語・英語・四字熟語
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「跋扈」の読み方から、意味・語源まで見てきました。少しは「跋扈」という言葉を身近に感じられるようになったでしょうか。 ここからは少し応用編に入ります。「跋扈」の類語・英語・四文字熟語を順番に見ていきましょう。
跋扈の類語は「蔓延・横行」
「跋扈」の類語である「蔓延」と「横行」を見てみましょう。二つとも「跋扈」と同様、名詞的にも動詞的にも使われます。 「蔓延」の読みは「まんえん」です。意味は「あちこちにはびこり広がる」で「跋扈」と同様ネガティブなものが広がるイメージがあります。「跋扈」の方がのさばって居座る感がやや強いですが大きな差はありません。 「横行」は「おうこう」と読みます。こちらも「悪事がはびこる」意味になりますが、この中では一番一般的な言葉でニュアンスも「跋扈」や「蔓延」ほど強くはありません。
跋扈の英語は「spread」
跋扈の英語表現は「spread」です。「spread」の意味は「広げる・広める・分散する」で、「跋扈」のように対象がネガティブなものに限定されていません。 ・You don’t know when and how information is spread on the Internet. （いつどのようにして情報がインターネットに広がるか分からない。） 例文の情報は広がって欲しくない情報がイメージされますが、「跋扈」のような「我が物顔でのさばる」というニュアンスはなく、単に物理的な広がりが読み取れます。
跋扈の四字熟語は「跳梁跋扈 」(ちょうりょうばっこ)
「跋扈」が使われた四文字熟語で最もよく知られたものは「跳梁跋扈 」(ちょうりょうばっこ)」です。何かおぞましさを感じる響きがありますね。 「跳梁跋扈」の意味は「悪人など得体の知れない無数の何者かがはびこる様」です。「跳梁」は「跳ね回る」という意味ですので、「跋扈」の「我が物顔でのさばりはびこる」と併せて「悪人など得体の知れない無数の何者かがはびこる様」を表します。 「跳梁」と「跋扈」はそれぞれ単独でも用いられる言葉ですので、頭に止めておきましょう。 【関連記事】跳梁跋扈について詳しく知りたいあなたはこちら！
跋扈の使い方と例文
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ここまで「跋扈」の読み方・意味から類語や英語表現、「跋扈」を使った四文字熟語まで、基本的なことを見てきました。「跋扈」のイメージはつかめたでしょうか。 最後に応用編として「跋扈」の具体的な使い方を幾つかの例文をまじえて見てみましょう。
跋扈する
最初は「跋扈する」という使い方です。「跋扈」を使った動詞的な表現で最もよく使われる形の一つです。 ・得体の知れない悪質なネットビジネスが「跋扈する」のを放置していいのでしょうか。 IT技術を使ったインターネット上のビジネスは手軽に立ち上げることができる反面、公序良俗に反したり巧妙に消費者を陥れるようなビジネスをも可能にします。例文ではそのような悪質なビジネスが広がりはびこる様に警鐘を鳴らしています。
魑魅魍魎が跋扈する
次は「魑魅魍魎が跋扈する」という表現です。「鬼」が付いた漢字が四つも連続する珍しい言葉です。雰囲気は漢字だけでもつかめますね。 ・永田町界隈には「魑魅魍魎が跋扈する」我々の知り得ない世界があるそうだ。 「魑魅魍魎」は「ちみもうりょう」と読み、「様々な妖怪やばけもの」を意味する言葉です。例文ではあの手この手で権力の奪い合いに暗躍する政治家達を「魑魅魍魎」に例えて、彼らの異常さを皮肉りかつ恐れています。
跳梁跋扈
最後は四文字熟語のところで出てきた「跳梁跋扈」を使った例文です。 ・満員電車ではスリや痴漢が「跳梁跋扈」している現実を直視すべきだ。 ・本校においていじめっ子が「跳梁跋扈」しているとは考えていません。 「跋扈」は単独でも使われますが、どちらかといえば「跳梁跋扈」の形で悪事がのさばる様をより強調して用いられることが多く見られます。例文でも野放しにされている悪事がより強調されています。
まとめ
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「跋扈」を解説してきました。「跋扈」も難しい漢字ですが、「跋扈」が関係する「跳梁跋扈」や「魑魅魍魎」も大変難しい字が使われています。 スラスラと書ける必要はありませんが、読み方や基本的な使い方などは、ビジネスマンの教養として理解しておきましょう。
