カプセルホテル展開のファーストキャビンが破産申請
1分で分かるニュースの要点
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カプセルホテルのファーストキャビンが破産申請
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ビジネスホテルとの価格競争が激化
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インバウンド減少や外出自粛で業績が悪化
資金繰りの悪化で負債総額は約37億円
ファーストキャビン代表取締役岸田 登氏は今月25日に自社のウェブサイトを通じて、東京地方裁判所に破産手続きの申し立てを行ったと発表しました。 通常のカプセルホテル以上の高級感あるサービスを提供する「コンパクトホテル」をコンセプトに全国に26店舗を展開してきましたが、昨今の宿泊施設の価格競争激化と新型コロナ感染拡大の影響で稼働率が落ち込み財務状況が悪化していました。
新型コロナの影響が
新型コロナ感染拡大の影響で3月から4月下旬にかけて稼働率が約10%まで落ち込む店舗もあり、外国人観光客に人気の京都5店舗も全て休業していました。 その他一部の店舗も感染防止の観点から休業しており、再開の目途が立たないとして直営店5店舗の営業終了を判断をした模様です。また、フランチャイズ店については新型コロナ感染収束の動向を見ながら営業再開を検討してほしいとしています。
競争率の激化で業績赤字だったファーストキャビン
ファーストキャビンは高級感あるコンパクトホテルを低料金で提供するビジネスモデルで積極的に店舗を拡大し、2019年3月期は売上高16億8645万円まで伸ばしましたが、供給過剰や他社との価格競争が激化し、減損や特別損失の発生で2期連続の赤字となっていました。
他とは一線を画すカプセルホテル
従来のカプセルホテルは上下2段で寝るだけのスペースしかないといった店舗がほとんどでしたが、ファーストキャビンは上体を屈めることなく部屋に出入りできるゆったりした空間を確保しています。 部屋は「ファーストクラス」「ビジネスクラス」に分かれており、それぞれのびのびと眠れるベットと大画面テレビが完備された新しいスタイルのカプセルホテルとして国内外の観光客に好評でした。
2019年3月期の時点で約11億円もの赤字
負債総額は11億3082万円(2019年3月期決算時点)で、新型コロナ感染拡大以前から財務状況は悪化していた模様です。 従来のカプセルホテルにはない高級感とビジネスホテル以下の価格で宿泊できることで女性客や外国人観光客の人気を集め店舗を拡大してきましたが、供給過剰やビジネスホテルとの価格競争で計画通りに業績を伸ばすことができませんでした。
新型コロナの影響が直撃するホテル業界
国内大手リサーチ会社の調べによると新型コロナの影響で宿泊施設の業績は軒並み減少し、特にインバウンドの急激な減少や外出自粛で国内旅行を控える人が多く、来期の業績見通しを下方修正するホテル事業者が相次いでいます。
ホテルの稼働率は10%まで減少
ファーストキャビンの3月∼4月上旬の稼働率は新型コロナ感染拡大の影響で約10%まで落ち込み事業継続が困難となりましたが、これはホテル業界全体に共通する問題でインバウンドや国内旅行の減少などが業績を悪化させています。 京都府の宿泊施設2019年度宿泊客数は前年比10.7%増と過去最高の伸びを示しましたが、2020年2月の前年同期比は53.8%まで激減し今年度以降の供給過剰が懸念されています。