コーポレートガバナンス・コードとは
コーポレートガバナンス・コードとは上場企業が企業統治を行う上でとるべき行動原則のことを指します。 上場企業には株主はもちろんのこと顧客や従業員、地域社会など様々なステークホルダーが存在しています。それらの立場に配慮しながら客観的で透明性のある意思決定を行うための仕組みを意味しています。
東証・金融庁が進めるコーポレートガバナンス・コードとは
東証・金融庁が進めるコーポレートガバナンス・コードは単に企業行動を縛るためのものではなく、上場企業が株主と対話をしていくことで経営の気づきを獲得し、それによって持続的な成長を達成していくという攻めのコーポレートガバナンス・コードだとされています。
コーポレートガバナンスを実行するための指針で法的拘束力はない
このコーポレートガバナンス・コードの特徴の1つは「遵守か、説明か」といわれるソフトローであるということです。上場企業はコーポレートガバナンス・コードを守らなかったとしても罰則等はなく、もし守らないのであればその理由を説明さえすれば問題ありません。 実際に東証が行った調査によると2018年において78の行動原則からなるコーポレートガバナンス・コードのうち、すべての原則を順守している企業は15%程度となっています。
コーポレートガバナンス:企業統治
コーポレートガバナンスとは企業統治と訳され、企業を規律づけるために定められた手続きやルールのことをさします。 2008年のリーマンブラザーズの破綻をきっかけに生じたグレートリセッションでは金融機関による過大なリスクテイクが原因だと考えられています。そのため企業をどのように規律付け、長期的な成長に結びつけていくのかというコーポレートガバナンスへの関心が世界では高まってきています。
2015年6月に上場企業に適用、2018年に初改訂
コーポレートガバナンス・コードは2014年6月に日本政府が閣議決定した「日本再興戦略改訂2014-未来への挑戦-」の中で、日本の稼ぐ力を取り戻すための改革の一つとして策定することが決定されました。 この決定を受けて2014年の8月からコーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議が行われ、2015年6月に上場企業に適用された後、企業の実際の遵守状況などを鑑みて2018年6月に改訂コーポレートガバナンス・コードが公表されました。
コーポレートガバナンス・コード制定の背景・目的
このコーポレートガバナンスコード制定の背景には国内株式市場において存在感を高めている外国人投資家に対応する必要があるということと、低下し続けている日本企業の経済的な存在感を取り戻すための行動を促すということがあります。
外国人株式保有比率の上昇があり企業のガバナンス構造を理解しやすく
日本市場における外国人投資家の存在感はここ30年で大きく高まってきました。平成の30年間で外国人株式保有比率は6倍となり、2013年には30%を超えました。 こうした外国人投資家による日本企業への投資は株価を支え企業の資金調達を容易にするため、外国人投資家にもわかりやすい客観的で透明性のあるガバナンス構造が日本企業には求められるようになってきています。
持続的成長に向けた企業の自律的な取組を促すため
フォーチュン500の構成銘柄に含まれていた日本企業の数はバブル崩壊直後の1995年では148社であったのに対して、2015年においてはわずか54社となっています。このように経済活動における日本企業の存在感が低下しつつある現状があります。 こうした問題を解決するための1つの方法としてコーポレートガバナンス・コードによって企業が株主と建設的な対話を行い、持続的な成長に向けた企業の自立的な取り組みを促されることが期待されています。