OJTとは何か？OJT研修・教育の効果と課題に効果的なやり方やポイント。│ビズキャリonline　仕事と生活

OJTを用いた研修・教育の効果とは

OJT研修の効果をアップさせるためのポイント

「OJT」とはどんな研修方法
OJTのメリットとデメリットを知ろう
OJTの対となる「OFFJT」研修とは？

メンターとは？探し方や役割などメンターについて解説していきます！メンターとは助言者のことを指します。近年このメンター制度を取り入れる企業が増えてきました。そもそもメンターとはどのような意味なのか、そして企業でのメンター制度とはどんなものがあるのかを解説いたします。また、メンターの探し方やメンターになるために必要なことも紹介いたします。

ダイバーシティ&インクルージョンの意味や研修事例。導入の課題を解消し多様な人材を活用。ダイバーシティ＆インクルージョンの推進は大企業を中心に拡がりを見せています。この改革を行うことによって、もたらされるものも大きいですが、同時に組織の課題も浮き彫りになります。この課題を取り除き、作り上げた個性が認められる社会が、様々なイノベーションを生み出すと考えられています。

OJT（On-the-Job Trainig）とは

実務を行いながら業務の手法や考え方を教える研修方法はOJT又は職業内訓練と呼ばれます。教育のために別の場所や時間を確保する必要がなく、普段の業務中に組み込むことができます。

社員育成のために実務を通じて業務を教える方法

オン・ザ・ジョブトレーニングを略したOJTとは社員を育成することを目的に、実際の業務を行う現場での教育訓練です。指導役は上司や先輩で、研修のために別時間を用意せずに通常業務をこなしながら行います。業務に慣れていない社員が最初の段階から実務に触れられるため、OJTが終了すればすぐに業務をこなせるようになります。

WWI中のアメリカで生まれた4段階職業指導法が原型

OJTの原型は第一次世界大戦中のアメリカで多くの軍隊を育成する必要から生まれました。まずはポイントを強調しながらやってみせ、覚えられる限度を超えないように説明します。そして実際にやらせてみて、頻繁なチェックとフォローを行う4段階職業指導法を発展させた方法です。

PDCAサイクルとともに日本社会の研修の基本に

1950年から1970年代の高度経済成長期には、日本でも4段階職業指導法が使われるようになりました。その後1970年から1980年代の終身雇用が一般化した時代には、計画して実行、評価ののち改善の4サイクルを繰り返すPDCAサイクルの導入が進みました。最近のOJTでは4段階職業指導法とPDCAサイクルが社内研修の基本になっています。

OJTのメリット・効果

OJTのメリットとしては指導者と教わる社員が1対1の状況になれること、指導によってコミュニケーションが増えること、指導者も教える技術を習得し、上達させられることなどがあげられます。

1対1で、相手の能力・ペースに合わせて指導できる

OJTの場では指導役と教わる社員が1対1になる場面が多く、指導スピードを教わる側の様子を見ながら調節することができます。教わる社員のもともとのスキルやそれまでの業務の理解度に応じて指導内容を変えることもでき、教わる側は指導役に疑問点を聞きながら学べます。

コミュニケーションが活発になり人間関係構築につながる

1対1で教わることとなるOJTでは指導役と教わる社員とのコミュニケーションの回数が増え、内容も密になります。研修に関わるやりとりを繰り返すうちに、お互いの信頼関係が深まっていくでしょう。 OJT終了後も教わった社員がスムーズに業務を行えるようになるためには、職場の人間関係を築いておくことが大切です。

教える側のスキルアップや新たな気づきの創発につながる

OJTは教わる側だけでなく指導者にとってもメリットがあります。業務内容をしっかりと理解してもらうためには、指導者は教え方を工夫しなければなりません。その工夫の過程では新しい気づきを得られることもあります。また十分に教えられるようになるためには指導者自身が改めて業務についてよく知り、理解しておく必要もあります。OJTを通して指導者のスキルアップも可能です。

