労働基準法と休憩時間。休憩時間の分割や残業・夜勤における法律上の義務は？│ビズキャリonline　仕事と生活

労働基準法と休憩時間

1分でわかるニュースの要点

労働者の休憩時間は労働時間の長さで決まる
休憩時間の3原則が守られなければ休憩ではない
休憩時間が発生しないケースも存在する

働き方改革で残業時間は減るのか。対象外となる業種や企業に課せられる罰則とは？すでに大企業では施行されていた「働き方改革関連法」、中小企業も2020年4月から対象となりました。法律によって規制されることで、私たちの残業時間は本当に減るのでしょうか。今回は働き方改革で残業時間がどうなるのかに切り込みます。

休憩時間が与えられる労働時間とは

労働基準法第34条にて制定されている、労働時間に対する休憩時間には主に3つのパターンが存在します。有無の基準は6時間を超えるかどうか、45分か60分になるかは8時間を超えるかどうかです。では、詳細な時間配分はどのように決まっているのでしょうか。

労働基準法違反による4つの罰則。その事例や告発・通報の流れとは。2019年4月に労働基準法が改正されました。この改正は働き方改革関連法の施行によるもので、今後ますます労働に関する法律の整備が行われます。労働基準法に違反すると罰金や糖液などの罰が科せられます。どのようなことが罰則の対象になるのか。そして労働基準法違反が発覚する流れについて迫ります。

6時間以内の労働：休憩時間なし、ただし会社により休憩がある場合も

会社は雇用する労働者の労働時間が6時間以下の場合は、労働者に休憩時間を与える必要性はありません。ただし、会社によっては6時間以下であっても、休憩時間を取るケースも存在します。また6時間以下であっても会社側の良心で休憩が取れるケースもあるためそれぞれの会社に対し確認するのが良いでしょう。

6時間より長く〜8時間以下の労働：45分以上の休憩

働いている人の勤務時間が6時間（360分）より長く、8時間（480分）以下のケースだと、その人が取るべき休憩時間は45分以上とされています。 45分以上であれば、50分でも60分でも可能です。ただし残業した結果、残業プラス勤務時間で8時間を超える場合、45分から追加で15分の休憩時間が発生します。

8時間より長い時間の労働：60分以上の休憩

8時間より長い労働時間が発生した場合、会社は必ず60分以上の休憩を労働者に与えなければなりません。一般的なサラリーマンの労働時間は1日8時間・週40時間であることから、フルタイム勤務の休憩が1時間というイメージにつながっています。もちろん、60分以上でも問題はなしです。たとえば長時間勤務になったり、時間あたりの労働負荷が著しく増したりするケースで、一時的に70分休憩取るといった措置も可能です。

パート・アルバイトや夜勤にも適用される

労働基準法34条の休憩時間の決まりは、雇用形態・勤務する時間帯で適用の仕方に変化はありません。法律上「労働者」と定義される従業員であれば、休憩は等しく発生します。つまり、パートやアルバイト、早朝勤務や夜勤のどの働き方であっても、6時間以下でない限り休憩時間は与えられる義務があります。

休憩を分割することも可能だが短縮はできない

あくまで働く時間の範囲内であれば、休憩時間の分割も可能です。たとえば、45分を15・30に分けたり、60分を15・15・15・15として設定できたりします。ただし6分を10回に分ける、3分を20回に分けるなど細かく分け過ぎる場合は、十分な休憩が与えられていないとの判断で法律違反になります。

休憩時間の3原則

労働者への休憩時間は、ただ闇雲に時間を取り決めるだけでは休憩とみなされません。いわゆる「休憩時間の3原則」を遵守しない場合は、いくら「今は休んでいる」と言い張っても法律に違反します。では休憩時間の3原則の内容とは、どういった内容なのでしょうか。

働き方改革の問題点や理由をわかりやすく解説。目的や実例から現実的な改革とは？日本では2019年4月から改正労働関係法が施行され、働き方改革がスタートしました。働き方改革は少子高齢化で深刻になる労働力不足の解消がねらいです。今回は働き方改革の問題点や理由、現状や具体例について詳しく解説していきます。

労働時間の途中に付与、労働後は禁止

休憩時間は労働時間の途中に付与、つまり実際に働く時間の前や、フルで働いた後に休憩するのは法律で禁止されています。たとえば労働時間が9時間の場合、8時間連続で仕事した後に1時間休憩を取るのは違法です。休憩時間を分割した場合も同様で、45分は勤務時間内でも15分は勤務時間後、などは認められません。

労働から完全に開放させる

休憩時間とみなされるには、労働者が完全に労働から開放されている必要があります。いくら動いていなかったり昼食を取っていたりする最中であっても、電話番や来客対応、その他書類作成を行っている場合は、法律上休憩時間と認められません。むしろ働いた時間として残業時間になるケースも考えられます。もちろん、休憩時間の使い方を会社側が決めることも禁止です。

業種や労使協定の例外を除き一斉に付与

労働基準法34条2項によると、休憩は前提として職場の労働者全員へ一斉に付与されるものと決まっています。実は法律上、それぞれがバラバラに休憩を取ることは禁止されています。しかし、会社と労働者が労使協定を結んでいる場合はこの限りではありません。労使協定によって、普段の会社の時差勤務や交代勤務、食事交代が可能になります。また、労働基準法施行規則第31条で述べられている特定の業種（運輸交通業や金融業など）についても例外に値します。

休憩時間をもらえないケースとは

労働時間や休憩時間の3原則を踏まえた上でも、休憩がなしになる場合もあります。「休憩時間、会社の認識が間違ってる」と疑う前に、まず自分がどのケースに当てはまるかを冷静に分析しましょう。具体的には、どのようなケースが当てはまるのでしょうか。

残業中に休憩を与える義務はなし

残業中に関しては、労働者に休憩時間を与える義務はありません。しかし、あまりにも長過ぎる残業や労働者の疲れがでる場合は、会社や職場判断で休憩時間を取るケースはもちろん存在します。ただし、休んでいる時間は労働時間とはみなされないため、残業の時間帯に休憩しても、その時間分の手当は発生しません。

仕事後の休憩（早退）は認められていない

先述のとおり、仕事がすべて終わった後の休憩や早退は原則認められていません。「一気に働いて、最後の1時間はゆっくりしよう」という考えは、実は法律違反に該当します。たとえば普段45分休憩の労働時間の人が残業し、60分休憩の労働時間になったとしても、15分早めに退勤することは禁止です。会社側は、あくまで残業時間中に休憩を与えます。

適切な休憩がないなら労働基準監督署や会社内の部署に相談

「うちは休憩中も電話を取るのが決まりだ」「パートなんだから休憩は必要ない」、こうした指示はすべて労働基準法違反です。日常的に行われていれば、労働基準監督署や社内の部署に相談することで、問題を解決できるかもしれません。世の中には経営者や管理職の中にも、正しい休憩時間について把握していない人も存在します。トラブルに巻き込まれないためにも、あなた自身が正確な知識を持つようにしましょう。

未来工業は社員に優しいホワイト企業。業績好調で独自のホワイトな企業文化を築いた山田昭男に注目。1965年に岐阜県で設立された未来工業は電設資材メーカーです。取り扱う製品は2万点にのぼり、その中には独自開発した製品が数多く含まれています。住宅着工の追い風を受けて業績も好調です。ホワイト企業としても有名ですが、一体どんな企業なのでしょうか。今回は未来工業を紹介します。