取り越し苦労(とりこしぐろう)の意味や使い方・例文を紹介!類語や英語表現も解説!

 

取り越し苦労の意味は「起きるかわからないことを悪い方に心配すること」

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「取り越し苦労」は、日常生活でもビジネスシーンでも使う機会が多い慣用句です。正しい意味は「実際に起きるかどうかわからない先のことを必要以上に心配する、あるいは気に病む」ことです。そこに、「一度不安を感じてしまうと、悪い考えから抜け出せない」というニュアンスも含まれます。 「取り越し苦労」が適しているのは、「考えすぎ」という状況です。そのため「つまらない心配」という意味で使用されます。ニュアンスも含めて「取り越し苦労」の意味を覚えておくと、適切な使い方ができるようになります。ビジネスシーンでも積極的に使ってみてください。

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取り越し苦労の使い方・例文

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「取り越し苦労」は、心配事の前後どちらにも使える慣用句です。結果が悪くなるかどうかが不確定にも関わらず、それを過剰に心配している状況あるいは状態に使用できます。 ここでは心配事の前に起きる時・後に起こった時それぞれについて、例文を交えながら「取り越し苦労」の使い方を説明します。具体例と間違った使い方の両方を頭に入れておいてください。

 

例文①取り越し苦労かもしれないが(取り越し苦労なのはわかっていても)

「取り越し苦労」が物事の結果が出る前に使われている時は、「悪い結果になったらどうしよう」と必要以上に心配している状態を表しています。 ・健康診断を受けたら再検査の通知が来てしまい、取り越し苦労かもしれませんが病気かもしれないと不安なのです。 ・採用を前提とした面接なのだから取り越し苦労なのはわかっていても、落ちるかもしれないという不安は消えません。 この場合は、「悪い結果になるとは限らないのに心配で仕方がない」という意味で使います。「暴飲暴食ばかりしている父は病気になるはずと取り越し苦労するのが嫌でした」など、明らかに不安や心配をする根拠がある時には使いません。

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例文②取り越し苦労だった(取り越し苦労していた)

「取り越し苦労」が物事の結果が出た後に使われる時は、「必要以上に不安を感じていたことに終わってから気づいた」という意味で用いられます。 ・大きなコンペだったのでプレゼンがうまくいかなかったら責任問題だとプレッシャーを感じていましたが、取り越し苦労でした。 ・ご両親に結婚を承諾していただけないのではと取り越し苦労をしていましたが、笑顔で祝福してくださりホッとしました。 この場合は、「すごく不安だったけれど結果は良かった」という気持ちが含まれます。そのため、予想通りに悪い結果に終わった時には使えません。例えば「取り越し苦労した通りに、彼は受験に失敗したではないですか」という使い方はしないので覚えておきましょう。

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取り越し苦労の類語

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「取り越し苦労」には様々な類語があります。同義語である「杞憂」のほか、「気がかり」や「余計な心配」「強迫観念」「下種の勘繰り」など表現方法も色々です。 ここでは「杞憂」と「気がかり」を取り上げ「取り越し苦労」と比較しながら、例文を交えてその意味を説明します。読んだ時の印象も考慮しながら、適切に使い分けることをおすすめします。

類語①杞憂

「取り越し苦労」の類語といえば、やはり「杞憂」です。「杞憂」は「取り越し苦労」と同じ「考えても仕方がない先のことを考えて心配になる」という意味を持ちます。 ・はたから見ていても感心するくらい入念に準備をしていたから、彼女の心配は杞憂に変わるでしょう。 ・初めてのイベントを成功させる自信はありませんでしたが、杞憂に終わりました。 「取り越し苦労」と「杞憂」の違いはその語源にあります。「取り越し苦労」は江戸時代に「取り越す」という動詞が名詞化して「取り越し苦労」になりましたが、「杞憂」は中国の故事成語が語源です。また、「杞憂」は「取り越し苦労」よりきちんとした場面で用いると覚えておくと便利です。

 

類語②気がかり

「どうなるかわからない先のことを過剰に心配する」ことを意味する「取り越し苦労」の類語として、「気がかり」もあげられます。「気がかり」は「気になって心に引っかかる、あるいは心配になるものや事柄」を意味します。 ・アルバイトを始めて学習時間が減った息子の成績が気がかりでした。 ・離れて暮らす両親の健康が気がかりです。 「取り越し苦労」とは、「心配になる理由が明確である」点が違います。一つ目の例文は必ずしも根拠が明確でないので「取り越し苦労」の言い換えとして使えますが、二つ目の例文は具体的な理由があるので、「取り越し苦労」の言い換えとしては成立しません。

取り越し苦労の英語は「worry about the future」

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「取り越し苦労」は直訳できる英単語がないため、「worry about the future」という表現が使われることが多いです。 ・She began to worry about the future. (彼女は未来について取り越し苦労しています。) ・He is being overanxious. (彼は結婚式について取り越し苦労しています。) 二つ目の例文の「be overanxious」は直訳すると「呉牛月に喘ぐ」になりますが、これも「取り越し苦労」の英語表現として使われます。