有給休暇期間に給料はいくらもらえる？有給期間日数と給与の計算方法。│ビズキャリonline　仕事と生活

有給休暇中の給料はどのくらい貰えるのか？

もらうことができる有給休暇の日数と給与額を知っておこう

有給休暇は何日もらえる？
有給休暇中の給料はいくらになるのか
もらった有給休暇はいつ使える？

有給休暇の付与日数と、休暇中の給与額については把握していますか？正社員に加え、パートやアルバイトにも有給休暇が付与されます。有給休暇を取るために、事業所の制度や事情を知っておくことも大切です。

働き方改革で中小企業の労働環境は改善されるのか？2020年4月から変更される点は？2019年4月から本格的に進められている働き方改革は一億総活躍社会の実現に向けた取り組みの一環です。少子高齢化・人口減少社会に突入した我が国の労働力不足を解消することが大きな目的です。改革は3本の柱から成り立っており、2020年4月からはこれまで大企業だけが対象だった労働時間長時間化の是正が中小企業にも適用されます。今回は働き方改革が本当に労働環境の改善につながるのか、深掘りします。

2019年4月から取得義務化となった有給休暇の日数計算

2019年4月からは、年間5日は有給休暇を取得しなければならなくなりました。従業員が計画的に有給を取れるような制度づくりを進めている事業者もあります。有給休暇はいつ、何日間もらうことができるのでしょうか？

雇用形態を問わず、6ヶ月以上継続して勤務、全労働日の8割を出勤が条件

有給休暇が付くためには、6か月以上入社日から経過していることと、勤務日の8割以上は出勤したことが条件となります。正社員、パートなどの雇用形態は問われません。労働基準法で決められており、事業者は条件を満たした従業員に有給をつける義務があります。

入社日の半年後から年10日発生、1年ごとに増加

有給休暇は勤務年数を重ねると、付与される有給休暇の年間日数が増える仕組みです。初めは勤務開始から6か月後に10日が付き、それから入社してから1年6か月後と2年6か月後には前年プラス1日ずつ、それぞれ11日と12日付きます。さらに勤務3年6か月から6年6か月経過までは、1年経過で前年よりも2日多くもらえます。

年次有給休暇の消滅時効は2年間

付いた有給休暇は1年間で5日は使わなければなりませんが、残りは翌年まで取っておけます。ですが有給はいつまでも残せるわけではなく、付与されたときから2年間で失われると決まっています。これは持ち越した有給は翌年に使うことは可能ですが、翌々年までは持ち越しすることはできないことを意味しています。

パート・アルバイトで週30時間未満かつ週4以下は比例付与制度に

労働基準法では、正社員以外のパートやアルバイトには、働いた日数に比した、比例付与制度で有給休暇を付与するよう定めています。法律にある正社員の週の平均労働日数は5.2日。例えば週4日勤務のパート従業員は、10日×（4日÷5.2日）で7日（小数点以下切り捨て）の有給休暇がもらえることになります。

働き方改革で年5日の有給取得が全ての企業で義務化。対象者や事例、企業の正しい対応とは。働き方改革の目的は「労働者が働きやすい環境」を義務化することです。有給休暇取得義務化はその一環だといえるでしょう。休暇取得を義務付けることで、心身ともに健康な状態に導くことで可能です。心身ともに健康であれば生産性の向上が可能となり、国益への還元が期待できるでしょう。

有給休暇期間の給料計算方法

有給休暇期間の給料は、どのように算出されるのでしょうか？年間5日までは1時間単位で有給をとることができるので、給与計算が煩雑になることも。従業員の有給の日数と給与額を管理するために、ソフトやアプリを利用するのもおすすめです。

期間日数と日割給料から計算が主流

2010年より始まった「時間単位年休制度」を使った場合、1時間分の給与額は、前述の日割り給料を所定労働時間で割って算出します。有給休暇分の給与を出すためには、過去3か月分の給料の合計額を勤務日数で割って出した、日割り給料を有給分の給料とするのがもっとも主流となっています。

サイト・ソフト・アプリを活用するのも一つの手

パートやアルバイト従業員を雇っていたり、時間単位有給休暇が多く利用されていたりする事業所の場合は、有給休暇分の給与を計算するのがややこしくなりがちです。そのようなときは、給与計算が可能なサイトやソフト、アプリなどを利用してみましょう。 3年間保管すべき「年次有給休暇管理簿」が使え、従業員一人ひとりの有給休暇の日数を把握できるものならさらに便利です。

有給休暇の日数の計算例（2020年4月1日に入社と仮定）

有給休暇は勤務年数の経過とともに取得日数が増えますが、2年経つと消えてしまい、取っておくことができません。有給休暇の日数は勤続年数とともにどう付与されるのかを、4つの場合別に紹介します。

