ら抜き言葉の例や方言からの歴史や文化庁の見解など解説します。

 

ら抜き言葉とは

(画像:Unsplash

「ら抜き言葉」とは、文字通り「ら」が抜けてしまっている言葉のことです。特に「~られる」という英語の「can」を表す言葉で「ら抜き」がされることが多く「~られる」が「~れる」という音で使われています。 「ら抜き言葉」はテレビやネット上などでも話題になることがあり、ほとんどの場合は「誤った日本語」として紹介されています。以下では「ら抜き言葉」を具体的に見ていきます。

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ら抜き言葉の例文

「ら抜き言葉」は日常のさまざまなところで使われています。まずは自分が使っている言葉が「ら抜き言葉」かどうかを確認するためにも例文を見てみましょう。 ・今日は給料日なので豪華な食事が食べれる。 ・今ならまだ希望商品を変えれるようだ。 上段の「食べれる」の原型は「食べられる」、下段の「変えれる」の原型は「変えられる」です。どちらも「ら」が抜けており、「~られる」を無意識に省略した形になっています。

 

ら抜き言葉の見分け方

「ら抜き言葉」かどうかを見分けるには、その言葉を「~よう」という形に変えます。たとえば「食べれる」が「ら抜き言葉」か否か確認するには「食べる」を「~よう」の形に当てはめてみます。そうしたら「食べよう」という自然な言葉になります。 こうして人を誘う形に変えてみて自然ならその言葉には「ら」が必要=「食べれる」は「ら抜き言葉」ということです。「変えれる」も「変えよう」と自然な言葉になるので「ら」は必要=「変えれる」は「ら抜き言葉」となります。 一方で「帰れる」は「~よう」に当てはめると「帰れよう」と自然ではありません。つまり「帰れる」に「ら」は不要で「帰れる」は「ら抜き言葉」ではないということです。

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ら抜き言葉の歴史

現代の日本では「ら抜き言葉」は珍しいものではなく、身近なところからテレビ番組までさまざまなところで聞かれます。 以下では「ら抜き言葉」の歴史について解説します。「ら抜き言葉」の歴史と言われる3つの角度からそれぞれご紹介しますので「ら抜き言葉」の歴史を紐解く参考にしてください。

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ら抜き言葉はいつから使用されているのか

まず日本で「ら抜き言葉」が使われるようになったのは、確認できているだけで1900年頃と言われています。1900年代に書かれた書物の中に「ら抜き言葉」が散見されていることもあり、少なくとも1900年代にはすでに「ら抜き言葉」が存在していたようです。 しかし当時の「ら抜き言葉」は現代と違い、特に誤った言葉とは認識されていません。むしろ文学者がら抜きで執筆したことから「ら抜き言葉」が正しい表現と認識していた人も多いと言われています。

ら抜き言葉は方言から由来する説

「ら抜き言葉」が現代まで続いているのは、「ら抜き言葉」が一時的なブームなどによるものではなく一部の地域で「方言」として使われていたからではないか、という説があります。 現代でわかっている範囲では静岡県の一部地域で「ら抜き言葉」を使う方言が昔から使われており、その地域から日本全国に広がっていったとも言われています。

 

ら抜き言葉は標準語が変化したことに由来する説

次に「ら抜き言葉」は標準語の「られる」が変化したことによって一般にも浸透していったという説です。日本では江戸時代から言葉を省略するという動きがあったこともあり、「られる」という標準語が忙しい毎日や仲間内との会話によって「ら抜き言葉」になったと考えられる説です。 「られる」という言葉は口の中で舌をしっかりと動かさなければ発音ができません。そのため急いでいるときや、仲間内でのリラックスした会話などでは明確な発音をしなかったのではないかと言われています。

ら抜き言葉の文化庁による見解

(画像:Unsplash

日本語に限らず言葉は時代や時間によって日々変化しています。そのため文科庁では定期的に「新しい時代に応じた国語施策」という、言葉の定義を公表しています。 以下では文科庁の「ら抜き言葉」に対する見解をもとに解説していきます。文科庁が推奨する言葉だけがすべてというわけではありませんが、公文書や新聞・ニュースなどで使われる言葉は文科庁の推奨する表現を使っていることも多いため、この機会に確認しておきましょう。