即戦力になる

座学などで実務とは別の時間で行う研修とは違い、OJTは実務をしながら詳しく学びます。そのためOJTの方がいち早く業務内容を理解した即戦力となる社員を育てることができます。 OJTでは実際に仕事をしながら、しかも指導役が1対1で教えながら内容を身につけていきます。マニュアルの文章では表現しきれないようなコツやノウハウも習得することが可能です。

講演などが不要でコスト削減に

OJTには業務以外の別コストが要らないメリットもあります。研修や講習を行うとなるとテキストや講師などの費用がかかりますが、OJTならそれらは必要ありません。コストだけでなく研修のための別時間も要りません。通常業務以外の時間が減ることは教わる社員にとってもメリットに感じると考えられます。

OJTのデメリット・課題

現場で行うOJTは指導者が十分に動くことができないと教わっている社員が戸惑ってしまうことがあります。加えて指導者の力量によって、研修の質が変わってしまうこともデメリットです。 OJTを現場と指導者任せにせず、実務に支障が出ないように職場で支える必要があります。

OJTという名の”放置”が問題に

OJTを行うときに指導役の負担が大きすぎて十分に教える時間が確保できないなどOJTのための体制ができていないと、業務を教えなくてはならない社員を放置してしまうことがあります。 OJTは現場の社員に任せるだけでは不十分です。企業のトップは現場で何が起こっているのかを把握し、十分なOJTを行えるように手助けすることが必要です。

体系的な指導ができず流れを掴みにくい

OJT研修では教わる社員は業務に関わる一つひとつの作業は習得しやすいメリットがありますが、反面業務全体の様子が掴みづらくなるデメリットがあります。社員に業務全体について知ってもらおうとするならば、OJTとは別に座学の研修などをプラスして学ぶ機会を作る必要があるでしょう。

指導者のスキルが左右する

OJTが成功するかどうかは指導者のスキルによります。誰が教えるかによって教わる社員の理解度や習得するまでのスピードが変わってしまうかもしれません。 OJTの成功率を高めるためには事前に指導者を育てておく必要があります。指導スキルを学ぶための研修を導入するのが効果的です。

指導者の負担が大きく、実務に影響が出る可能性

OJTでは指導者がそのために時間を割かなくてはならず、業務を自分のペースではなく教える社員に合わせて行う必要があります。そのため指導者に負担がかかることになり、業務が思うように進まなくなってしまうことも考えられます。企業のトップはOJTによって業務が停滞することのないよう、指導者の様子をチェックすることも必要です。

OJT研修の進め方・手順

OJTを効果的に進めるのに適した手順があります。順を追って指導するとともに、折々で習熟度を確認しましょう。加えてやってみた業務を評価し、フォローアップすることも大切です。

OJT前：目的の明確化、育てたい人材象から逆算して計画

OJTで何を教えるべきかを計画する際には、会社がどんな人材を得たいのかを先に決めておく必要があります。目標とする人材に育てるために、OJTで何を学べば良いのかを逆算して考えましょう。 OJTの内容を決めたら教える社員に足りないものを把握し、それを教えるのに適した指導役を選定します。教わる側が若い社員ならコミュニケーションが取りやすい近い年代の社員を選ぶなど、指導効果が上げられるような組み合わせにしましょう。

Show：業務を見せて想像してもらう

まずは指導者が業務を行っている様子を見せ、教わる社員がイメージを持てるようにします。業務内容に興味を持ってもらい、学ぼうとする意欲が高まるように導きましょう。教わる側のスキルや能力に合った持ち場を与え、いきなり多くのことを教え過ぎないようにすることも大切です。

Tell：口頭で業務を説明、質疑応答

指導者は教わる側に業務内容を口頭で説明します。必要であれば図を示すこともし、ポイントを際立たせながら教えるようにしましょう。指導者から一方通行で話をするだけではなく、教わる社員から質問を受け付ける場も必要です。質疑応答を繰り返すことで、業務の理解度はさらに深まります。

Do：実際に業務を行わせる

指導者から業務内容を教えた後は、教わっている社員に実際にやってみてもらいましょう。教わる側は手を動かす時に何をするのかを説明しながら行うようにすると、より理解が深まります。特に重要なポイントについてははっきり答えられるまで説明してもらう、加えて時折指導者からの質問も挟むと、教わる側は得た知識やノウハウを定着させることができます。

