雪印牛肉偽装事件は雪印が清算に追い込まれた事件。原因や事件の真相を考察。

雪印牛肉偽装事件とは

1分でわかる雪印牛肉偽装事件

  • BSE感染問題で政府が国産牛肉の買取を行なっていた
  • 経営難だった雪印が外国産牛肉を政府に買い取らせた
  • 雪印は会社清算し、様々な企業へ吸収合併された

「雪印牛肉偽装事件」は、2004年に発覚した「牛肉偽装事件」の皮切りとなった事件です。農林水産省がBSE(牛海綿状脳症)対策として実施していた、国産牛肉買い取り事業を舞台とした補助金詐取事件を指します。 ここでは雪印牛肉偽装事件において、どのような手口で補助金詐取が行われたのかについて説明します。

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雪印による補助金詐欺

「雪印牛肉偽装事件」は、農林水産省の在庫牛肉買い取り制度を悪用した補助金詐欺事件のことです。 この制度を悪用したのが、雪印食品関西ミートセンターのスタッフです。オーストラリア産の牛肉を国内産牛肉のパッケージに詰め、国産と偽って農林水産省に買い取り費用を請求し約900万円の補助金を受け取ったというものです。 その内容はオーストラリア産牛肉30tを含む、約280tもの外国産牛肉を国産牛肉として不正請求したという悪質なものでした。

 

雪印牛肉偽装事件の経緯と概要

(画像:Unsplash

「雪印牛肉偽装事件」の背景には日本で初めてBSE(牛海綿状脳症)が発症したという事実だけでなく、雪印食品側が抱えていた経営難が関係しています。 ここでは当時の日本国内におけるBSE対策と、雪印食品が抱えていた事情について説明します。「雪印牛肉偽装事件」は引き起こした一部の社員だけが悪いわけではないことも、併せて知っておきましょう。

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国産牛肉のBSE感染が問題となり政府が国産牛肉の買取を行う

農林水産省はBSEに感染した牛肉を流通させないため2001年10月13日以降は全頭検査を開始するとともに、同年10月12日までに解体した国際牛肉を買い取り、市場に出回らないよう冷凍保管することを決めました。 背景には1996年にイギリスが、クロイツフェルト・ヤコブ病感染者のうち10名の発症原因がBSEに感染した牛肉である可能性が高いという見解を明らかにしたことがあります。

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雪印集団食中毒事件により経営難に陥っていた雪印は外国産牛肉を政府に買い取らせた

「雪印牛肉偽装事件」を引き起こしたのは雪印食品関西ミートセンターのスタッフでしたが、その背景には2000年に親会社である雪印乳業が起こした「雪印集団食中毒事件」があります。事件を起こした経緯とその後の対応に問題があり、雪印乳業は経営不振に陥ってしまいます。 その件で雪印食品の経営にも悪影響が及び、利益確保のために関西ミートセンターのスタッフは外国産牛肉を政府に買い取らせることを思いついたとされています。

西宮冷蔵の告発により事件が発覚

「雪印牛肉偽装事件」が発覚したのは、2002年1月23日でした。それは雪印食品関西ミートセンターの取引先である西宮冷蔵が告発したことで、明らかになったのです。 2001年10月に西宮冷蔵の社員が雪印食品関西ミートセンターに呼ばれ、オーストラリア産牛肉を国産牛肉用パッケージに詰め替えラベルを貼るよう要求されます。それを受けて西宮冷蔵は牛肉の留め替え作業を実施。雪印食品関西ミートセンターは西宮冷蔵に対し、伝票の改ざんも指示します。 この事実が朝日新聞社による西宮冷蔵の社長だった水谷洋一氏への取材で明らかとなり、やがて本社や関東ミートセンターも含めて偽装が行われていたことも発覚しました。

 

雪印牛肉偽装事件の判決

「雪印牛肉偽装事件」は、2002年2月1日に農林水産省近畿農政局が詐欺罪容疑で告発したことで刑事事件となりました。そして翌日の2月2日から兵庫県警本部を中心とする合同捜査本部が捜査を開始し、後に逮捕者が出ました。 ここでは「雪印牛肉偽装事件」での逮捕者や事件後の雪印食品について、説明します。

会社の幹部らが逮捕

「雪印牛肉偽装事件」では、9名の逮捕者が出ました。主犯格とされる雪印食品の元本部長らをはじめ、雪印食品元専務の桜田弘巳容疑者と同社元常務である井上正躬容疑者も詐欺容疑で逮捕されています。 裁判の結果「雪印牛肉偽装事件」の実行犯とされる部下5名の有罪は早々に確定しましたが、元専務だった桜田容疑者と元常務だった井上容疑者には無罪判決が下りました。 「雪印牛肉偽装事件」が会社ぐるみであったかどうかが争点でしたが、関与を認めるだけの証拠が十分でないと判断されたのです。