ソフトバンクG出資の英・ワンウェブが破産
1分で分かるニュースの要点
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通信衛星ベンチャーのワンウェブが破産
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アマゾンなど大手企業の参入で競争が激化
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ソフトバンクGは自社株買い発表で株価が回復
衛星通信事業を展開していたワンウェブ
英衛星通信会社ワンウェブは、通信衛星を使って高速インターネットを安価に提供することを目指していましたが、新型コロナウイルス感染拡大による市場の混乱で資金繰りが厳しくなり今月27日に米連邦破産法の適用を申請しました。
ソフトバンクGが2000億円規模の出資
英衛星通信会社ワンウェブにはソフトバンクGが19億ドル(約2000億円)規模の出資をしており、株式の約50%を保有する筆頭株主となっています。 本件では資金繰りに苦しむワンウェブがソフトバンクGに追加融資20億ドルの支援を求めていましたが、ソフトバンクGもウイルス感染拡大で業績が悪化しており追加支援は難しいと判断した模様です。
衛星を打ち上げ世界へのインターネット供給を目指していた
ワンウェブは通信衛星を打ち上げ高速インターネットを安価に供給することを目指していました。2012年設立当初は650機の打ち上げを計画していましたが、アマゾンなど競合の参入により厳しい経営が続いていました。
目標は650機も打ち上げは74機のみ
ワンウェブは2012年に設立され米バージニア州アーリントンに本社を構えています。設立当初は650機の通信衛星を打ち上げる計画を明らかにしていましたが、2019年2月に6基の打ち上げに成功してからは軌道に乗せた通信衛星は74基に留まっています。 同社のアドリアン シュテッケルCEO(最高経営責任者)は、他社の通信衛星よりも打ち上げ高度が高いことを上げ、自社の技術力の優位性を強調しています。
競合の参入は激しく
高速インターネット向けの通信衛星はアマゾン・ドット・コムなどの大手企業が参入したことで競争が激化し、資金力に劣るワンウェブにとって厳しい状況が続いていました。 通信衛星を使って安価なインターネット環境を獲得できれば、携帯電話や固定通信網よりも広範囲なインターネット通信網のシェアを拡大することも可能になるとされています。
出資しているソフトバンクGへの影響は
本件において筆頭株主であるソフトバンクGの業績への影響について市場は軽微であると見ており、株価も再生法申請発表前の26日が3,778円、27日は3,887円まで上げて引けています。ソフトバンクGは出資する企業の不調が続き経営環境が悪化していたことから守りの姿勢に移ったことが好感された模様です。
自社株買いを発表し株価が回復していたソフトバンクG
ソフトバンクGは今月23日に自社の普通株式1億45百万株を取得すると発表しました。これは同社が3月13日に発表した「5000億円プログラム」に追加して行われるもので、負債削減と合わせ最大4.5兆円の資産売却または現金化を行うとしています。 この発表を受け同社の株価は19日の2,687円から26日には3,887円まで回復し、市場は攻めから守りの経営にシフトしたことを歓迎している模様です。