コクヨがぺんてるを子会社化へ。1株3500円でTOB。海外市場での成長を目的か。

コクヨがぺんてるを子会社化へ。1株3500円でTOB。海外市場での成長を目的か。

コクヨがぺんてるを連結子会社化へ

ぺんてるがTOBの標的に

  • コクヨがぺんてるを子会社化・38億4200万円を提示
  • 騙されたのはぺんてる?コクヨの異例な出資方法とは
  • コクヨの狙いはぺんてるの海外市場

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1株3500円でTOBで38億4200万円が必要と試算

コクヨの発表によると1株3,500円で取得し、既存株主の約1,097,752株を取得する見込みとのことです。買収額はおよそ38億4200万円が必要だろうと試算されています。 コクヨは2019年5月に、マーキュリアインベストメントが管理・運営するPI投資事業有限責任組合を約101億円でコクヨの子会社にすると発表しました。 これにより、コクヨはPI投資事業有限責任組合が持つぺんてるの発行済み株式37.8%を取得したことになります。コクヨは議決権比率を50%超に引き上げる方針ですが、ぺんてるからは一方的な行為だと激しく非難されています。

 

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株主との交渉でぺんてるの承認は不要

コクヨの発表によると個別に既存株主から申し込みを受け付け、議決権比率を50%超にした上でぺんてるの承認議決を得るとしています。 ぺんてるは非上場企業のため本来は既存株主が株式譲渡をする場合は、ぺんてるの取締会による承認決議が必要になります。 しかし、コクヨは既に個別の株主に譲渡の申込書を送付し、申込者には先着で株式売買契約を締結してもらい、買取成立後は支払いも速やかに行うとしています。ただ、ぺんてるからは未だに株主情報は開示されていません。

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5月に筆頭株主になったコクヨ

(画像:Unsplash

2019年5月、コクヨはマーキュリアインベストメントが運営していたPI投資事業有限責任組合を約101億円で自社の子会社として、事実上マーキュリアインベストメントが所有していた、ぺんてるの株式全てを取得しました。 2019年8月2日、コクヨは取締役会においてぺんてるとの間の業務提携契約の協議を進めやすくするためとして、表面上PI投資事業有限責任組合が保有しているぺんてるの株式を、コクヨが直接保有すると決定しました。

マーキュリアインベストメントを通し101億の出資

コクヨが使った出資手法は、ぺんてるの筆頭株主であったマーキュリアインベストメントの運営するPI投資事業有限責任組合に同ファンドの株式を移転させ、その後にコクヨが同組合を子会社にするというものでした。 これにより、コクヨは事実上ぺんてる株式を101億円で取得したとになり、議決権比率37.8%の株主になったのです。しかし、ぺんてるはこの事実を全く知らされていなかったとして抗議しました。 ぺんてるはコクヨの一方的なやり方に驚くとともに、同社に強い不信感を抱くようになります。

ぺんてるは経営権を譲ることへ拒絶か

11月15日に行われたコクヨの発表にぺんてるも素早く反応しました。ぺんてるの出した声明によるとコクヨ側からは一切の相談も協議もなかったと強く抗議する内容でした。 更に、コクヨが5月に行った異例の出資方法について非難はしたものの、その後は真摯に向き合って協議を進めてきたとも強調し、コクヨへの不信感を隠しませんでした。 ぺんてるは業務提携に向けた準備を進めていたと見られ、コクヨとの信頼関係をどうやって築くことが出来るかを検討していたようです。それだけに、今回の子会社化の方針は受け入れられないと怒りを露にしました。

 

コクヨの目的は

両社の直近の売上を比較してみると、コクヨが3151億円、ぺんてるは403億円とコクヨの方が8倍ほど上を行っています。 コクヨが狙っているのはぺんてるが持つ広い海外市場です。同社は欧米を中心に約120の国と地域で事業展開しています。海外売上比率は約66%と同社の強みであることがよく分かります。海外の事業展開を強化したいコクヨにとってこれ以上の企業はありません。

海外市場での成長

ぺんてるの人気商品は水性フェルトペンで、米国ではジョンソン大統領の愛用品だったこともあり米国初め世界的にヒットしました。 ぺんてるはこれを切っ掛けに世界市場を広げて行ったといわれています。コクヨにとって約120の国と地域に販路を持つぺんてるは、これから海外市場を広げようとする上で非常に魅力的な企業です。 日本のステーショナリーグッズはデザイン性や品質がいいと評判ですが、寡占化や少子化、またデジタル化によって先細りが心配されています。