「頭が上がらない」の意味は「相手に引け目を感じており対等に振る舞えない」
「頭が上がらない」というのは、引け目や負い目があって対等に振る舞えない・相手に逆らえない状態をいいます。 また、深い感謝の気持ちから相手に逆らえない場合にも「頭が上がらない」を使うことがあります。事情があって相手に強く出られない、要求を呑まざるをえない状況で、「頭が上がらない」を使いましょう。
「頭が上がらない」と「頭が下がる」の違い
「頭が上がらない」と似た言葉に「頭が下がる」という言葉があります。しかし、両者のニュアンスには微妙な違いがあります。違いをしっかり理解して正しく使い分けができるようになりましょう。
「頭が上がらない」は相手の立場が自分より上
「頭が上がらない」という言葉には、相手に逆らえないという意味があるため、基本的に相手の立場は自分よりも上です。特別な場合を除き、後輩や子どもに対して使うことは少ないでしょう。 「頭が上がらない」を使う相手は職場の上司先輩、両親や恩師などが中心です。また、支えてくれた恋人や苦しいときに助けてくれた友人、立場が強い配偶者に対して使うこともあります。
「頭が下がる」は相手の立場が自分と同じもしくは下
「頭が下がる」の場合は、相手の立場が自分と同じかもしくは下の場合に使います。社長や上司、両親や恩師などそもそも目上の人に対して使うことは一般的ではありません。同僚や身近な人に対して使われることが多いです。 頭を下げることには、敬意や感謝の気持ちを表す意味があるとされています。「頭が下がる」というのは、感心や尊敬の気持ちから深く感じ入り、自然と頭が下がる状態をいいます。 清掃などに率先して取り組む人、ボランティア活動をしている人、周りのために早起きしてがんばっている人などに対して使います。「頭が下がる」は相手の人柄や行動に対して使うと覚えておきましょう。
「頭が上がらない」の使い方と例文
ここまで、「頭が上がらない」と「頭が下がる」のニュアンスの違いについて解説しました。特に「頭が下がる」は自分より立場が明らかに上である人物に対して使ってしまうと、失礼にあたることもあるため、注意しましょう。 続いて、「頭が上がらない」を使った具体的な例文をいくつかご紹介します。
「頭が上がらない」は自分が失敗をおかしたときにつかう
「頭が下がる」は自分とは直接かかわりのない他者の立派な人柄や行動に対して使われることが多いです。一方、「頭が上がらない」という言葉には、相手と自分の間に何らかのエピソードや力関係が暗示されています。 よく使われるのが、相手に引け目や負い目があるパターンです。引け目や負い目というのは、自分が失敗をおかして相手に迷惑をかけたなどです。「頭が上がらない」の理由となる引け目・負い目には次のような種類があります。 ・仕事上の失敗や浮気など過去の過ち ・借金や夫婦間での年収の差など金銭絡み ・会社での上下関係や社会的地位の高い職業などの権威 ただし、感謝や尊敬の気持ちを表すときにも「頭が上がらない」という言葉を使うことがあります。苦労して育ててくれた両親や本当に困っているときに助けてくれた友人に対して使う場合は、こちらの意味で使われているといえるでしょう。 自分にとって非常に印象深いエピソードで、一生ものの恩義を感じている場合などに、あえて「頭が上がらない」という言葉で表現することがあります。
「頭が上がらない」の例文
まず、引け目や負い目から「頭が上がらない」という場合の例文をご紹介します。 ・クレームの後始末をしてくれた同じ部署の先輩には頭が上がらない。 ・過去に浮気がバレて以来、妻に頭が上がらない。 自分の失敗に相手が「後始末」「許す」などの行動をとってくれた結果、相手に逆らえないという状況で使います。気まずさと相手への感謝、反省の意味を込めて使う場面が多いでしょう。 次に、感謝や尊敬の気持ちから「頭が上がらない」という場合の例文をご紹介します。 ・貧しいながら女手一つで自分を育ててくれた母には一生頭が上がらない。 自分にとって深い感謝の気持ちを表すのに、あえて「頭が上がらない」と表現する場合です。こちらの使い方では必ずしも引け目や負い目のエピソードは含まれていません。命の恩人に対して「頭が上がらない」と表現することもあります。 「頭が上がらない」は真面目な場面ではもちろん、飲み会など砕けた場面で冗談めかして使うこともできる表現です。
「頭が上がらない」の類義語と対義語
ここまで、「頭が上がらない」の意味や使い方、例文を解説しました。「頭が上がらない」はさまざまな場面で使える表現なので、社会人であれば適切な使い方ができるようにしましょう。 続いて、「頭が上がらない」の類義語と対義語をご紹介します。
