契約社員とは
バブル崩壊後の不況は様々な雇用形態を生み出しました。中でも契約社員は労働人口の中でも大きなシェアを占めています。現在では企業にとって不可欠な存在ですが、契約社員の定義や他の雇用形態との相違点とは如何なるものでしょうか。
正社員と契約社員の違い
正社員と契約社員の違いを一言で表すと雇用契約期間の有無です。会社で働く場合、どういった雇用形態であっても労働契約を締結します。つまり正社員であっても実際は「契約社員」であるといえるでしょう。 正社員は雇用契約期間が定められておらず、定年までは身分が保障されます。一方契約社員はあらかじめ6か月、1年といった雇用契約期間が定められているのが大きな相違点です。 正社員と契約社員では労働条件はもとより仕事の内容も大きく異なります。言い換えれば、同じ仕事をしていながら処遇が異なると労働契約法第20条「不当な労働条件の禁止」に抵触するといえるでしょう。
派遣社員と契約社員の違い
派遣社員と契約社員の違いを一言で表すと雇用主が異なることです。つまり派遣社員は派遣会社と労働契約を締結し、給与も派遣会社から支給されます。 このような雇用形態が生まれたのは、多様化する働き方を望む労働者とより安価な労働力を求める企業の利害が一致したことが大きな要因です。 企業は必要なスキルや労働条件をもって派遣会社に派遣要請をします。派遣会社は企業の求人に合致した人材を派遣するのが一般的なフローです。なお、派遣社員は短期的な要員不足の解消に利用されるケースが多い雇用形態といえるでしょう。
契約社員の一般的な待遇
契約社員と正社員では働き方が異なります。したがって同じ職場であっても、仕事の内容や処遇が異なるのは当然だといえるでしょう。言い換えれば、区別しなければ法律違反に問われます。それでは契約社員の一般的な待遇とは如何なるものでしょうか。
ボーナスは出ないことが多い
契約社員にはボーナスが出ない、もしくは正社員よりも低く抑えられています。その理由は契約社員は求められるスキルなどが、正社員とは大きく異なることです。 言い換えれば、正社員と全く同じ仕事をしていながらボーナスが出ない場合は、労働契約法第20条「不当な労働条件の禁止」に違反している可能性は否めません。 ただし、同じ仕事内容であっても仕事に対する責任の度合いが異なれば、ボーナスが出ないことは合法であると判断されます。言い換えれば、企業は契約社員と正社員の仕事内容や責任の度合いについて明確に区別する義務があるといえるでしょう。
社会保険の加入義務有り
契約社員であっても社会保険への加入義務は生じます。ただし、条件が揃えば免除されますから注意が必要です。 その条件とは1か月の労働日数、1日もしくは1週間の労働時間が正規に勤務している人の4分の3未満である場合になります。雇用保険だと雇用日数が31日未満であること、1週間の所定労働時間が20時間未満である場合に限って義務はありません。労働災害保険は如何なる場合も加入が必須です。 契約社員は「社会保険の加入義務がない」と勘違いしやすい部分です。未加入が発覚すると罰則が与えられる場合もありますので十分に注意しましょう。
改正労働契約法の無期転換ルール
改正労働契約法によって、同じ職場に5年以上勤務した契約社員は無期契約に転換することが可能になりました。急増する契約社員が安心して仕事に就ける環境を整えることを目的としたものです。 バブル崩壊以降、契約社員は急増していますが、非合理的な雇用止めなどの不適正事案が目立つようになりました。一方で少子高齢化による労働人口の減少は国益への影響が懸念されています。 政府は一定の労働力を確保する意味でも、契約社員が安心して働ける環境作りが必須と考え法整備に踏み切りました。一方では簡単に雇い止めが不可能となったことで、質の低い労働力の温床になりかねないどの指摘もあります。
企業側にとって正社員雇用はリスクである一面も
安定的な労働力確保には正社員雇用が不可欠です。しかし企業にとってリスクとなる一面もあり経営者の頭を悩ませています。その最大の要因は人件費の高騰です。 正社員のメリットは質の高い労働力を確保できる点ですが人件費は割高になる上、簡単に雇い止めができません。高度経済成長期であれば終身雇用も可能でした。 しかし、事業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する現代では大きなリスクを抱えることになります。今後は様々な分野でAIが導入されることも想定されており、正社員から契約社員へシフトする企業も増えるでしょう。