ユニゾHDのTOB価格を1株6000円へと引き上げたブラックストーンの思惑は?

ユニゾHDのTOB価格を1株6000円へと引き上げたブラックストーンの思惑は?

ブラックストーンがユニゾHDのTOB価格を6,000円まで引き上げ

ユニゾHDのTOB価格が6,000円に

  • ブラックストーンがユニゾHDのEBOへ対抗
  • ユニゾHDの株価は大幅続伸し6,000円台に
  • 何故ブラックストーンはユニゾHDに拘り続けるのか

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ユニゾHDのEBOへの対抗

ユニゾHDは、2月9日に同社のEOB(チトセア投資)が提示した普通株式1株5,700円の買い付け価格に同意する意向を公表していましたが、一方で、2月6日にブラックストーンが同社に示した合意書に署名していました。 ブラックストーンは1月28日に、ユニゾHDに対し普通株式を1株5,600円で買い付ける提案をし、それまで最高値だったチトセア投資の1株5,100円に対し10%のプレミアムとなっていました。 それに対しチトセア投資は、2月9日に1株5,700円まで引き上げ対抗しますが、これに対しブラックストーンは同月25日に1株6,000円の買い付け価格を提案したと発表しました。

 

ユニゾ株は大幅続伸

この発表を受けユニゾHDの株価は大幅続伸し、21日の終値5,850円から25日は6,010円(+2.74%)とブラックストーンの提示額6,000円とほぼ同じとなっています。 ユニゾHDの株価は、昨年8月に旅行会社大手のH.I.Sからの買収提案を受けてから、1株4,000円台後半で推移していました。 ブラックストーンは、前回提示額よりも5%プレミアムをつけての買い付け価格を提示し、改めて署名済みの合意書をユニゾHD側に提示し、履行を求めていく考えです。

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終わらないユニゾTOB

本件TOBは、昨年8月にH.I.SからTOBの提案をうけてから、米ファンドフォートレス、ブラックストーンが参加し、買い付け価格は高騰しました。 一時はブラックストーンがTOBを成立させるかに思えましたが、ユニゾHDは自社の企業価値の維持向上と従業員保護が見込めないとして反対の意向を表明し、従業員と米投資ファンドローンスターが共同で設立したチトセア投資に対して賛成の意向を示していました。

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このままTOBが成立する可能性は低いか

両社の主張は平行線の状態で、このままTOBが成立する可能性は低いと思われます。ユニゾHDはブラックストーンが、長期的に同社の企業価値の維持・向上と従業員の保護を継続するかを不安視しています。 一方、ブラックストーンは合意書の締結によって従業員の保護、また待遇の改善は確約されていると主張しています。 ユニゾHDは、前回のブラックストーンの提案には消極的な姿勢を示していましたが、本件買収提案に関しては慎重に検討するとしています。

なんとしてでもユニゾHDが欲しいブラックストーン

ブラックストーンは米国における不動産投資のグローバルリーダーの地位を確立しており、現在は1570億ドルの資金を運用する巨大ファンドです。 こうした背景から、市場ではブラックストーンがユニゾHDのTOBに拘る理由のひとつに、同社が持つホテルや賃貸オフィスビルなどの不動産に魅力を感じていると見ています。 ユニゾHDは2020年第3期四半期で、不動産部門は売上高241億35百万円(前年比29.0%減)、営業利益も同32.6%減と苦戦しています。

 

さらなる長期戦が予想されるユニゾTOBの行く末は

ユニゾHDの2020年第3四半期の連結業績は、売上、営業利益、経常利益とも軒並み前年同期比マイナスで、このところの同社の業績は芳しくありません。 セグメント別でも不動産部門は不調で国内外とも苦戦しており、米国では賃料の下落や不動産価格の下落によって苦戦しています。 チトセア投資による少数株主からの買い付けは進んでいないともいわれており、本件のブラックストーンの提案はユニゾHDにとっても魅力的なものといえます。いずれにしても、チトセア投資の動き次第では敵対的TOBに発展する可能性は十分にあるといえます。