ソフトバンクグループがウィーワークへ1兆円規模の支援を発表。

ソフトバンクグループがウィーワークに約1兆円の支援で経営権取得へ

ウィーワークを支援するソフトバンクGの思惑とは

  • ウィーワークのビジネスモデルは限界なのか
  • カリスマ経営者の辞任にみる内部崩壊
  • 孫社長がウィーワーク社にこだわる本当の理由とは

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ウィーワークは9月にIPOを撤回

2019年9月で最も話題となったのは、ベンチャー企業のウィーワーク社のIPO(新規株式公開)でしたが、赤字体質や企業運営の在り方などにより市場は慎重な姿勢を取っていました。 のちにウィーワーク社は9月に予定していたIPOを撤回します。創業者のアダム・ニューマンCEOが議決権のない会長に退くなどの経営体制の不安定さも影響し、企業価値が5兆円から2兆円前後に下落しました。

 

創業者のアダム・ニューマンは取締役から退任

ソフトバンクグループはニューマン氏がJPモルガン社からの借り入れ返済に充当できるように、彼が保有するウィーワーク社の株10億ドルを買い入れていました。 これは事実上の「退職金」として渡されたものです。株主や社員もこの決断に異論はありませんでした。そもそもこのビジネスモデルがベンチャー事業ではなく単なる不動産事業であると気づいたからです。 また、ニューマン氏による利益相反要素が多々あったことなどが、IPOによることで表面化したことが退任につながりました。

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ソフトバンクグループの持ち株比率は約8割に

ウィーワークへのソフトバンクグループの出資比率は80%程度まで高まります。しかし、議決権は過半数に満たず、連結対象にはなりません。そこでソフトバンクGはマルセル・クラウトCOOを就任させると発表しました。 ソフトバンクグループは今後、ウィーワーク社に130億ドル以上といわれる出資をする意向を示していますが、現在のウィーワークの企業価値は80億ドルと低迷しています。 ウィーワーク社では今後、大規模なリストラがあると予想されており、経営資源の見直しが図られる見通しです。

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連結を避けるため議決権は過半数を持たず

ソフトバンクグループはウィーワーク社の議決権の過半数は保有せずに、ウィーワーク社を子会社としないと発表しました。 ただしソフトバンクグループ副社長のマルセロ・クラウレ氏が、ウィーワーク社のエグゼクティブチアマンとなり同社の経営の再建にあたります。 また創業者のアダム・ニューマン氏は議決権を行使しないオブザーバーとして取締役会に参加することになり、実質上のウィーワーク社の経営からは身を引くことになります。

ソフトバンクグループの目的は?

(画像:Unsplash

ソフトバンクグループが積極的に資産投入する理由として考えられるのは、世界29カ国111都市にある528カ所といわれるオフィスのネットワークに魅力を感じていると思われます。 かねてから力を入れてきたベンチャービジネスのスタートアップに期待、その先行投資の拠点になると考えているからなのでしょう。

 

IPO撤回による企業価値下落の回復か

ウィーワーク社のIPO中止によって、同社が短期的に上場する可能性はなくなり、ソフトバンクグループはマルセル・クラウトCOOら経営責任者からの財務情報など多くの情報を開示する必要がなくなりました。 それによって情報開示のによる出資者の落胆を気にすることなく、財政の立て直しを進められる可能性が高まったといえます。 これにより中核事業に注力することで改めて上場を目指す考えと思われます。

ただソフトバンクグループの株は下落傾向に

当初、IPO上場を予定していた孫正義社長は「470億ドル(約5兆円)の企業利益がある」と見込んでいましたが、ニューマン氏の経営手法への疑問などから上場が延期されたことでその思惑が外れてしまいました。 ウィーワーク社の救済によるソフトバンクグループの出費は10兆円ですから、ビジョン・ファンドへの悪影響は必至と思われます。 第1号ファンドへの影響も大きく投資家へ謝罪する事態にもなっています。今後は2号ファンドへの投資を募り立て直しを図っていくと思われます。

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