Check：評価や改善点、補足説明を伝える

やってもらった業務については指導者が評価し、改善点を伝えましょう。業務の中で教えもれていたことが分かれば補足説明を加えます。指導者は教わる社員ができたこととできなかったことをはっきりと示してあげる必要があります。失敗した場合は、なぜそうなったかを丁寧に説明しましょう。

OJT後：フィードバックを行う

OJTが終わったあとは教えている社員へのフィードバックを忘れてはいけません。教わる側は指導者が自分のことをしっかりと見て指摘してくれることで、組織に対する信頼感を深めていくでしょう。社員にどんな会社かを知ってもらい、長く働きたいと感じてもらうためにも適切なOJTは必要です。

OJT研修のポイント

OJT研修を行うときは、どのようなことに気をつけるべきでしょうか。計画が一目で確認できるOJTシートを使えば、指導者と教わる社員の両方が進捗状況を確認できます。

職場全体で進め、指導者をサポート

OJTは指導者と教わる社員だけで行うのではなく、職場全体でサポートすることが大切です。職場でOJTのマニュアルが整備されていれば、指導役を柔軟に決定しやすくなります。指導役によって教え方にばらつきが出ることも、ある程度防ぐことができるでしょう。企業のトップはOJTがきちんと実施することができるよう、現場の状況を確認することも必要です。

目標から逆算して計画的・効率的に行う

OJTを行う目標を明確にし、それを達成するための計画を立てましょう。OJTの目標は、指導者と教わる社員の両方が把握している必要があります。具体的にできるようにすることを決めておくこおｔが重要です。業務中のどこでOJTをするのか、実施期間をどのくらい取るのかは事前に計画を立てておきます。実際には計画通りいかないこともありますが、指導者と人事担当者との話し合いで修正します。

目的を常に意識し実務習得のみではなく考え方の構築も

OJTでは実務の習得だけでなく、なぜそうするのかについての考え方も構築できるように導くことが大切です。オープンクエスチョンは、はい又はいいえでは答えられない問答を繰り返して、理解度を深めていく手法です。教わる社員は指導者からの質問の答えを考える過程の中で、業務についての考え方を学ぶことができます。

OJTシートを利用するのも効果的か

OJTシートとはOJTの計画を示し、その都度結果を書き込みながら進捗状況を確認できるようにしたシートです。半年ほどの期間に渡って書き込めるようになっていて、一番上にはOJTの最終目標を書き込んでおきます。その下の欄には月ごとの目標とその月の結果を並べて書き込むことができるので、あとで振り返ることも簡単にできます。

OJTの対になるOFFJT（OFF-JT）とは

多くは座学で実施されるOFFJT研修では、基本や専門的な知識を学ぶことができます。OFFJTで基本知識を学んで業務の全体像を掴んでから、OJTで業務の詳細を教わりつつ実践を繰り返すのが効果的とされています。

OFFJTは実務を離れた育成方法

OFFJTとは実務をしながら行うOJTとは違い、別の場所や機会に行う研修のことをいいます。多くの場合では実際の業務に入る前に、業務に必要な基本又は専門知識を習得する目的で実施されます。新人社員向けのビジネスマナー研修や中堅社員向けのマネジメント研修などはOFFJTの一例です。

座学形式でビジネスの基礎や専門知識を体系的に学ぶ

OFFJTではビジネスの基礎や専門知識を学びます。講習会の形式をとることが多く、より掘り下げた内容に触れることができます。 OFFJTは業務の流れを体系的に掴むのに適した研修方法です。ここで得た知識をベースにしてOJTで実際の業務のやり方を学んでいくのが効果的とされています。

OJTとOFFJTを組み合わせ効果的な新人研修を

現場で業務を行いながら学ぶOJTは日本では以前から社員教育の手法として多く採用されてきました。近年では事前に座学研修を中心としたOFFJTを行い、その後OJTに移行することでより社員指導の効果があげられると注目されています。 OJTの効果を上げるためには、企業から指導者に対するフォローも必要です。現場だけに任せるのではなく、職場全体でOJTが実践できるように支えましょう。