ボーイングのマレンバーグCEOが辞任。実質的な解任も信頼回復に繋がるか?

 

ボーイングのマレンバーグCEOが辞任

ボーイング737MAXの問題でマレンバーグCEO辞任

  • 旅客機ボーイング737MAXで相次いでトラブルが発生
  • マレンバーグCEOが事実上の引責辞任を発表した
  • ボーイングの株価は回復したが、信頼まで戻るかが今後の課題

アメリカの大手旅客機メーカーのボーイング社は、2019年12月22日に最高責任者(CEO)兼社長だったデニス・マレンバーグ氏の辞任を発表しました。ボーイング737MAXの相次ぐトラブルを受けてのことと見られています。 後任には現在の会長デービッド・カルフーン氏が決定しており、CEOと社長を兼任するようです。この発表で2019年3月以来下落していたボーイング社の株価が上昇しました。

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墜落事故の責任を取る形に

ボーイング社は2017年から旅客機ボーイング737MAXを市場に送り出しました。ところが2018年後半から、ボーイング737MAXでトラブルが続出し、墜落事故が2度も起きてしまいます。 ボーイング社はボーイング737MAXの2度目の墜落事故以降、ボーイング737MAXの運航を停止して辞退の究明に取り組んできましたが、株価が20%以下まで下落していました。 ボーイング社ではいまだに混乱が続いているため、今回のデニス・マレンバーグ氏の辞任は墜落事故の責任を取った形であると言えるでしょう。

 

ボーイング737MAXの墜落事故

ボーイング737MAXは運用開始後、1年足らずで立て続けに2件の墜落事故を起こしています。それらは2018年10月のライオン・エアと2019年3月のエチオピア航空で起こりました。

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ライオン航空機

ボーイング737MAXの最初の墜落事故は2018年10月29日に発生しました。 ジャカルタの格安航空会社ライオン・エアで運航されていた機体が、離陸直後に海へ墜落しました。この事故で乗員8名と3名のを含む乗客181名の全員が死亡しました。 ライオン・エアの発表では、事故前日に事故機でトラブルがあったものの、メンテナンスマニュアルに従って整備が完了していました。

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エチオピア航空

ボーイング737MAXの2件目の墜落事故は、2019年3月10日にエチオピア航空で発生しました。 エチオピア最大のボレ国際空港を離陸したボーイング737MAXが、やはり離陸直後に墜落しています。墜落した機体は砕け散り、乗員8名、乗客149名の全員が死亡しました。 目撃者によると墜落前に機体からは煙と異常な音が出ていたようです。また事故当時の乗員はライオン・エアの事故を受けて、異常事態への備えは行っていました。

CEOの解任で信頼は回復するか?

ボーイング社の取締役会は12月22日に緊急会合を開き、CEO兼社長デニス・マレンバーグ氏の解任を全会一致で決定しました。デニス・マレンバーグ氏は23日付けで辞任しています。 後任人事で指名された現会長デービッド・カルフーン氏と、一連の発表で変動したボーイング社株価についてどのような変化をもたらすのでしょうか。

 

後任は取締役だったデービッド・カルフーン氏

デニス・マレンバーグ氏の後任は、12月23日に現在の会長デービッド・カルフーン氏が任命されました。デービッド・カルフーン氏は引き続き取締役を務めつつ、2020年1月13日付けでCEO兼社長に就任する予定です。 デービッド・カルフーン氏が就任するまでの間は、最高財務責任者グレッグ・スミス氏が暫定的にCEOを務めることになります。 また同時に、現在取締役のローレンス・ケルナー氏が社外取締役会長になることも発表されました。

株価は上昇

ボーイング社の株価は2度目の墜落事故があった2019年3月以降、20%以下の水準となっていました。デニス・マレンバーグ氏の辞任と後任人事が発表された12月23日、ボーイング社の株価が約4%上昇したことが伝えられています。 デニス・マレンバーグ氏の手腕には以前から疑問が持たれていたことから、ボーイング社の株価上昇は今回の解任人事が高く評価された結果のようです。 ボーイング社は墜落事故以降にも、格付け会社による信用格付け引き下げ、宇宙船の飛行試験失敗などの煽りを受けて株価が下がっていました。