いきなりステーキの業績悪化が深刻。主な要因は人件費高騰や店舗間での競合か。

 

いきなりステーキ運営のペッパーフードサービスは2019年12月期第3四半期決算を下方修正

いきなりステーキが業績不振

  • ペッパーフードサービスが業績予想を下方修正・いきなりステーキ不振響く
  • 店舗拡大路線が裏目に・44店舗を閉店へ
  • 配当は無配・ほとんどのセグメントの売上が不調
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いきなりステーキの業績悪化の原因

(画像:Unsplash

いきなりステーキの業績悪化の原因は44店舗の退店による収益性の低下が見込まれることと、業績不振の3店舗の特別損失16.85億円を計上するためです。 また、退店に伴う違約金の発生なども響きました。急激な店舗拡大で自社ブランド同士が競合したことが大きな原因で、今後は「退店する店舗の近隣店舗の立て直しを行う」と述べています。

 

210店舗出店を目標とした大規模な店舗拡大

いきなりステーキを運営するペッパーフードサービスは、当初210店舗の出店を計画していましたが115店舗へ見直します。 ステーキを手軽に素早く食べることが話題となったことで急速な店舗拡大を行いましたが、それらが裏目に出た結果となりました。 現在の489店舗のうち44店舗を閉店する予定で、収益が低下すると見込まれる3店舗も2019年12月期3四半期期間に減損減益16.85億円の特別損失を計上しました。

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店舗同士の競合

いきなりステーキは自社のブランドが既存店と顧客を奪い合う状態が続き、オペレーションの改善などの対策を取ってきましたが、影響は払拭できなかったようです。 2年程前のブーム時には長い行列ができ、数十分も待たされる盛況ぶりでしたが、同じ商圏に店舗を増やしたことでその様子が一変しました。 一方でペッパーフードサービスは業績悪化の要因として店舗間の競合を主張していますが、糖質制限による肉ブームが去ったことや、大手のファミレスなどがステーキを積極的に提供するようになったことも業績悪化の要因のうちに含まれると考えられています。

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台風や人手不足による人件費の高騰

いきなりステーキは10月12日に台風19号の影響で、関東周辺店舗及び愛知の店舗を臨時休業しました。翌日13日には営業を再開しましたが、佐野店は浸水の被害が出たため復旧に時間が掛かりました。 その他、長梅雨など天候不順により客足が遠のいたことも業績に影響したと述べており、暫くは厳しい状況が続くとみています。 また、外食産業は恒常的な人手不足に喘いでおり、人員確保のための人件費の高騰や物流費の増加、原材料費の上昇も収益を圧迫しました。

不採算店舗44店舗の閉店とそれに伴う違約金

いきなりステーキの下方修正の理由には、不採算店舗44店舗の閉店とそれに伴う違約金も挙げられます。44店舗の閉店で売上高は従来計画776.61億円から665.36億円と引き下げました。 また、閉店により44店舗の家主に対する違約金を、事業構造善引当金入額として6.61億円を特別損失に計上したことも影響しました。 今後の立て直し案としては、収益性を上げることで営業損失を減少させ、競合店舗の収益性を改善していくとしています。

 

ほとんどのセグメントで減益となった

いきなりステーキを運営するペッパーフードサービスは「ペッパーランチ事業」「レストラン事業」「いきなりステーキ」「商品販売事業」を手掛けています。営業利益は「商品販売事業」以外のセグメントが前年比減と苦戦しました。 「商品販売事業」は、いきなりステーキブランドの商品などが好調だったこともあり、前年比44%増となりました。 いきなりステーキの売上は店舗数が増えたことで約442億円となりましたが、収益は約17.5万億円(前年同期比51.9%減)と逆に多店舗展開によるコスト高が響きました。

株式の配当は無配

ペッパーフードサービスは今後の事業展開に備えて内部留保をしてきましたが、財政状態や経営成績その他経営全般をみながら、株主に対しては基本的に利益配当する方針を取ってきました。 しかし、今期に至っては73億1千万円の赤字となり、当期純利益が予想を大きく下回る見込みとなりました。 そのため、今期末の配当予想を「無配」に修正しました。2018年の配当実績は1株当たり「30.0円」でした。