電通事件とは?1991年の男性社員の自殺・2015年の高橋まつりさんの自殺などの全貌を詳しく解説。

電通事件とは?

1分でわかる電通事件

  • 1991年に24歳の社員が過労によるうつ病で自殺
  • 2015年に高橋まつりさんが過労により自殺
  • 働き方改革が進むも再度是正勧告を受けた

「電通事件」について耳にしたことがある、もしくは記憶に新しいという人は多いでしょう。直接関わりがなかったとしても、自分のことのように感じたという人も少なくはなかったであろう事件です。 この記事では「電通事件」がどのようなものであったのかを詳しく解説していきます。

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電通事件とは1991年に起きた電通社員の過労による自殺事件

「電通事件」とは1991年に起きた電通社員の過労による自殺事件を指します。 「電通事件」と聞くと、電通にまつわるスキャンダルか何かかと思うかもしれませんが、この事件は電通に所属している社員の過労死事件を指しているのです。 電通は過労死によって社員を失ってしまったことが記憶に新しいですが、実は1991年にも過労死で貴重な人材を失っているのです。この「電通事件」によって、世間の目が過労死という概念に目を向けるようになったと言えます。

 

2015年にも電通社員の過労による自殺事件が起こる

1991年の「電通事件」を受けても、電通の過労死に対する態度に改善は見られなかったのか、2015年にも再び電通社員の過労を原因とした自殺事件が起こりました。 この事件は大きく報道されたため、未だ鮮明に記憶に残っているという人も多いでしょう。電通の残業体制に疑問を抱いたという人や、自分の会社の残業の多さや過労死ラインについて改めて考える機会になった、という人も少なくないほど、世間に衝撃を与えた大きな事件です。

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1991年の電通事件の概要

ここでは、始まりとなる「電通事件」とはどのようなものだったのかについて紹介していきます。 1991年ともなると、覚えている人も少なくなってしまっているかもしれませんが、「電通事件」が全ての始まりであったことを忘れてはいけません。今一度原点に立ち返って、どのような事件だったのかを振り返ってみましょう。

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被害者は24歳の電通社員

「電通事件」の被害者は24歳の男性社員です。男性社員は電通に入社して2年目でした。彼がまだ若く将来性があったことは明白ですが、残念なことに自殺に追い込まれてしまいました。 男性社員は日頃からパワハラを受けており、宴会の席では革靴に入れられた酒を飲むように強要されていたなどといった事実も明らかになっています。こういった許されざるパワハラの結果、大切な若い命が失われたと言えます。

長時間の残業などの過労が原因でうつ病を発症し自殺

男性社員は月に平均約147時間もの残業を強いられていました。これは明らかに違法であり、過労死ラインを優に超えています。この長時間残業などが原因で、男性社員はうつ病を発症してしまい、自殺へと追い込まれてしまいました。 本来ならば会社は社員に負担がかからないように残業時間を調整しなければならないところなのに、それどころか男性社員は体を壊すまで働かされていたということになります。心身ともに限界を迎えてしまっても、無理はないでしょう。

 

電通が安全配慮義務違反となる

この一連の流れを通じて、電通は遺族から安全配慮義務違反として訴えられることになります。これは過労に対する安全配慮義務を求めた最初の事例となり、ここから全ての企業や世間の過労に対する意識が変わっていくことになります。 電通は安全配慮義務違反となり、有り体に言えば反省を求められることになるのですが、ここで本当の意味での反省が行われ、組織改革が行われたかどうかは定かではありません。

遺族が電通に対して損害賠償請求

自殺した男性社員の遺族は、過労死が原因だったとして電通に対して損害賠償を請求する裁判を起こしました。電通によって男性社員が苦しめられ、自殺に追いやられたということを追及するための行動です。 この裁判がきっかけとなり、過労死で親族を亡くした遺族が企業に損害賠償を求める裁判が増加したという世間の動きも忘れてはいけません。「電通事件」はそれほど社会に大きな影響を与えた事件でした。