大戸屋HDの取締役10人が解任へ。業績回復を目指すコロワイドの勝算とは?

大戸屋HDの取締役10人が解任へ。業績回復を目指すコロワイドの勝算とは?

大戸屋HDの取締役10人が解任へ

1分で分かるニュースの要点

  • コロワイドによる大戸屋への敵対的TOBが成立
  • 取締役11人中10人が解任
  • セントラルキッチン方式の採用と給食事業で再建

コロワイドによる大戸屋への敵対的TOBが成立する見通しであることが9月8日、コロワイドによって発表された。11月4日に開かれる臨時の株主総会で大戸屋の現取締役11人のうち10人が解任される見通しで、コロワイドは大戸屋が反対してきたセントラルキッチン方式の採用と給食事業の展開によって、大戸屋の再建を目指す。

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コロワイドによるTOBが成立した大戸屋HD

9月8日、コロワイドは大戸屋に対する株式公開買い付けが成立する見通しであることを発表した。 外食業界において敵対的TOBが成立したのはこのケースが初めてで、このTOBの成立によって大戸屋はコロワイドの傘下に入り、コロワイド主導による再建を目指していくことになる。

 

取締役11名のうち10人を解任へ

コロワイドは11月4日に開催する臨時の株主総会で、大戸屋HDの取締役11人のうち窪田健一社長を含む10人を解任し、新たに7人の取締役を選出する見込みだ。 コロワイド側は複数の現取締役に続投を打診したが、山本匡哉氏のみが留任を希望したという。 コロワイドによるTOBに対して取締役・従業員一丸となって反対していた大戸屋をこの新たな取締役がまとめつつ改革を実現させていけるかが今後の焦点となる。

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新社長はコロワイドの蔵人賢樹氏

大戸屋改革の旗手となるのが新社長に就任する見込みの蔵人賢樹氏だ。 蔵人賢樹氏はコロワイド会長の蔵人金男氏の長男であり、2010年にコロワイドに入社し、2017年よりコロワイドグループの食材調達や加工を行うコロワイドMDの社長も務めた経験がある。 この経験を生かして、大戸屋改革を主導していくことになる。

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大戸屋再建に自信を見せるコロワイドの勝算とは?

2019年度決算で上場以来初の赤字へと転落した大戸屋。 この大戸屋再建に自信を見せるコロワイドはいかにして大戸屋の再建を実行していくのか。

効率化によりコスト削減を目論むコロワイド

コロワイドがメスを入れると見られているのは大戸屋が採用している各店舗での調理による料理の提供だ。 コロワイドが改革の目玉として提案し、大戸屋側が最も反対したセントラルキッチン方式の採用。コロワイドはこのセントラルキッチン方式の採用によって赤字に悩む大戸屋のコストダウンを実現させていく予定だ。 また、食材調達などで手腕を発揮した蔵人賢樹氏を大戸屋の社長として抜擢することで、その経験を生かしてコスト削減を実現していくものと見られている。

 

給食事業への参入も視野に

コストダウンだけでなく、売上の拡大策もコロワイドは打ち出している。 それが大戸屋ブランドを利用した給食事業への参入だ。 コロワイドは2019年に策定した中期経営計画において、挑戦的なテーマとして給食事業の展開を掲げている。こうしたコロワイドの経営戦略と、大戸屋がもつ健康的な和食を提供しているというイメージがマッチし、介護施設や病院への給食事業へのシナジー効果をコロワイドは期待している。

コロナ禍で苦しい外食産業で生き残れるのか?

新型コロナウイルスの影響によって、多くの外食産業が苦境にあえぐ中、大戸屋の株価の45%ものプレミアムを乗せてTOBに踏み切ったコロワイド。 コロワイドの目論見通りセントラルキッチン方式の採用と給食事業へのシナジー効果を生み出し、大戸屋の再建を果たすことができるのか。 M&Aによって売上を拡大してきたコロワイドの手腕に今後の注目が集まっている。