ビジネスシーンで多用されるステークホルダーの意味や使い方を解説します！│ビズキャリonline　仕事と生活

ステークホルダーの要点

意味は「企業などの団体と利害関係にある者」
具体例は「株主、社員、経営者、顧客」
元々は「自分の権利を主張する人」という意味で使われていた
企業がステークホルダーと良好な関係を維持するために4つの概念が存在する

ステークホルダーとは

ビジネスは一人でできるものではなく、必ず利害関係者（＝ステークホルダー）が存在します。この記事ではステークホルダーの意味とビジネスにおける主なステークホルダー、そしてステークホルダーとの関係維持・向上のために必要な4つの概念をご紹介します。独立したばかりやビジネス経験が浅い方の場合、マーケティングや商品・サービスの品質向上や差別化といった提供価値に意識が向きがちですが、社内外を問わずステークホルダーとの良好な関係は競合への差別化要因になりますので関係構築のための計画も練り、管理できるようになりましょう。

ステークホルダーの意味は「企業などの団体と利害関係にある者」のこと

ステークホルダーとは「企業などの団体と利害関係にある者」のことです。人は1人で全てをこなすことはほぼ不可能で、利害関係者とどのようなコミュニケーションを行なって関係を作っていくかも考える必要があります。ステークホルダーには普段から頻繁にコミュニケーションを取るものの重要度の低い人がいたり、日常的に会話をすることはなくてもあなたの活動にとって重要度が高い人もいるので、誰がどのように関わっているかを理解することは自分の仕事の進め方を考える上でより広い視野で見ることができるようになります。

ステークホルダーの具体例は「株主、社員、経営者、顧客」等

ビジネスシーンで考えた場合、ステークホルダーには大きく分けて株主、社員、経営者、顧客の4つがあります。企業内で言えば経営者とその下で働く社員がいますが、経営者は経営戦略について考えるのと同時に、戦略に即して利益のために実働している社員がより快適に仕事ができる職場環境を作り、社員は経営者からの給与所得に見合った成果を出す必要があります。そして社外に目を向ければ自社の事業に期待して資金を投じる株主の期待に応える必要があり、顧客に対しては支払ってくれた対価に見合う価値を提供する必要があります。

ステークホルダーは英語のstakeholderに由来

ステークホルダーとは英語のstakeholderの日本語訳ですが、英語圏でステークホルダーと言っても意味は通じます。 stakeholderはアメリカの開拓期に、自分の所有地にstake（杭）を打ち込むことで土地のholder（所有者）であることを主張するようになったことから生まれた言葉だと言われています。そのため元々は「自分の権利を主張する人」という意味で使われていましたが、そこから転じて現在はある物事に対して利害関係があり、それぞれの権利や意見を主張できる立場にある人という意味になっています。

企業戦略とステークホルダーの関係

企業がステークホルダーと良好な関係を維持するための「ステークホルダー分析」「ステークホルダーエンゲージメント」「ステークホルダーマネージメント」「ステークホルダーダイアログ」という4つの概念をご紹介します。「ステークホルダー分析」による各関係者の重要度などから、「ステークホルダーマネジメント」計画を作成し、計画に沿って「ステークホルダーエンゲージメント」を高めるために当事者から情報発信などの働きかけを行ったり、利害関係者と双方向でコミュニケーションを行う「ステークホルダーダイアログ」の機会を設けると考えるとわかりやすいです。４つの概念は密接に関係しており、計画的に利害関係者との関係の維持・向上してくためにはどれも欠かせないのでここで理解を深めておくと良いです。

ステークホルダー分析

ステークホルダー分析とはある事業・企画・プロジェクトなどに関係する人を、それに対する理解度・影響度・関心事などについて分析することです。あなたがプロジェクトの責任者だった場合、この分析結果によってやるべきことは変わります。例えば所属部署の売上向上を目指す上司とスキルアップを目指す部下がいるなら、あなたがずべきことは自分のチームから売上を上げつつ部下の育成をすることが求められます。この他にも新プロジェクトを立ち上げる場面なら上司のゴーサインはもらえるか、自社の利益向上につながり株主の期待に応えられるか、そのプロジェクトによって自社サービスを利用する顧客にさらに高い価値を提供できるのかなどを考えなくてはなりません。

ステークホルダーエンゲージメント

ステークホルダーエンゲージメントとは自社を取り巻く各ステークホルダーと良好な関係を構築していくために企業側から利害関係者に働きかける活動のことです。ポイントはステークホルダー分析の結果からどのステークホルダーとどのようにコミュニケーションするかを考えることです。社内で言えば社員の昇給や待遇の改善を行なったり、経営陣や管理職者が部下に対して定期的に業務環境改善のためのヒアリングをすることなどが考えられます。対株主なら株主総会の他に配当金額の増額やIR情報をこまめに更新することが考えられ、対顧客であれば利益還元のためのセールの実施やHPで製品の安全性に関する情報発信をすることが考えられます。

ステークホルダーマネージメント

ステークホルダーマネージメントとは社内外問わず利害関係者の自社や特定のプロジェクトに対する関心度・重要度・自社に求めていることなどを計画的に管理していくための一連の管理業務のことです。ステークホルダー分析の結果をもとに、誰とどのようなコミュニケーションをするか計画を立てステークホルダーエンゲージメントを実施したらそれで終わりではなく、その成果を把握・分析して関係を維持・向上するために必要次の打ち手を講じる必要があります。ステークホルダーとのコミュニケーションでもPDCAを繰り返し、その成果を管理していくということです。

ステークホルダーダイアログ

ステークホルダーダイアログは自社の経営に取り入れるべき意見や要望を幅広く募るためにステークホルダーを集めて双方向にコミュニケーションを行うことです。１点しっかりと区別しておきたいのが、ステークホルダーエンゲージメントでは当事者である企業からステークホルダーへの一方向の働きかけだったのに対し、ステークホルダーダイアログでは当事者である自社とステークホルダーが双方向にコミュニケーションをとっているところです。双方向のコミュニケーションを取ることで顧客のニーズや従業員が経営陣に求めていることを把握するだけでなく、当事者である会社側からも利害関係者に対して意見を主張することになります。双方向のコミュニケーションはただ意見を主張し合うだけでなく、信頼関係の向上にもつながるのでぜひ活用してみてください。

まとめ

ビジネスであるかに関わらず人が何かを行う時、完全に一人で行うことは不可能です。企業が長く存続したりあなた自身がキャリアアップしていくためには必ず存在するステークホルダーそれぞれの活動目的・ニーズ・関心ごとについての情報を集め、自社やあなたが何を求められているかを把握し、それに応えるられるコミュニケーション計画を作成・実施していく必要があります。この記事でご紹介したステークホルダーとの関係の維持・向上のための4つの概念を活かして、誰とどう関わることで自社やあなたとステークホルダーがWIN-WINの関係になるかを考えてみましょう。