forever21(フォーエバー21)は日本撤退。その原因や理由、アパレル業界の不況とは?

 

forever21(フォーエバー21)の日本完全撤退

forever21(フォーエバー21)日本撤退の経緯

  • 2009年4月に東京・原宿に国内初出店
  • 上陸当初は大きな話題を生んだが、その勢いは次第に衰え閉店が相次ぐ
  • 2019年10月末で日本国内全14店舗とECサイトを閉鎖、日本から撤退
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forever21(フォーエバー21)の撤退とその理由

forever21(フォーエバー21)の国内事業の撤退には、時代の変化によるアパレル業界の変革と、ファッションに対する日本人の意識の変化に原因があるといわれています。時代を席捲した巨大ファストファッションブランドも、大きな変化の波に乗ることができませんでした。 アパレル業界の変革とは、日本人のファッション意識の変化とは、撤退の理由について詳しく解説していきます。

 

低価格アパレルブランドの台頭

低価格帯アパレルブランドには多くのライバル企業が競合しています。その代表格となるのが、既に日本国内のファストファッション市場を席捲していた「ユニクロ」です。 ファストファッションが受け入れられる要素としてはカジュアルさと安さが挙げられますが、日本国内においてはユニクロという絶大な支持を受けている企業がベンチマークとして存在していたため、消費者は厳しい目線でブランドを選んでいました。 海外から日本に進出してきたアパレルブランドとして、forever21に先行して1998年にZARA(スペイン)、2008年にH&M(スウェーデン)、2012年のアメリカンイーグル(アメリカ)などがありますが、生き残りも厳しくなっています。

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D2Cや無在庫型のECアパレルの台頭

D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、消費者に直接商品を販売する仕組みを指します。近年のアパレル業界では自社で製造した商品を他社を介さず自社で販売するスタイルが増加しています。 D2Cのメリットは他社を介さないことで大幅なコストが削減できること、また自社ブランディングを効率的に進めることができる点が挙げられます。forever21のようにデザインや生産を外注し店頭で販売するOEM型と呼ばれるスタイルにとって大きな脅威といえます。 また「ZOZOTOWN」などの店舗や在庫を持たないECアパレルショップの台頭も、リアル店舗に経営戦略の主軸を置いていたforever21などのファストファッションブランドには大きな障壁となりました。

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西洋向けのデザインが日本人向けにはウケなかった

ブランドのコンセプト自体も日本人向きではなかったことが、日本で人気がでなかった要因の一つに挙げられます。 forever21の基本コンセプトはアメリカンカジュアル系からモード系、フェミニン系、ビンテージ系などと幅広いものの、欧米向けのデザインは日本人の若者には受け入れにかったようです。結果若年層からの支持を得られませんでした。 そこでベーシックが主流のロームコア、オーバーサイズのストリートカジュアル系などのトレンドへ変換を図るものの、乱立する競合ブランドの勢いには勝ることはできませんでした。

forever21(フォーエバー21)はECサイトに関しても閉鎖

forever21は国内全店舗の閉鎖と同時に、ECサイトも閉鎖しました。 現代の小売企業には、オムニチャネル戦略と呼ばれるリアル店舗とネット店舗(オンラインストア)の融合が求められますが、forever21はECサービスにおいて大きな遅れがありました。 日本に本社機能を置かず、アメリカからの指示の下で組織運営を行っていたため、日本人のニーズに合った品揃えや店舗の運営が実現できていなかったことが敗因でした。

 

仕入れ販売の際の卸売価格の高騰

forever21は自社商品の企画やデザインなどを取引先メーカーに外注し、仕上がったものを販売するという形態をとっていました。日本でいえば「しまむら」のようなビジネスモデルです。 業績が好調な間は大量生産・大量消費ができるものの、業績が悪くなれば当然に取引先への要望も多くなります。要求が多くなると、外注先メーカーは卸売価格を上げざるを得なくなります。仕入れ価格が上がると、粗利を下げなければ価格を維持することはできません。 仕入れの際の卸売価格の高騰は低価格帯を売りにする企業にとっては大きなダメージです。目まぐるしく変化する顧客のニーズの変化に柔軟に対応することが次第に困難になっていきました。

アリアナグランデによる訴訟

2018年から2019年にかけて、forever21はアメリカの歌手アリアナグランデとの販促提携と協議していましたが、結局提携は成立しませんでした。 それにも関わらずアリアナグランデの写真を無断で使用したり、酷似したモデルを起用しあたかも自身が関与しているかのような誤解を与えたとして、2019年9月にアリアナグランデはforever21を相手取り、10億円の損害賠償請求を求める訴訟を起こしました。 forever21側は異議は申し立てているものの、ブランドとして大きなイメージダウンとなってしまいました。