2020年4月1日に入社、2020年10月1日を迎える

例えば、2020年4月1日から働き始めたとしましょう。それから半年後の2020年10月1日には、有給休暇が10日付きます。入社後2年半経過までは1年経過で1日、前年よりもプラスして付与されます。1年半働いた2021年10月1日には11日、2022年10月1日の2年半後には12日の有給が付きます。

2020年10月1日〜2022年9月30日の勤務、有給休暇を1度も消化せず

付与された有給休暇は、年間で5日は使うことになっています。2021年9月30日までに使ったのが5日だけだと、2021年10月1日時点の有給休暇は5＋11で16日です。またそのまま2022年9月30日まで、有給休暇を義務の5日以外使わなかった場合は、2022年10月1日時点の有給は2021年の残りの6日と、そのタイミングで付いた12日を足して18日です。

2023年10月1日〜2025年9月30日の勤務、有給休暇を1度も消化せず

2020年入社時点から、有給を義務である年間5日以外は使っていないと、2023年10月1日時点の有給休暇は21日です。その後も2025年9月30日まで、義務の5日以外の有給休暇を使っていないとします。2025年10月1日時点には、2024年10月1日に付いた残りの9日と2025年10月1日に付いた16日を足して、25日の有給休暇になります。

2027年10月1日〜2029年9月30日の勤務、有給休暇を1度も消化せず

引き続き2020年4月1日入社から、義務で消化すべき年間5日以外は有給休暇を使っていないとします。勤務が6年6か月以上からは、有給休暇は上限日数の20日とされます。その後も2029年9月30日まで有給休暇を消化していないと、2029年10月1日の有給日数は2028年10月1日に付いた残りの15日と、そのタイミングで付いた20日を足して35日です。

有給休暇期間の給料の計算例

事業所では平均賃金と通常賃金、標準報酬月額の3つのどれかを用いて、有給休暇中の給料がいくらになるかを決定します。就業規則などで、自分の勤め先がどれを用いているのかを確認しておきましょう。

平均賃金の日割

直近の3か月で支給された給料の合計額を、その期間の合計日数で割った額。または、直近3か月の給料合計をその期間の勤務日数で割り、6割にした額のいずれかの高い方を使います。例えば直近3か月の給料の合計額が70万円で、その期間の合計日数は92、勤務日数が61日だったとします。1つ目の方法では7,600円、2つ目の方法では6,800円ですから、1つ目の方法の金額が採用されます。

通常賃金の日割

有給休暇1日分の給与額を、時給×有給を取った日の勤務時間で求めます。アルバイトやパートタイマーなどの場合によく使われる方法です。例えば、時給1,100円で1日6時間勤務の方の場合、1日の有給休暇の給与額は6,600円となります。

標準報酬月額の日割

健康保険法にある「標準報酬月額」を、有給休暇中の給与額とみなします。労使協定を結んでいる場合に限られ、パートやアルバイトなど、健康保険に加入していない方には適用できません。基本給と手当などを合計した月額給与を元に、令和2年の東京都の「標準報酬月額表」に当てはめてみます。月額給与が21万5,000円の方の標準報酬月額は22万円。これを30で割った7,300円を、1日の有給休暇の給与額にします。

有給休暇はいつ取得できるのか

付いた有給休暇はいつ使うことができるのでしょうか？社員みんなが平等に取れるよう、計画的付与制度を進めている事業所も増えてきています。ですが事業者が業務に支障がでると判断したタイミングでは、有給を取れないこともあります。

時季変更権あり、希望申請可能

労働基準法によると、本来は従業員は有給休暇を使う日を希望することができ、事業者はそれを認めなくてはなりません。ですが従業員が有給休暇を使いたいと申請したとき、事業者が従業員に休まれることにより事業を運営するのが難しいと判断すれば、「時季変更権」を行使してほかの日に振り替えることができます。

一斉・交代・個別付与方式などの計画的付与

従業員は年5日の有給休暇を使わなければなりませんが、残り日数については「計画的付与制度」の活用が進められています。例えば、事業所の閑散期に従業員が一斉に有給を使う、従業員が交代して順番に有給を取る、社員全員が効率的に有給休暇を使う計画を立てて、一人ひとり個別に有給を使う日を決める、などの方法があります。

正しい計算方法を理解し、適切な有給休暇を取得

有給休暇中の給与額の正しい計算方法を理解し、自分がいくらもらえるのかを知っておきましょう。有給休暇は原則自分の都合に合わせて取れるものですが、事業者の都合に合わせざるを得ない場合もあります。従業員に計画的に取得させようとする動きも増えてきていますので、適切に有給休暇制度を利用しましょう。